だんだん風越 2020年8月20日

第2回かざこしミーティング 〜日常を活性化する〜

片岡 利允
投稿者 | 片岡 利允

2020年8月20日

第1回かざこしミーティングを終えて、翌月の第2回開催までの間、あちこちで様々な動きを見せた、日常を活性化していくための「かざこしミーティング」。

風越がひとつの生命体だとすると、その血の巡りを良くするためのポンプのような場にかざこしミーティングがなっていってほしい。そのイメージが、具体となって風越内で起こってきた。今回は、それらについて紹介したいと思う。

保護者も巻き込んだ「森を守ろうプロジェクト」

「森を守ろうプロジェクト」チーム。キックオフに立ち上がったこのチームは、しんさんに助言をもらいながら、キックオフの翌週には、仲間を募るポスターをエントランスに飾っていた。プロジェクトを進めていく上で、この初速のスピード感は大事だなあと思う。

そのスピード感からくる熱量を感じてか、多くの人がポスターの前に立ち止まり、ポスターの下に用意された参加者名簿は、幼稚園生から中学生、スタッフや保護者まで、びっしりと名前で埋め尽くされていた。

聞くところによると、しんさんの「人気(ひとけ)のあるところは人気(にんき)が出る。だから、ポスターで呼びかけるだけじゃなくて、名前を書いてもらうと、「あ、あの人も参加するんだ!」と人気(ひとけ)が出て、人気(にんき)が出てくるよ。」という助言を活かしたこと、typhoonを使って保護者に呼びかけたことが、結果として、多くの人が集まることに繋がったそう。

このように、かざこしミーティングに関わった子どもたちは、人を巻き込んでプロジェクトを実行していくために必要なことも体験的に学んでいく。

ポスターでの呼びかけから約半月が経った7月3日。当初は、森と川に分かれての掃除を予定していたが、森に熊が出没したこともあり、芝生付近の雑草抜きに変更。総勢約50名の参加者が集まり、川の掃除と雑草抜きに分かれて活動を行った。

集まった保護者に指示を出すのは、4年生のサワ。緊張感が伝わってくるものの、これまで話し合って準備してきたことへの自信のようなものも感じさせられる。たくましかった。

はじめは高々と生い茂っていた草たちは・・・

ものの1時間であっという間に綺麗に取り除かれ、芝生が顔を出す。



雑草抜きの活動を通して、スタッフと保護者の間で、保護者同士で、関わりが生まれていく。その姿を見ていると、「ともにつくっていく」というのはこういうことだよなーと。

幼稚園生のルカと7年生のソウの間では、ルカが見つけたミミズを見せたところ、ソウがそのミミズの大きさにびっくりし、その姿にルカがニヤニヤする、みたいな関わりが生まれていた。協同して作業に取り組む中で生まれていく自然な関わりって、何だかいいなあと思う。

最後は、川チームとも合流して、みんなで集合。かざこしミーティングの場で生まれた「〜たい!」から、保護者も含めた風越のみんなと、よりよい風越をつくることを実感した瞬間。

プロジェクトのサイクルをぐるっと一周回した森を守ろうプロジェクトのメンバーは、お昼ご飯を食べながら、その表情からは充実感に満ち溢れていた。そりゃそうだ。自分たちの「〜たい!」が実際に、自分たちの風越をよりよく変えていくことに繋がったのだから。

子ども発信で、大人を巻き込んでいくプロジェクト。大人が子どもの「〜たい!」を手伝ってあげただなんて、おこがましくて言えない。むしろ、「〜たい!」から対話を重ね、ここまで形にして、そのプロジェクトに関わらせてもらってありがたいという気持ち。いや、ありがたいもなんだか違うな。とにかく、大人発信だと、あの場はつくれなかったなと感じる時間だった。

子どもたちとともに「かざこしミーティング」をつくっていく

ゆくゆくは、この「かざこしミーティング」の運営も、子どもたちに任せていきたいなあと思っている。そのために、第1回が終わってから、次の開催までの1ヶ月、毎週お昼休みに、子どもたちに呼びかけて「かざこしミーティング」についてのランチミーティングを開くことにした。

