毎日うろうろ 2021年4月9日

やっぱり放課後って大事だと思うんだよな。

岩瀬 直樹
投稿者 | 岩瀬 直樹

2021年4月9日

ぼくは子ども時代、放課後のために日常を暮らしていた。学校が終わると走って帰り、玄関からランドセルを投げ入れ、団地のそばの空き地で真っ暗になるまで遊びひたっていた。

野球、ビー玉、けいどろ、かくれんぼ、秘密基地づくり、ベーゴマ、Sケン等々。書き出すと昭和感満載だが、異年齢で毎日集まる空き地は幸せな子ども時代そのものだったなと思う。

小学校の教員になってからも「たっぷり遊ぶこと」は大事にし続けた。休み時間はもちろん、放課後も校庭に集まくる子たちに、いろんな群れあそびを教え、時には一緒に遊び、徐々にフェードアウトしていって遊び集団をつくることを意識していた。まあ根っこはぼく自身が遊ぶことが好きで、大人になっても子どもと一緒に全力で遊ぶのがやっぱり楽しいからだ。

「いわせん(小学校教員以外の呼び名)、大人気ない!」
「遊びに大人も子どももない!」
みたいなやりとりを楽しんでいた。

さて、軽井沢風越学園2年目。

最初の一週間は「風越づくりキャンプ」と銘打って、異年齢ホームでたっぷり過ごしている。ぼくはホームEに混ぜてもらって、一緒に森の中に秘密基地的な居場所づくりをしたり、風越体育館で思いっきり遊んだりした。

テーブルづくり、ベンチづくり、看板づくり、アーチづくりを手分けして真剣に。

初日から2日間でできた「Eばしょ」と名付けられたホームで、早速完成したテーブルを使ってハーブティーをいただく。ソラがみんなについでくれていた。

この秘密基地のような場所はこれからどんどん変化していくのだろう。居場所づくりというホームのプロジェクトでのスタート。子どもにとっては異年齢のホームみんなで遊んだ感じなんじゃないかな。

放課後は、本城寺中甲斐﨑小川、ぼくの通称「おじさんズ」で放課後プログラムを2日間担当した。「放課後のあそびをもっと豊かに!」のかけ声のもと、山登り、火起こし、スラックライン(綱渡り)、Sけん、しっぽとり、ドッチビー(フリスビーで行うドッチボール)と2日間、集まってきた子たちと遊びまくった。

Sけん。相手の陣地の宝を、体をぶつけ合いながら取り合う伝統的な群れあそび

けんけんしながら相手を倒し、宝を奪う激しいあそびながらどんどん夢中になっていく。保護者がお迎えに来ても「もう少し!もう少し!」と帰る様子もなく困らせている。「そりゃあ帰りたくないですよね」と苦笑しながら一緒に激しい戦いを眺めていた。甲斐崎もぼくも子どもに混じって本気で戦い、やはりここでも「ゴリさん、大人気ない!」と呆れられた。

「やっぱりSけんはいいよなー!群れあそび毎日思いっきりやれたらいいのになー」と甲斐崎。うん、ぼくも同感だ。

「ゴリさん、明日もやりたい!」といいながら帰っていく子どもたち。

この2日間は他の仕事を全て放り出して一緒にあそびまくったけど、毎日そうするわけにもいかず、「明日もやりたい!」に応えきれない感じがなんとももどかしい。

放課後の遊びのことは以前も書いた。

軽井沢風越学園は、学区域が広いので放課後に家に帰ってしまうと「友達と遊ぶ」みたいなことが起きにくい。だから放課後の時間が豊かになるには、放課後の校舎や校庭を活用して、豊かな時間をつくりたい気持ちがある。「幸せな子ども時代」の一つの大きな要素は放課後だ、とぼくは考えている。

今、学園では16時半まで残っていいことになっているが、原則は校舎の中。環境も限られ、大人の見守りが少ない中、時間を持て余している子が多そうだ。安全面の不安もある。残ってもやることがないから帰る、ということも起きていて、なんとももったいない。校舎や森、人、機会のリソースをうまく使えているとはとても言い難い状態だ。

そんな様子が気になりつつ、スタッフは翌日以降の準備やミーティング、研修等でいっぱいいっぱいで放課後まで手が回らないのが現状でもある。暇を持て余した子たちが校内を駆けずり回り、スタッフは仕事をしにくい、という双方不幸な状況も生まれている。「子どもたちにとっての豊かな放課後」と「スタッフの働き方」の間で揺れていて、昨年度はそのことに真っ直ぐ取り組めないまま、ここまできてしまった。

一方、保護者の企画でボードゲームワークショップが行われたり、クッキング教室が行われたり、残って一緒にサッカーをしている保護者がいたりと、じわじわと豊かな放課後に向けての動きもうまれはじめている。

それにしても風越づくりキャンプの放課後プログラム、楽しかったなー。もう一度放課後のことを関心がある人たちと一緒に考えたい。やっぱり放課後って大事だと思うんだよな。

しっぽ取りも熱い戦いだった!

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岩瀬 直樹

投稿者岩瀬 直樹

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幸せな子ども時代を過ごせる場とは?過去の経験や仕組みにとらわれず、新しいかたちを大胆に一緒につくっていきます。起きること、一緒につくることを「そうきたか!」おもしろがり、おもしろいと思う人たちとつながっていきたいです。

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