2020年8月8日
夏休みに入って、この4ヶ月を振り返る。何か1つ大きなトピックスをあげるとすると、最初に思い浮かぶのはやはり、「かざこしミーティング」だ。
「これだ!」と確信のあるものになりつつある、かざこしミーティング。今後、風越のカリキュラムの軸になっていくだろう。
前回の記事では、「かざこしミーティング」の立ち上げとキックオフイベントまでのプロセスを書いたが、今回は、その後、第1回を開催していくなかで、「かざこしミーティング」を通して感じ考えていたこと、その周辺で起こっていったことについて書きたい。
CDP(カリキュラム・ディベロップ・パートナー)のまーぼーとは、毎月ミーティングをしているが、この時間がすごく好きで、毎回、唸っている。国の民主主義はここから変わっていくんだ!なんて熱く語り合っている。それくらい、今起こっていること、子どもたちの姿から確信を持っている。
(まーぼーの「古瀬ワークショップ事務所」のホームページがリニューアルされていて、その中の詩「対話に生きる-Live Pn Dialogue」はぜひ読んでいただきたい。「対話」についての考え方、すごく近いものがあります。)
話は、キックオフを終えた6月中旬にさかのぼる。
キックオフでは、「よりよい風越をつくっていくために、みんなで話し合いたいこと」というテーマで、アジェンダを出し、分科会を開いてミーティングをしていった。
その場で完結しないミーティングについては、後日、予定を調整して、それぞれで進めていく。セルフビルドの時間や、お昼休みに、あちこちで同時多発的にかざこしミーティングの続きが開かれていった。そのプロセスは様々で、それぞれの必要感から、集まる時間や人数や場所も決めている。日常的な対話が早くも活発に行われるようになっていた。
自分たちの「よりよくしたい!」という思いから出発し、友だちと相談するだけでなく、必要に応じて必要な人の手を借りることは、よりよりミーティングの在り方だなあと思う。早くもこういうことが起こっていることに、正直、驚くばかり。人の「〜したい!」の力は、本当にすごい。
さて、いよいよ「かざこしミーティング」も本格スタートの第1回に向けて準備を進めていく。キックオフを終えてから行ったまーぼーとアンディとのミーティングの中では、「みんなで集う価値とは?」という話題で盛り上がった。
そういえば、風越がはじまって以来、ここまで一堂に会する機会がなかった。「よりよい風越をつくっていくために」といっても、その「風越」をつくっていく人たちみんなの顔が思い浮かばないことには、一部の人たちのためのミーティングの場になってしまうのではないだろうか。
あと、全員が集まって行う儀式的行事には、お祭り的な機能もあって、所属感とか全体感は、コミュニティの中でのお祭り的な場によって身体性を伴って感じられるのではないだろうか。そういうことを実感するところから、初めて「ここにいるみんなでよりよいものをつくっていこう!」という意識が芽生えてくるんじゃないか。
そういう思いから、第1回はみんなで集うことにした。これが、初めて風越のみんなが一斉に顔を合わせる機会になる。
さあ、第1回かざこしミーティングは、どんな場にしようか。そう考えた時に、やはり、改めてこの場の価値についてみんなに伝えるところから始めたい。でも、僕がまた伝え直すのは、なんだか違う気もするし、声が届くのかもわからない。
しんさんに相談してみると、「子どもたちに任せてみれば?」と。そうだ、キックオフに参加した子どもたちなら、きっとこの場の価値を語ってくれるだろう。ぼくから出発した思いは、あの場を共有した子どもたちにはちゃんと伝わっているし、あの場にいたからこそ芽生えた思いもきっとある。
そうした思いは、絶対伝播していく。そうやって、じんわりと広がっていった思いが、やがて風越の文化をつくっていくんだ。そう信じて、放課後にキックオフに参加した5〜7年生を集めて、はじめに「かざこしミーティング」について語ってもらうよう、伝えた。
第1回に限っては全員参加としたが、「かざこしミーティング」は毎回全員参加を強要しない場にした。形式的な民主主義はいらない。