集まったのは、10名ほどの後期の子どもたちとスタッフ数名。お昼ご飯を食べながら、あーだこーだ話す感じがいい。こういう余白から何かが生まれるんだろうな。

掲示板をよりよくするためのアイデアをみんなで出し合う中で、スタッフのよっしーが、「みんなの名前がわからないからどうにかしたい」と本音をポロリ。それに対して、「よっしーのランチ会を開けばいいじゃん!」「でも、誰もこなかったら悲しいねー」「いや、名前を聞けばいいでしょ!」と、みんなでアイデアを出し合う。

プロジェクトを立ち上げるところまではいかなくても、これぐらいサクッと話せる感じというか、ミーティング開くまでいかないけどちょこっとアドバイス欲しい、みたいなことも出せたらいいね、なんて話にもなった。

それを実現させるためのアイデアとして、掲示板に書かれたアジェンダに対して付箋でコメントできるような機能をつけようということに。

その後、オフィスでのランチミーティングを重ねる中で、「そうしたら、掲示板、今のホワイトボードじゃ小さいな。大きいのをこぐまに発注して、つくってもらおう!」というアイデアが出て、早速、こぐまに相談。

出来上がったのがこちらの木製の掲示板。これまでの掲示板とは違って、みんなの「よりよい風越をつくっていくために話し合いたいこと」がこの掲示板に貼られていくイメージ。そして、この掲示板上でも、やり取りが行われるようにしていく。

はじめのランチミーティングから1週間足らずで形になった。やはり、ここでも心地いスピード感が熱を生んでるなあと実感する。ここまで大きいと、さすがにみんなの目に止まる。ここから、立ち話が日常的に行われるような場所にするにはどうしたらいいだろう。

みるみるうちに、掲示板がみんなの話し合いたいことで埋まっていく。さかなが好きな1年生のセイタロウは、「さかなクラブをつくりたい!」と書いた紙を貼った。

翌日、気になって掲示板を見に行ったセイタロウは、「見て見て!返事が来てる!サイトって誰だろう?あ!となりのホームの人からだ!やったー!」と嬉しそうに報告しに来てくれた。「オレ、絶対次のかざこしミーティングに参加する!」と意気込んでいるのをみると、やはり、自分の話したいことに興味を持ってもらえることって幸せなんだなということがよくわかる。

他にも、いろんなアジェンダが集まっていて、今、風越のみんなの関心ごとがよくわかっておもしろい。そういう意味でも、結果的に価値のある掲示板になった。自分の欲求のままに書いている子が多いなあとか、そういうことが気になっているんだなあとかがよくわかる。そこからまた対話も生まれてくる。「オープンな広場」としての機能は、このような形で具現化されつつある。

ちなみに裏面はというと、風の子新聞や、かざこしミーティングから始まったそうじチームからの連絡、部活チームのアンケート、その他チラシなどを掲示する場所として活用されていた。部活には多くの子どもたちが関心を示しており、この掲示板の裏面の存在の認知を広げていったのは、おそらく部活のアンケートのおかげだろう。意図せずとも、つくり続けていく中で、勝手に、次々と繋がっていくんだな。

看板をつくって、みんなにも「ランチかざこしミーティング」を開催していることを知らせよう!というアイデア。こちらは不発…。

もちろんこういうこともたくさん経験して、それでも、いろんなことを試していくことが大事なんだ。そういうプロセスごと、よりよいをつくるための「かざこしミーティング」をつくっていくんだと思う。

第2回かざこしミーティング

かざこしミーティングは、よくある児童会・生徒会の総会ではない。議決機関ではない。あくまでも、日常の「よりよい風越をつくる」が活性化するための、起点となる場だ。

日常が「分科会」とすると、かざこしミーティングは「全体会」。さらに言えば、かざこしミーティングを通して、ミーティングについて学んだり、ファシリテーションを学んだりもする。そういうことを踏まえて、第2回かざこしミーティングでは、以下の2つのことを新たに始めることにした。

①全体共有(かざこしミーティングからはじまったことのその後を共有する時間)

こちらは、先ほどの「森を守ろうプロジェクト」のチーム。活動の報告をしている様子。それぞれ散らばって行われているミーティングやプロジェクトは、よりオープンにされることで、互いに刺激し合うことに繋がる。それが、また別の「〜たい!」を誘発し、ここから、また何かがはじまっていく。

