風越のいま 2020年10月19日

その人らしさが、より浮き上がるように。

馬野 友之
投稿者 | 馬野 友之

2020年10月19日

風越で初めての面談週間が、10月26日〜30日にはじまります。幼稚園は、保護者とスタッフの二者面談、1年生以上は、子ども・保護者・スタッフの三者面談で行い、ここまでの約半年の子どもの成長を語り合い、次の挑戦に向けての目標を考えていきます。後期(3年生以上)の面談においては、子ども自身が作品などを使って、自分の言葉でここまでの学びについてプレゼンをすることを真ん中においた時間になります。

なぜ「面談」という形にするのか?

風越が大切にしてきている「学びのコントローラーを子どもにわたす」という考えには、「学びの目標の設定も子どもにわたす」ことを目指していくことも含まれます。

今回、半年間の評価についてスタッフ内で考え、話し合う際も「学びのコントローラーを子どもにわたせているか?」という問いを軸に置き、考えました。

そして、「通知表」のような数値や記号を用い、これまでの学びやを成長を評価し、教員が一方的に保護者や子どもにそれを伝える形はやめ、子どもと保護者、スタッフが双方向に、言葉で伝え合うものにしていくことに決めました。そこには、数値や記号では表すことのできない、その子どもらしさが、より浮き上がるといいなという願いも込められています。

しかし、「学びの目標を設定する」ということは、そう簡単にはできることではありません。
自分が何を学び、どういうことができるようになったのか、そして次にどんなチャレンジをしたいのか。日々、自分と向き合うことが必要です。

今、風越の子ども達は、その向き合い方のいくつかの方法として、毎日帰りのつどいで書いている「ふりかえりジャーナル」や、後期が毎週金曜日の午後にパートナー(セルフビルドのパートナーとなるスタッフ)と一緒に「今週のベスト1」を決めるということをしています。

日々、自分と向き合う

特に、夏休み明けから始めたパートナーと一緒に行う「今週のベスト1」は、後期の子どもたちが面談でプレゼンをする時のひとつ道しるべになるのではないかと感じています。

子どもたちは、1週間書き溜めてきたふりかえりジャーナルや、typhoonでの記録、スタッフが撮影した写真、自分の作品などを見ながら、「今週のベスト1」を選びますが、その書き方は、子どもによってそれぞれ。

紙に文章やイラストで書く子もいれば、スライドを作っている子もいます。とても印象的だったことの写真を貼って、そのことの説明を書く子も。また、「今週のベスト1」を、同じパートナーが担当している子どもたち同士で、紹介しあっていることもあります。「そんな面白いことを勉強していたんだなぁ、私も来週、それを勉強する計画を立てるようにしよう」と言った子どもの声も聞こえてきました。

パートナーは、なぜそれを「ベスト1」に選んだのか理由を聞きながら、その子がいまどういう学びを楽しんでいるのか、これからどういうことにチャレンジをしていきたいのかも聞いていきます。この「ベスト1」をもとに対話をする機会があることで、この子には、こんな学習機会があったほうがいいかな、この子と、この子をつなげてみると面白いことが起きそうだなぁ、とスタッフとしての今後の具体的な関わり方の方法が見えてくることも。

ふりかえりジャーナルや今週のベスト1だけでなく、作家の時間、読書家の時間、セルフビルド、テーマプロジェクト、すべての時間で、子どもたちは日々、自己評価を積み重ね、そこにスタッフやともに学ぶ仲間からフィードバックをもらい、自分自身を成長させています。そして、登山で歩いてきた道のりを後ろを向いてふりかえると、自分がどこまで登ってきたがが分かるように、面談の準備をするなかで、今までためてきたふりかえりや自己評価を改めてて読んでみることで、自分が成長したことに実感をもてたり、次への課題がより明らかになっていきます。

自分の「ものさし」をつくる

冒頭でも言いましたが、面談では、1年生以上の子どもたちには成長したところを、エピソードを中心に子ども自身がわくわく語れるような機会にしたいと考えています。「面談」というネーミングよりも、一人ひとりにとっての「収穫祭」のようなイメージです。子どもの学びの収穫をスタッフや保護者が一緒に喜び、次はどんな種を植えて、どんな収穫をしようかなぁ〜〜をワクワクしながら考える場所になっていってほしいです。

また、ここでは、アウトプットデイのように出来上がった成果物が分かりやすい収穫だけでなく、そこにいたるプロセスの中でのたくさんの成長の物語も、収穫していきたい。ただ、そのプロセスの部分にある成長の物語を子ども自身が自分で見つけることはすごく難しいです。だからこそ、そのプロセスの部分での収穫も、いろいろなスタッフと保護者で一緒に多様な角度から照らしていくような場所にしていきたい。学びの成果は、結果だけではなく、そのプロセスにもあるんだよ、って。

よりよい学び手として自立して、幸せになっていくことを僕は子どもたちに願っています。
そのためには、自分の外側に評価の基準になるような「ものさし」があって、いつもその「ものさし」に合わせるように生きていくということよりも、自分の内側に「ものさし」を育てていくことを風越では重視していきたいです。高校入試や、大学、会社など、世の中には自分の外側にある「ものさし」が溢れていて、その「ものさし」に合わせることを重視するあまり、「私は何が好きなんだろう?」「私は何ができるんだろう?」ということが分からなくなって、苦しくなってしまうこともあるかもしれない。でも、そんな時に「私は何が好きなのか?」「私は何ができるのか?」「私は何者か?」ということに、自分の内側の「ものさし」に立ち戻ってほしい。

そのためにも、、外のものさしに合わせて生きていくのではなく、「あなたはあなたの持っているものさしを信じて生きていっていいんだよ」って、背中を押してあげられるような面談にしていきたい。(もちろん、自分のものさしだけで生きていけるような世の中ではないかもしれないけれども、それは理解した上で。)

きっと、その自分の内側の「ものさし」には、数字や記号で表すことのできないさまざまな彩りや形があります。子どもたちと保護者との面談で、どんなことが子どもの口から語られるのか、自分の「ものさし」の色や形をつくっていくなかで、子どもたちがどのようにこれから風越で過ごしていくのか今からとても楽しみです。

          3年生の表現図工の作品。互いに比べることなく自分のものが一番いいと言う。

 

馬野 友之

投稿者馬野 友之

投稿者馬野 友之

子どもたちが楽しく学んでいる姿を見ることが、何よりも楽しくて元気をもらえます。幼稚園から中学校3年生まで、ほぼシンガポールと香港で過ごしたので、多様な国籍の人たちが当たり前のように周りにいる環境が好きです。興味のあるテーマは「探究」と「日本・世界の文化」。好きなものは、アジア・エスニック料理、緑茶、サウナのあとの水風呂。

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