2021年9月22日

第53号(2021年09月22日発行)

2021年9月22日

こんにちは、軽井沢風越学園です。

新型コロナウイルス感染症の第5波が重なった夏休み明け。
近しい年齢で分かれた小集団での再会となりました。
まざって起きること、わかれて起きることの違いを観察しています。

さて、今回はお知らせがたくさんあります。

1)2022年度の募集要項を更新しました。出願受付は9月29日からです。
  >> https://kazakoshi.ed.jp/campus/guide2022/

2)来年度の長期インターンの募集を開始しました。応募締め切りは10月31日です。
(スタッフの募集は終了しております)
  >> https://kazakoshi.ed.jp/news/recruit/19624/

3)10/14にオンライン授業見学を実施します。次回のテーマはラボスペースでの「つくる」です。
  >> https://peatix.com/event/2937549/view

4)「第3期風越コラボ」開催にあたって、11月3日にプレイベント(オンライン)を実施します。
  >> https://kazakoshi.ed.jp/news/event/19696/

かぜのーと 第53号(2021年09月22日発行)
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【1】『「起きたことからスタートでいいんじゃないかな」』岩瀬 直樹
【2】『夏から秋へ』本城 慎之介
【3】『空想と現実世界の中で…つながりから生まれる物語』坂巻 愛子
【4】『やる、やらないの選択ではなく、どうやるかを選択しよう』岩瀬 さやか
【5】『選ばなかったチャレンジ』甲斐崎 博史
【6】『絵を描くことと親しい人へ。』羽田 鋭
【7】『学園説明会「”まざる”って、どういうこと?」(前編)(後編)』
【8】『学園説明会「”「  」になる”って、どういうこと?」(前編)(中編)(後編)』
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【1】毎日うろうろ 
  『「起きたことからスタートでいいんじゃないかな」』岩瀬 直樹
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異年齢が行き交いながら活動していた生活から、近しい年齢のラーニンググループ単位、20人弱の固定化されたメンバーでゾーニングされた範囲で過ごすことになって4週間目に入った。例えば7、8年生は20人くらいの2つのグループに分かれて、他のグループや他の学年と交わらずに活動している。異年齢のホームの活動も一時休止中。

前回も書いたが、この状況の中で新しいかたちにチャレンジしている。さまざまな新たな実践が生まれ、スタッフの中では手応えを感じている人が多いし、子どもの様子やコミュニティの充実にも表れているように見える。感染状況にかかわらず、もう少しこのかたちを続けたい、という気持ちになってきているスタッフも多い。

では、学校の一番のつくり手たる子どもたちはどう考えているだろうか。

月曜日の6時間目にあたる時間。大きな机ゾーンでマイプロジェクトに取り組んでいた8年生のカイトと、7年生のノイにミニインタビューをしてみた。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/gori/19522/

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【2】風越のいま 『夏から秋へ』本城 慎之介
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第23週、多い雨。これを抜けると秋の入口だろう。芝生広場のイロハモミジは色づき始めている。

初めての土曜日開催のオンライン授業見学。
風越に関心のある子どもたちに向けて、風越にいる子どもたちが語る。
素直な、そして実感のこもった確かな言葉。

終了後、移動しながら協力してくれた一人とやりとり。

「やってみてどうだった?」

「話を聞いてもらえる機会があるっていうのは、ありがたい。思っていることを言葉にできるから。だからさ、他のスタッフもいろいろな子どもたちとこういう場を持ったほうがいいと思うよ。」

現状に対するストレートなフィードバック、感謝。
夏休み明けの危機管理モードからシフトチェンジのタイミングだな。

記事はこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/19408/

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【3】風越のいま 
  『空想と現実世界の中で…つながりから生まれる物語』坂巻 愛子
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「嘘の明日は新しいホテルに行けるってことね」
「じゃあ、嘘の明日は花火もしようよー」
「温泉にいこー」
「お湯の温度は8℃でーす」

ちょうちょチームの人たち(4.5歳)のお喋りはこんな風にそれぞれが描いた虚構の世界を伝え合うことがたっぷりとあって、ごっこ遊びの中でイメージがつながり合う楽しさを味わっていた。

