2022年6月29日
こんにちは、軽井沢風越学園です。
軽井沢でも短い梅雨が明け、夏のような陽射しが続く毎日です。
8月4,5日に今年の学園説明会を実施します。23年度の入園・入学を検討していらっしゃる方は、ぜひご参加ください。7月28日(木)が申し込み締め切りです。
>> https://kazakoshi.ed.jp/news/event/24247/
また、軽井沢風越ラーニングセンターの実践ラボ事業として、
「探究的な学習を支える学校図書館員研修」を実施します。
学校図書館員の学び合うコミュニティをつくり、自校での実践を高め合う場を目指しています。
>> https://kazakoshi.ed.jp/news/klc-lab/24290/
かぜのーと 第62号(2022年6月29日発行)
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【1】『幼少の狭間』臼田 亜由美
【2】『チームで支え合い、やりきって、自信を持つ -9年生「卒業探究」キックオフ-』山田 雄司
【3】『スープの日』橋場 美穂
【4】『「生まれ出る思い 生まれ出る言葉」あれから10年 -東日本大震災- の授業作り』甲斐 利惠子
【5】『160km x 1700m x 自転車 x チーム』本城 慎之介
【6】『二〇二二年六月』内沼 カンナ
【7】『共に刺激しあい、共にかわっていく』岩瀬 直樹
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【1】#1,2年
『幼少の狭間』臼田 亜由美
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年長になった姪が、ある時、私の部屋に来て、ベッドに置かれた赤木先生の『アメリカの教室に入ってみた』(ひとなる書房)を見るなり、「アメリカだってー」と手に取り、ページをペラペラめくる。意味わかんないので、ほっといたら「わぁ!みて!ねながらほんよんでる!いいなぁ。アメリカは、おこられないんだ。」と言ってきて、これはもしや・・・と思いながら、その時は「そうなのかもね〜」と言っといて。後で姉に聞くと、どうやら先生が厳しいらしく、小学校に向けて当番があったり、姪は自分が怒られていないのに、自分事のように怒られた気持ちになったり、次の日当番だと、前の日から忘れちゃったらどうしよう・・・と思っているらしい。
あるあるネタだな、がんばれ、姪!と、叔母の立場では思うけれど、今年度私も1・2年生のスタッフになったので、「小学校に入ってみた」みたいな感じで、この2ヶ月経て感じたこと、考えたことを徒然なるままに書こうと思う。また巷で話題の幼小の連携についても触れられたらいいけれど、どれも主観なので、悪しからず。
さて、幼児教育に携わって数年と、小学校に行って2ヶ月を経て、私の印象では、『幼児期は、個から集団へ』そして『児童期は、集団から個へ』というのがしっくりきている。これは、もしかしたら風越学園の特有かもしれないし、私個人の見取りの観点かもしれないけれど、結構的を得ているんじゃないかな?
続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/23673/
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【2】#9年生
『チームで支え合い、やりきって、自信を持つ -9年生「卒業探究」キックオフ-』山田 雄司
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最近、人生いい感じ。それはきっと、子どもが産まれたこと、それによって限られた時間の中で仕事をする意識が強くなったこと、そしてその中でこの9年生との「卒業探究」に自分自身の熱量を乗せられているからだと思っている。
今年度、自分は7・8・9年生を担当することになった。いわゆる中学生だ。去年自分は5・6年生を主に担当していたから、そのうち半分は7年生として引き続き、そして8・9年生はお久しぶり、という感じ。特に9年生は、風越学園初の中3生ということで、背筋の伸びる思いで4月を迎えた。
新年度を迎えた春休み中、今年のカリキュラムの担当をスタッフ同士で話し合っていた。その中で、「9年生は、昨年同様に『テーマプロジェクト』を行うのではなく、『卒業探究』という形で、風越学園での学びの集大成として取り組むとどうか…」というようなアイディアがあった。7・8年生のテーマプロジェクトを担当するか、9年生の卒業探究を担当するか。なんとなくの沈黙の後、自分は卒業探究をやりたいと手をあげた。大切な時間になると思ったし、きっと楽しそう!と感じたのを覚えている。
しかし、初めての「卒業探究」という時間、どういうものになっていけばいいか、自分でもまだイメージは明確ではなかった。でもその中でも、調査・研究のお作法を徹底的に学んでかっちりしたレポートや論文の形式にまとめる、というものとは違うゴールが見えたらいいな…とは思っていた自分は、初回の授業で、卒業探究をロッククライミングになぞらえて紹介した。
続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/24040/
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【3】#幼稚園
『スープの日』橋場 美穂
