風越のいま 2023年3月23日

僕が学校づくりで得たものは何か?(馬野 友之)

かぜのーと編集部
投稿者 | かぜのーと編集部

2023年3月23日

(書き手・馬野 友之/23年3月 退職)

学校づくりに取り組むプロジェクトは、人生で何度も経験できるわけではない。僕は風越で数年間修行を積み、その知識や考え方を公立中学校で活かせるようになりたいと考えていた。どのようなカリキュラムを設計し、どんな学校をつくりあげることができるのか、とても楽しみだった。

そして、4年の歳月が経ち、学校をつくるプロセスに関わりながら、僕が得たものは、カリキュラム作りのノウハウではなく、自分の「ものさし」であることに気づいた。学校をつくることは、「自分自身」をつくることでもあった。

風越で過ごす中で、自分自身への問いかけがたくさん生まれた。自分は何が得意なのか?何が好きなのか?どの瞬間が、自分にとって心地よいのか?何が楽しいのか?将来どのように生きていきたいのか?自分にとっての幸せとは何か?自分は一人でも挑戦できるのか?どんな仲間のサポートがあるといいのか?

自分自身について、今まで見過ごしていたことが多かったことにも気づいた。苦しい経験もあったし、ちょっと逃げたこともあった。でも、考え続け、問い続けた。中学校3年生の頃に初めて進路選択をしたときのように、自分自身のことを見つめた4年間だった。未知へのチャレンジをし続けている9年生に僕は大きく影響を受け、パワーや勇気をもらい、励まされた。9年生のみんな、ありがとう。

悩みや孤独を感じたこともあったし、ときには自分自身が何も進展していないように思えたこともあった。しかし、そんなときに心を寄せてくれる仲間たちがいたことが大きな支えとなった。一緒に美味しいお菓子を食べながら笑い合える学年団(7,8,9年ラーニンググループ)での会議が僕にとっては大切な時間だった。大好きなパートナーの子たちと1対1でゆったり面談したり、くだらない話をする時間も大切だった。僕にとっても、子どもたちにとっても、停滞は重要なプロセスであり、停滞しているように見えるかもしれないけれども、実際には現在進行形の状態なのだと知った。

学校をつくるというプロジェクトは、自分の「ものさし」をつくるプロセスだった。大人だって、「みらいをつくる」のだ。

この学校は、保護者もスタッフも、もちろん子どもたちも、すぐに正解が出るはずもない問いを抱えながら暮らしている。風越にいる間に、自分をつくり上げたり、自分のみらいがはっきりと見えるようにならないこともあるかもしれない。でも、そんなに焦る必要はないと思う。それが人が育つということだと思う。じっくり育っていく「わたし」も、結構いいかんじ。

風越1年目の自分に、言葉をかけるとしたら、こう言いたい。

「この学校では、どんなに小さくてもいいから、どんどん挑戦してみると楽しいよ。挑戦に失敗しそう?一人でどう挑戦するかわからない?大丈夫だよ。頼もしい仲間たちがいるからね。」

#2022 #スタッフ #みらいをつくる

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かぜのーと編集部です。軽井沢風越学園のプロセスを多面的にお届けしたいと思っています。辰巳、三輪が担当。

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