毎日うろうろ 2021年4月22日

ひとりで動き出してみると。

岩瀬 直樹
投稿者 | 岩瀬 直樹

2021年4月22日

ホーム西での朝の集いもそろそろ終わりそうな頃、キョウが「話したいことがある」と切り出した。

「このベンチ、ガタガタして壊れてきてるから直した方がいいと思う」。

他の人はさほど気にならなかったようで、集い終了後、あそびに各地に散っていった。

ひとり残ったキョウ。ベンチを運ぼうとするが、1人では大変そう。僕に気づき「ねえゴリラー」「ゴリラじゃない!」といういつものやりとりをした後、「ごりさん、こっちもって。こぐま(岡部)のところに運びたい。こぐまのラボなら直せると思うんだよねー」と、あちこちで楽しそうに遊んでいる人がいる中、2人でえっちらおっちらベンチを運ぶ。

ラボに到着。「こぐまー!あけてー!」

「ベンチガタガタしてんだけどさー、なおしたい」

『どれどれ、あ、本当だ!じゃあいっしょになおそうか。』

キョウとこぐまが2人でガタガタしているところを探していると、人がわらわら集まってきた。「何してるの?」『キョウくんが壊れたベンチ見つけて運んできたんだけど、手伝ってくれる人いる?』とこぐま。あれこれやりとりはあったが、これから鬼ごっこの約束があるんだと、結局つれない返事で、残ったのはキョウだけ。

でも、そんなことに気にする様子もなく作業開始。こぐまにドリルドライバーの使い方を教わる。恐る恐るやってみる。ネジとドライバーが真っ直ぐになるようにして強く押しつける。これがなかなか難しい。何度やっても、ドライバーはバタバタ暴れて空回りしてしまう。

ネジとドライバーが本当に一直線かどうかはどこからみればいい?」「横だ!」

そこへヨシヒトがやってきて手伝い始めた。ドリルドライバーを押すのを手伝うヨシヒト。『ゆっくり回しから、だんだん早回しにしていくんだよ』ドライバーを空中で何度も慎重に回し、いざ本番。ようやくネジが入っていった。悪戦苦闘の末、ようやく1本。

こぐまにどうだった?と聞かれ、「けっこう緊張したー」と笑顔でキョウ。

次はヨシヒトが1人でチャレンジ。キョウが「がんばれー」と声援を送る。ヨシヒト、なかなかの腕前で、少し空回りしたものの、すいっと成功。

『匠は一度も空回りさせずに打ち込むんだよ。ヨシヒト、匠になれるかもねー』とこぐま。

その後、2人は手を添え合いながら、どんどんネジを打ち込んでいく。これでなおったんじゃない?とベンチをひっくり返元に戻してみると、なんとネジが2本座面に顔を出している。

「このままじゃお尻に刺さる!」「これじゃカンチョウ椅子だ!(笑)」
なぜか喜ぶ2人。またやり直しだけど黙々と作業。

力を合わせて困難な道具、困難な課題に挑む。

自分たちで打ち込めるようになってきたので、こぐまは少しずつ遠くに離れて見守る。それにしても、こぐまはこの距離の開け方がなんとも絶妙だ。大切なことは教えつつ、自分でできるように渡していく。

1時間弱ぐらいやっていただろうか。「できた!」「座ってみよう!」

1年に1回は、外にあるもの点検したいなとキョウ。「ありがとう!こぐま!」と大声で言った後、2人はえっちらおっちらベンチを運んでいった。

やりたいこと、やらずにはいられないことに偶然出会い、ひとりで動き出したキョウの熱量みたいなものに、一緒に動き出す仲間があらわれるのがおもしろい。わたしの「〜したい」「〜せずにはいられない」が、いつのまにか「わたしたち」になっていく。触発されたり、あこがれたり。

あとさき考えずに、心が動いたことで何かをしてみて、未知を味わう。キョウの顔がこの時間の価値を物語ってるな。

こぐまが、同じエピソードをこぐま側から見たアンサーソングならぬアンサー記事を書くそうなので、お楽しみに。

岩瀬 直樹

投稿者岩瀬 直樹

投稿者岩瀬 直樹

幸せな子ども時代を過ごせる場とは?過去の経験や仕組みにとらわれず、新しいかたちを大胆に一緒につくっていきます。起きること、一緒につくることを「そうきたか!」おもしろがり、おもしろいと思う人たちとつながっていきたいです。

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