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幼稚園は、毎週「スープの日」がある。
「スープ屋さん開店でーす!いらっしゃいませ~」ごっこ遊びのようにスープを配る。
ノリのいい子どもたちは、「すみませ~ん。スープくださーい!」とお客さんになってお椀を持ってやってくる。
友だちと共に外の空気やお日様を感じる心地よさも、スープの日の大事なスパイス。
そして、友だちと同じものを食べる楽しさや、何よりお家の人が自分のために作ってくれたお弁当があることで喜びは倍増する。
ある日、スープ屋さんの横をトボトボと歩くミノリがいた。声をかけてみる。カホとナツハと遊んでいてうまくいかなった事があったらしい。彼女の気持ちを受け止め、お昼ごはんに誘う。しばらく一人で食べていた所にカホとナツハが近くにやってきて何事もなかったように一緒に食べ始める。「さっきはごめんね。」などのやり取りがあったのかはわからない。お昼ごはんの時間が気持ちを切り替えるきっかけになったよう。
お腹が満たされていくと気持ちに余裕が生まれるのかな。
友だちとケンカしてしまった事にも、自分の思い通りにいかなかった事にも向き合ってみよう!次はこうしてみよう!と考える事ができるのかもしれない。
「スープの日」
ほんの少しだけど子どもたちの背中を押すきっかけになるといいな。
記事はこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/24034/
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【4】#土台の学び
『「生まれ出る思い 生まれ出る言葉」あれから10年 -東日本大震災- の授業作り』甲斐 利惠子
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2021年、東日本大震災から10年の月日が流れた。あれから10年。フクシマの人は今、どんな暮らしをしてどんな思いでいることだろう。仙台の人、陸前高田の人、女川の人、階上(はしかみ)の人、大川小学校の人。東京も大きく揺れた。子どもたちは寒さと怖さで震えていた。
震災から2年後、自分の中で急速に薄れていく「記憶」「思い」が怖くて、当時勤めていた都内の中学校の国語の授業で「語り継ぐ人」という単元を行った。ヒロシマ・ナガサキを始め、戦争を体験した人がいなくなってしまうことへの怖さも心の底にあったように思う。
「戦争体験のない者が、戦争体験のない者を相手に、戦争体験を語る」という一文にひかれて『平和は「退屈」ですか』という本(下嶋哲朗著 岩波書店 2006年)を手にした。沖縄戦をテーマに、元ひめゆり学徒たちと一緒に「語り継ぐ」というプロジェクトに取り組んだ高校生・大学生の試行錯誤が描かれている。「戦争体験を語り継ぐ」とは、「戦争反対とか平和を守ろうとか」を学ぶことではないと著者の下嶋は言う。
「語り継ぐ」という行為そのものが生み出すものは何かを知りたかった。他者の体験を自分の体験として語ることは可能なのか。そもそも「語り継げた」とはどういう状態のことか。語り継ぐことによって子どもたちは何を手にするのか。何一つ確かなことがないままではあったが、挑戦することにした。
震災後2年が経ち、急ピッチで復旧が進められていたが、まだまだ生々しい傷跡は至る所に残っていた。単元「語り継ぐ人」の中心テキストを『記者は何を見たのか – 3.11東日本大震災』 (読売新聞社世論調査部 読売新聞社 2011年)にした。読売新聞社の記者たちが震災当日に体験したことの報告が記されている。生徒たちはこの報告の中から一つ選び、自分の体験として語り直すという試みであった。
新聞記者が文章で書き記した情景を、自分の情景にしようと、子どもたちは問い続けた。「ここに出てくる女の子は何歳ぐらいか」「どんな服を着ているか」「どんな表情をして、話しているか」「どんな気持ちか」「部屋の明るさは?」。新聞記者が見た風景が自分にも見えるようになっただろうか。触った感触を感じられるようになっただろうか。
子どもたちは真剣にこの学習に向き合い、他者の体験を自分の身体から生まれた言葉で語っていたように思う。よく頑張ったと思った。しかし、この授業を参観した岩手の女性教員は「こんな甘いもんじゃないんですよ。どんな状況だったかが、東京の中学生に想像できますか?死体があちこちにひっかかっていたんですよ。こんなもんじゃないんですよ。」と、悲しみも怒りも含んだ声で意見を述べた。そうですよね、それはそうですよね、と思った。その直後に山梨の男性教員は、「そもそも他者の体験が自分のものになることはないでしょ。他人ですからね。」と言った。
私たちには「学ぶ力」「学び続ける力」がある。逞しい想像力も持ち合わせている。その力の存在を頼りにしていいのではないかと思う。実際に体験していなくとも、他人であっても、想像力を総動員してその人たちに思いを寄せていくことはできる。だから、中学生だから、東京にいるから、他人だからと、遠慮することはない。幼くても、遠くても、学んでいいのではないかとそのとき思った。
続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/24133/
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【5】#アドベンチャー
『160km x 1700m x 自転車 x チーム』本城 慎之介