これまでの取り組みをアウトプットする場があることによって、アウトプットする側も、また、次の「〜たい!」に繋がっていくだろう。それが、この全体共有の時間である。

「流し〇〇チーム」は、連日、活動に必要な大きなビニールプール探し回っていた。「とっくん!ビニールプール持ってない?」とあちこちを駆け回っていたメンバーのエナとユキに、「今度のかざこしミーティング、はじめに全体共有の時間があるから、そこでみんなに呼びかけてみたら?」と提案したところ、このように、全体共有の時間に自分たちのプロジェクトの趣旨から説明して、ビニールプールを持っている人はいないか呼びかけた。すると、数名の手が上がって、何とか問題は解決されそう。

きっと、この呼びかけがひとつのモデルとなって、他のみんなのプロジェクトを進めていく上での選択肢になっていくだろう。「準備できないからダメだー」じゃなくて、「じゃあ、呼びかけてみよう!」になることも、活性化のひとつの姿。こうやって、呼びかける“場”があることがミソだなあと思う。

②ミーティングミニレッスン(よりよいミーティングを行うための技を学ぶ時間)

ミーティングによっては、「〜たい!」の芽を摘むようなことも起こりうる。僕自身、そんな残念なミーティングをたくさん経験してきた。もしかしたら、子どもたちの中にも、これまでの経験から「話し合いは面倒だ」「話し合いは嫌いだ」なんて印象を持っている子がいるかもしれない。

そこで、「〜たい!」を活かせる、いいミーティングができるようになるためのコツを学ぶ場としても、このかざこしミーティングを使えないかと考えて、「ミーティングミニレッスン」の時間を設けることにした。ここは、ファシリテーションのプロであるアンディにお任せして、5分程度で、短くレッスンしてもらった。

初回は、「何について話すか」を決めてからはじめる、というテーマ。当たり前じゃん!と思うかもしれないが、意外にできていないことが多い。ふわっとしたミーティングは、ふわっとした話し合いしかできなかったり、何も決まらなかったりして、熱が冷めていくようなことって結構あるよなあ。参加する大人にとっても学びの場になっている。

ミニレッスン後の流れはこれまで通り。アジェンダを出し合って、話し合いたいところに集まって分科会を開いていく。

早速、ミニレッスンで学んだことを生かして、何について話すかを決めるところからミーティングがスタート。ミニレッスンを通して、こういったテクニックが共通言語となっているので、スムーズにミーティングがはじまっていった。

かざこしミーティングでコツを学んだ、その良さを感じ取った子どもたちは、日常のあらゆる場面でのミーティングのときに、きっとそのコツを生かしたくなるだろうし、それが、かざこしミーティングに参加しなかった子どもたちへも伝播していって、結果的に、話し合い上手な人が増えていくだろう。まだ始まったばかりで希望でしかないが、きっと、そうなっていくと信じている。良いものは、ちゃんと広がっていくと。

「学びのセンター」としての風越

実は、国内での新型コロナウイルス拡大の影響で、夏休み前にひとつチャレンジし損ねたことがある。それは、子ども・保護者参加のかざこしミーティングを開くこと。もともと、このかざこしミーティングは、子どもたちだけの場に留めておくつもりはなかった。(あくまでも子どもたちを真ん中に置いて)よりよい風越をつくっていくための話し合いを、子ども、スタッフ、保護者、さらには地域の方々と一緒に行っていく、そういう場にしていきたいと考えている。これは、夏休み以降のチャレンジ。

もう一つ、描いている未来の情景がある。それは、このかざこしミーティングを体験した子どもたちが大人になって、それぞれの場所で、よりよい組織や家庭をつくっていくことはもちろん、かざこしミーティングを体験した保護者が、そこでの体験を家庭に持ち帰って、よりよい家庭を築いていくことに活かしたり、地域の方々がよりよい地域づくりに活かしていくこと。

つまり、風越が「学びのセンター」としての役割を担い、風越を起点にして、風越を出入りした人とその周辺の人たちの生活が、よりよいミーティングを通して、より豊かなものへと変わっていく。そして、20年、30年後には、じわじわと日本のあちこちで、話し合い上手な人たちが増えていき、国全体が変わっていく。そうして、ここ軽井沢風越学園から民主主義の芽が広がっていくんだ。

さあ、夏休みが終わろうとしている。軽井沢の夏は短い。
このあつさ、熱をちゃんともって、ここからまた歩んでいきたい。

 

片岡 利允

投稿者片岡 利允

投稿者片岡 利允

「自立」「信頼」「共創」が人生の軸。「思考より試行」でとにかくやってみるタイプの人間です。あと、シンガーソングライター。関西人です。

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