6月、鳥の声が日に日に賑やかさを増してきた。鳥さんたち、何てお話してるんだろうね、と聞いてみると、「ぴーぴーぴーってないてる」「そうだよそうだよって言ってる」「クイーンクィン」「うっせーうっせーうっせーわって聞こえる」とそれぞれの身体や心に届いている鳥たちの声について話していた。

そんなちょうちょチームでのある日の朝の集い、東の森に鳥の巣箱が掛けられた話になる。「ことりのあかちゃん生まれたかな~、巣箱の中見たいねー」と。
すると、
ダイト「ぼくたちが鳥になれば見られるよ!」
ジン「ほら、見てて、こんな風に」(木に登る真似)
アイラ「羽をつくって飛ぶってこと」(手を広げて)

集いの輪から芝生広場へと鳥になりきって飛んでいく人たち…。鳥ごっこが始まった。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/19562/

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【4】だんだん風越
  『やる、やらないの選択ではなく、どうやるかを選択しよう』岩瀬 さやか
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公立小学校で通級指導教室(比較的障害の程度の軽い子どもが、通常の学級に在籍しながら、その子の障害特性にあった個別の指導を週1、2時間受けるための教室)を担当していたとき、在籍級の担任が年度で変わると子どもの状態が変わるということを体験してきました。1人の子どもに、さまざまな場面でいろいろなスタッフが関わる風越では、その変化は大きくありません。スタッフそれぞれの見方がまざる中で、多様な視点で子どもの姿が形作られ、翌年にもつながっていくからです。

流動性の大きい校舎のつくりもあって、子どもたちの居場所は多く、以前の学校では教室から飛び出すしかなかった子どもや、不登校傾向にあった子どものほとんどが過ごせるようになっています。幼小中一緒に利用する保健室が混み合うことはないほど、子どもたちは自分の居場所をみつけています。

風越学園では障害のあるなしに関わらず、その子にとって必要な支援を考えて学びや生活を進めています。例えば、読み書きに苦手さがあるときに音声教材を使用したり、集中できる時間に合わせて課題を設定したり、クールダウンスペースを校舎内数カ所に設けたりしてきました。異年齢で過ごしているので、学べていないことに学年関係なく戻りやすかったり、同年齢ではコミュニケーションに苦手さを感じる子も別の学年で合う人をみつけやすかったり。幼小中と長期的な見通しの中で関われることは、子どもにとっても大人にとっても素敵だなーと実感しています。

こう聞くと、風越に行けば何でも解決するように見えるかもしれません。ところが、全ての物事には両面があり、風越ならではの流動性や不確定性に苦しさを感じる子どももいます。下の図は、3年生のある1日の流れを空間・仲間・大人の要素でまとめてみたものです。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/19610/

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【5】風越のいま 『選ばなかったチャレンジ』甲斐崎 博史
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“It is the sin of the soul to force young people into opinions – indoctrination is of the devil – but it is culpable neglect not to impel young people into experiences. “
「大人が子どもたちに考え方を強いるのは間違っている。しかし、経験を強いるのは義務である」

「Outward Bound」 の創始者 Kurt Hahn(クルト・ハーン)の言葉

風越学園は、子どもたちの「〜したい」からはじまる探究や学習、活動を大切にしています。日々、プロジェクト、かざこしミーティングなどで子どもたちの「〜したい」があふれ出しています。

しかし、「〜したい」と同時に、「〜したくない」も認められるわけで、「それはしたくないからやらない」という選択も尊重されます。まあでも、学校の中の教育活動すべてが「〜したい」がスタートで行われているわけではないのですが、課題や時間、活動単位(活動する仲間)を自分で決めるような授業や活動の時には、「これをしたいからやる」と同時に「それはしたくないからやらない」も子どもたちの心の中には起こっているということになります。嫌いなことや苦手なこと、辛そうだなぁと思われることは、避けることができるし、逃げることができます。「わたしをつくる」プロジェクトで、「私は算数が苦手だから辛いけど取り組みたい」という痛々しげなテーマを設定する子は非常に稀です。やりたいことができるのに、あえてやりたくないことをテーマに設定する子がいないのは当然といえば当然であり、そこで「やってみたら?」と勧めるのはとっても野暮なことです。「言ってることが違う!」と逆に突っ込まれることでしょう。