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第11週、雨降り頻る中、9年生はセルフディスカバリー。日本海まで、4泊5日の旅。
距離、160km。
遠い。まっすぐな道、曲がりくねった道。天気も変わる。
高低差、1700m。
平坦だったり、登ったり、下ったり。
自転車。
自分で動かすしかない。
誰も押しても引っ張ってもくれない。手もつなげない、おしゃべりもできない。
チーム。
7人前後のチームで動く。体格も体力も性格もバラバラ。ほんの少しずつしか気持ちはつながらない。
この4つが絶妙に絡み合った挑戦と共に、5日間、進んでいく。
9年生の身体には、どんなことが染み込んでるんだろう。
すぐに言葉にはせず、たっぷり味わっていけますように。
金曜日にはきっと日本海。
記事はこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/23665/
今月公開した本城の他記事
・「修学旅行改め、セルフトラベル」>> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/23551/
・「真剣に遊ぶ」 >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/24268/
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【6】#保護者
『二〇二二年六月』内沼 カンナ
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ライブをライブラリーでやる、ライブライブラリーの日。校舎のほとんどを占めるライブラリー、本棚にぐるりと囲まれた真ん中のスペースがステージとなり放課後のジャズライブが開催される。
お迎え時間の十五時になると、駐車場からぞくぞくと保護者たちがやってきて、各々の子どもたちと落ち合い、連れ立って校舎に入っていく。自分が出演するわけでもないのになんだかそわそわとした緊張感と色めきをまとって賑わいのほうへ寄っていく。その時点ですでにウッドベースやピアノやドラムの音がばららんばららんと聴こえ出している。このご時世にプロの演奏が生で観られるなんて本当に有難い限り。
しかしいざ演奏が始まる頃には、半数以上の子どもたちは座るどころか思い思いに駆け回ったり、階段を登ったり、段差からジャンプしたり、転げ回って大笑いしたり大泣きしたりしている。それでもお構いなしに、あるいは包み込むといったふうに、演奏は海のようなうねりを次から次に産み出し、ライブラリー中を響き渡らせていく。一曲終わるとまた一曲と、波間を泳ぐ大魚のようにゆうらりゆうらりと奏でられていく。保護者たちもいろいろで、おひとりで座って聴き入っていたり、楽しげにほかの保護者と会話をしたり、誰かが誰かを紹介して紹介された誰か同士がにこにことお辞儀をし合ったりしている。あらゆる模様が混在した平和を、わたしは両方の服の袖を長男と次男に引っ張られながら眺めている。そこを音楽が吹き抜けていく。
続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/24181/
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【7】#軽井沢風越ラーニングセンター
『共に刺激しあい、共にかわっていく』岩瀬 直樹
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この記事を書いている今日は、軽井沢風越学園の創立記念日の6月22日。
本城と学校づくりをはじめて丸6年。開校して3年目になりました。感慨にふける暇もなく、今日も現場で飛び回っています。
ぼくたちは学校づくりをスタートした当初から、公立学校が変わっていくことに貢献したいという気持ちが強くありました。それは風越学園をモデルとして似た学校を増やしていくということではなく、刺激し合いながら、共に変わっていく触媒になりたいという想い。
それは、より多くの学校が、さまざまな形で幸せな子ども時代を過ごせる場になっていってほしいという願いでもあります。それに呼応してくれたのが長野県教育委員会からの教員派遣であり、日野市教育委員会との連携協定です。
今回はどのように日野市教育委員会との連携を進めてきているのかについて、まとめてみます。
続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/24200/
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(あとがき)
2022年度に変えたこと、新しく始めたことのひとまずの結果が出始めています。
いい感じのこともあれば、不具合もある。
不具合に対して、どのタイミングでどうアプローチするかの見極めは、いつも難しい。
もう少し待っていれば、よくなっていくのか、今の時点で介入が必要か。
いい感じのことを拡げていけば、自然と不具合もよくなっていくのか。
そんなことを考えています。
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発行元 学校法人軽井沢風越学園
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