軽井沢風越学園の歩みを様々な形で支えてくださりありがとうございます。保護者の皆さんをはじめとして軽井沢風越学園に共感してくださる皆さんからいただいたご寄付について、2022年度分に関して次のとおりご報告いたします。
2022年度に寄せられた寄付金額は、合計86,682,000円でした。内訳は下表の通りです。
(表)寄付金額(2022年度)
ふるさと納税 ※1 | 幼稚園 | 1,225,000円 |
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義務教育学校 | 23,925,000円 | |
直接寄付 | 幼稚園 | 1,165,000円 |
義務教育学校 | 9,557,000円 ※2 | |
使途指定なし | 50,810,000円 ※2 | |
合計金額 | 86,682,000円 |
※1:ふるさと納税は1〜12月。計算書類上は、「補助金収入」-「市町村補助金収入」に交付申請した金額のみ計上されます。内、5%は町に配分されるため、実際の寄付金額は23,891,000円(千円未満は切り捨て)。
※2:内、義務教育学校の5,000,000円、使途指定なしの2,000,000円は受配者指定寄付金制度利用のため、日本私立学校振興・共済事業団にプールされています。
ふるさと納税から2,600,000円、使途指定寄付金から639,292円を活用しました。
森と校舎のあいだにある園庭環境の充実を目的として、水の仕組みづくりを通した生物多様性を大切にした環境づくりをおこないました。具体的には、雨水の利用と太陽光エネルギーを活用した小川と、その小川のために地面を掘って出た土を活用したハーブガーデンを整備しました。また、パーマカルチャー・デザイナーの四井真治さんをパートナーに迎え、年間10回のワークショップを通して、年少から9年生までの子どもたちと保護者の皆さんとともに環境づくりをすすめることができました。
ふるさと納税から16,450,000円、使途指定寄付金から350,000円を活用し、29名が授業料等減免制度を利用しました。
入学金の全額と授業料の一部または全額が免除される制度です。義務教育学校在籍者数の13%程度が利用できるよう制度設計しています。今後も子どもたちの学びを継続的に支えるため、授業料等減免制度の利用条件を見直し、支援が必要なご家庭に制度が届くようにしていく予定です。(2024年度の制度から「2019年4月1日時点から現在まで志願者及び保護者が軽井沢町または御代田町に居住していること」という条件を撤廃し、応募できる家庭を増やしています)。
使途指定なしの寄付金から、55,000,000円を学校の運営資金に活用しました。
内訳は、スタッフの処遇改善や経常経費に5,000万円、アドベンチャーカリキュラムの実施に200万円、軽井沢風越ラーニングセンターの研究開発費に200万円、スタッフ育成・研修費に100万円となります。
2023年度から、寄付者の皆さんの思いがより活かされるように、下記の通り使途の選択肢を増やしています。
学園では、カリキュラムを「子どもの経験の総体」と捉えており、様々な体験を支えるライブラリー、ラボなどの施設整備や環境づくりが不可欠です。これまではラボまわりに映像編集やデザインができるクリエイティブライブラリーを整備してきたりしました。また、近年の光熱費の高騰をカバーする資金も必要としています。
義務教育学校で一定の基準に該当する場合、入学金と授業料の一部または全額を免除する制度を運用し、子どもたちの学びを継続的に支えていきます。2020年の開校から2022年度までに累計74名が利用しました。毎年1,600万円〜1,800万円の資金を必要としています。
風越では「探究の学び」をカリキュラムの軸としています。子ども一人ひとりの問いが生まれるまでフィールドワークをしたり、ものづくりをしたり、様々なアプローチを通して探究を深めていくプロセスを支えます。フィールドワークにかかる移動費や、子ども一人ひとりの「やってみたい、知りたい、解明したい」から始まる「マイプロジェクト」の種を見つけるために手渡すさまざまな体験、マイプロジェクト助成金(目的や使途を明確にして子どもたちが申請し、審査を通過すれば助成が受けられる制度)に資金を必要としています。
校舎の真ん中に広がるライブラリー。今はインターネットで検索すればすぐに調べることができる一方で、本を通しての新しい世界との出会いを大切にしています。子どもたちの活動に合わせて必要な図書・雑誌・新聞をそろえていくために毎年250〜300万円を必要としています。
https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/27066/
「大人も学び続ける存在でありたい」ということを大切にしており、毎週水曜日の午後と月1回の研修日に、スタッフ研修を行っています。こうした研修のための講師謝金等研修費や、それぞれの実践へのサポート、スタッフが安心して働くことができるようにオフィス環境の整備などに使わせていただきます。
2021年度から実施している「アドベンチャーカリキュラム」では、3年生以上が日常では経験できないアクティビティにチャレンジします。登山やブッシュクラフトをはじめ、7年生・9年生は「未知の私に出会う」をテーマにしたセルフディスカバリー(長期の宿泊冒険プログラム)があり、一部は保護者負担となりますが、移動費や専門家のサポートにかかる資金を必要としています。
https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/30930/
2022年から年6回のワークショップを通して「循環」や「生物多様性」をテーマに野外環境づくりに取り組んでいます。パーマカルチャーデザイナーの四井真治さんをパートナーに迎えて、子どもたちとの対話を大切にしながら大人も子どもも一緒になってつくっていくことを大切にしています。
https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/26504/
https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/31478/
2022年5月に開所した「軽井沢風越ラーニングセンター」では、スクールベースの強みを生かした理論と実践を往還した大人の学びの可能性を追求しています。自治体や大学との連携協定に基づいて教員派遣を受け入れたり、公立学校の研究サポートを行います。
https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/klc/31623/
使途は学園に任せるという場合に選択いただきます。
2023年の事業計画では、開校時の年少児が6年生、1年生が9年生となるタイミングである2028年に実現したい子どもの姿とスタッフの姿として、以下のように言葉をおきました。
2028年度に実現したい子どもの姿 |
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1)9年生の1人ひとりが、風越のリソースを十分に活用し、他者と協同しながら、自分の学びをつくっている。 2)年少から8年生の1人ひとりが、12学年のつながりを持ち、「100%わたしをつくる」に向かって学んでいる。 |
2028年度に実現したいスタッフの姿 |
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1)スタッフの1人ひとりが、風越のリソースを十分に活用し、他者と協同しながら、子どもたちの学びに関わっている。 2)1人のスタッフが12学年の子どもたちに関わっている。全スタッフで1人の子どもに関わっている。 |
2028年度に実現したい姿に向けての第一歩として、2023年度は事業に取り組んできました。具体的には「ファシリテータートレーニング(ファシトレ)」が今年度から始まり、子どもたちが自ら場をつくる、自らコミュニティを育てていくための力が育まれています。風越学園らしい子どもが真ん中の学校運営のかたちが、さまざまな場面で現れてきていることを実感しています。また、これまで長期的な校舎の修繕や建替えのために引き当てていた予算を、スタッフの処遇改善をはじめとした短期的な施策に振り分けていくことを進めてきました。2028年度に実現したいスタッフの姿へと近づけるよう着実に歩みを進めています。
一方、運営上考慮すべき外的環境として、光熱費をはじめとした物価上昇による想定以上の支出増加や、新設校の開校による影響、移住の鈍化の可能性など、収支に大きな影響を与える要因もあり、収入面では引き続き、寄付募集の強化が要となっています。
2023年に実感できている手応えをより確かなものにしていくためにも、引き続き、支援者の皆様には寄付という形で私たちの挑戦を支えていただきますよう、お願い申し上げます。