でも、これはなかなかにスタッフ泣かせな問題なんです。「〜したくない」からやらないでいたら、いつまでたってもスタッフが「やってほしいなぁ」と思うことにはたどりつきません。「わたしをつくる」の「マイプロジェクト」や「自学探究」ではこうしたことが起こります。工作好きな子はずっと何か作っていますし、生き物好きな子はずっと観察しています。土台の学びは必修で、「したくない」といっても選択の余地はありません。でも、作家の時間も読書家の時間も、何を書くか、何を読むかは子どもの「〜したい」が大切にされています。同じく算数・数学も自分でテキストを選び、進め方も自分で決めています。(風越学園すごいなぁ)「こういうジャンルも書いてほしい、 読んでほしい」と思って勧めても、「いや私はこれをやりたい」と言われればそれを尊重します。

日常の場面でも、学校づくりに興味関心が高い子はかざこしミーティングに積極的に参加したり、自主的にプロジェクトを立ち上げて活動に精を出したりしますが、興味がない子は知らず知らずのうちに遠ざかっていきます。なるべくたくさんの子どもたちにつくり手として関わってほしいと思っていても、「いやいや、無理にやらせてもなぁ…」という逡巡がスタッフにはつきまといます。

えらく前置きが長くなってしまいましたが、私がここで書きたいのは、実はアドベンチャーの話なんです。今年度からアドベンチャーカリキュラムを教育課程の中に編成し、数々のウィルダネス (*1)のアドベンチャープログラムを実施している理由の一つが、ここまで書いてきた子どもたちの実態をなんとかしたいという思いがあったからなのです。

記事はこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/19619/

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【6】風越のいま 『絵を描くことと親しい人へ。』羽田 鋭
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ぼくは絵を描くことが好きです。一度、描き始めるとなんの苦もなく1時間でも2時間でも時間が流れていきます。丸くなって固まった背中を伸ばし、肩をぐるぐる回しながら、そこまで描き上がったものを眺める時間はすばらしいものです。

ぼくは絵を描くことが得意です。小学校のころ、休み時間に自由帳を広げて好き勝手に絵を描いていると、友達が自由帳をのぞきこんであれこれホメてくれました。リビングで暇を持て余してカレンダーの裏に描いた落書きは、祖母が部屋の壁に飾り付けてくれました。

そんな僕と同じように、絵を描くことと親しい人へ。
はたちゃんはこんな風に絵を描いて風越学園で暮らしていますよ、を少し紹介できたらと思います。

続きはこちら>> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/19584/

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【7】『学園説明会「”まざる”ってどういうこと?」(前編)(後編)』
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8月4日(水)、5日(木)、7日(土)にオンラインで学園説明会を開催しました。

残念ながら今年もオンラインでの開催。今回は、私たちが大事にしたいと思っている『つくる』『まざる』『「  」になる』とは、あらためてどういうことか。実際に起きているエピソードをもとに、岩瀬(校長・園長)と本城(理事長)とスタッフが話をしました。

この記事では二日目、「”まざる”ってどういうこと?」で話された内容の一部を前編・後編にわけてお伝えします。前編の聴き手は、共同研究の一環で定期的に風越学園に訪問し「風越の教室に入ってみた」の書き手でもある赤木和重さん(神戸大学 准教授)です。

前編はこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/19318/
後編はこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/19375/

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【8】『学園説明会「”「  」になる”って、どういうこと?」(前編)(中編)(後編)』
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8月に3回実施した学園説明会。これまでの「”つくる”って、どういうこと?」と「”まざる”って、どういうこと?」について、改めて言葉にすることで、スタッフ同士でやりとりする機会にもなりました。

3日めのテーマは、「”「  」になる”って、どういうこと?」。前編の聴き手は、山崎繭加さん(軽井沢風越学園理事・保護者)です。中編ではスタッフ3人、後編では8年生と保護者、本城によるやりとりをお届けします。

前編はこちら>> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/19532/
中編はこちら>> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/19670/
後編はこちら>> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/19676/

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(あとがき)
今年に入ってより一層、保護者の存在を心強く思うことが増えました。
決して保護者にとっても楽ではない学校づくりの日々だろうと思うのですが、
こんな場面で力をお借りしたいなと顔が思い浮かぶ、またそれに気持ちよく応えてもらえる。本当に有難いことです。

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発行元 学校法人軽井沢風越学園
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