「よりよい風越をみんなでつくっていくための話し合いを大事にしたい!」という思いに共鳴した、一部の人たちとはじめていく。やがて、それが波紋のように自然と広がっていく。それが、ホンモノの民主主義を体現していくということなんだと信じている。
エントランスに、キックオフの時のミーティングの記録と写真、そして、見上げると「かざこしミーティング第1回」の文字が目に入ってくるようにした。一目で見て今日が何の日なのかがわかるということも大事。
10時半。土台の学びが終わった後期の子どもたち、遊びを中断して来た前期の子どもたち、それに合わせてスタッフのみんなもぞろぞろとグラウンドに集まってくる。
幼稚園生から中学生まで、みんなで大きなひとつの輪をつくる。はじめて一つになったことを体感した瞬間。思っていたより小さくも感じた。でこぼこした感じも、愛おしく思えた。
まずは、ぼくから一言。かざこしミーティングをはじめる合図。話し始めると、思いの外、届いている実感があったこと、実際にみんなが集まったことを実感したこともあって、身体の中からアツいものが込み上げてきて、ついつい自分の思いを語ってしまった。(理事長、校長よりも先に、一スタッフが全体の場で思いを伝えるというのも、何だか風越ならではだなと思ったり。)
そのあとは、子どもたちの言葉で「かざこしミーティング」について伝えられる。「かざこしミーティングは、みんなが話したいことを持ち寄る場なんだ。そういうことを体感していく時間なんだ」と、思いを語る子どもたちの表情は、何とも言い難く、グッとくるものがある。
その後、小さなグループにわかれて、それぞれでアジェンダを集めた。
ぼくは、ふらっと全体を見渡しながら、あちこちから聞こえてくる話し声を聞いて、よりよい風越をつくっていくための種がこの場にたくさんあることを感じていた。あとは、この種を育てていくだけだ。
最後は、せっかくみんなで集まったので、より一体感を感じられるように、ウエーブで思いをつないでいく。声で、全身で、身体を通じて、つながりを感じる。いい時間が流れていた。こういう体験を通して、少しずつ、風越で起っていること、つくっていることが「我らごと」になっていくのだろう。そういう意味で、定期的に集うことには価値があるのかもしれない。
ここまでが全体会。その後、分科会を開き、参加希望者だけで、それぞれミーティングを開いていった。
こちらは、「森を守ろう」チーム。キックオフから1週間足らずで、森と川をきれいにするための活動の告知と参加者募集が始まった。このスピード感。初速の熱量で、ここまでアウトプットすることは、プロジェクトを進めていく上でとても重要で、そういったことは、やはり「日常的な対話」によって起こるんだ。
こちらは、「部活」チーム。早速、投票箱を設けて、やりたい部活についてのアンケートをスタート。こちらは、頻繁にtyphoon上でやり取りを進めていた。「日常的な対話」は、オンライン上でも行われている。チラシのデザインとフィードバックは、確かに、オンライン上の方がスムーズだ。
また、かざこしミーティングで大切にしたいことの1つに「オープンな広場」がある。このように、同時多発的に行われているミーティングを見える化することで、互いに刺激し合い、また、参加したい人が参加したい時に参加できるようにする。そういうことを通して、動き出したプロジェクトも活性化していく。オープンであるからこそ、血の巡りが良くなる、みたいなことがある。そのために、実験的に、掲示板を設けてみることにした。
ここまで、読み返してみると、何だか順風満帆、いい感じにも思えるが、まだまだこれは試行錯誤の最中。だからこそ、常にプロトタイプを出しては修正修正、しかない。
でも確かに、民主主義の芽はここから育っていくんだ。そういう確信を持って、進み続けた先に、結果として、ホンモノの民主主義の輪郭が浮き彫りになっていくのだろう。
よりよいをつくり続けていく他ない。
さあ、次の挑戦はどこにある?
奈良県公立小で4年勤めたのち、準備財団時代の2019年から軽井沢にきちゃいました。B型山羊座の左利き。男三人兄弟の長男です。好きな教科は国語。うなぎとうたが大好物。学生時代は、野球部でバンドのボーカルでした。関西人ですが、どちらかというとツッコミの方です。
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