「最近、どう?」 2020年6月16日

「自分たちの生活って感じがする」ナナミ

本城 慎之介
投稿者 | 本城 慎之介

2020年6月16日

ナナミにインタビューをしたのは通常登校が始まって2日目の6月2日。それから2週間後、この原稿を印刷してナナミに修正したい点がないか確認をした。ひと晩たって赤入れした原稿が戻ってきた。それを受け取りながら「自分のインタビューを読んでみて、どう?」と質問をしてみた。

〔ナナミ〕私、考えが変わったなぁ、と思うところがあります。やっぱり6月2日って、まだ始まったばかりで。例えば、「できるだけ自分のやりたいことをやればいいと思う」っていうところとか。いま、掃除の話とかもしてますよね。集団生活をしていると、やっぱりやらなきゃいけないことってけっこうある。そういうところとか、2週間しか経ってないけど、私、ちょっと変わったなぁって思います。

ナナミが卒業する時に、もう一度同じやりとりをしてみたい。「ナナミ、3年前の自分のインタビューを読んでみて、どう?」

「自分たちの生活」って感じがする

ー〔本城〕 コーナーの名前が「最近どう?」で、いつもその質問から初めてるんだけど、ナナミは最近どう?

〔ナナミ〕最近、すごい楽しいです。先生が全部決めちゃうんじゃなくて、自分たちで企画したり、決められたりするのが、自分たちの生活みたいな感じで。

ー こないだ風越づくりでナナミは「ルーム」を自分たちでデザインしていたよね。全部でいくつの部屋をデザインしたんだっけ?

1・2・3・4……9個。

校舎2FにはR01~R11までの部屋がある。今回はR03~R11までのデザインを子どもたちが担当した。

ー 9個の部屋をつくってみてどう?

個人的には、部屋づくりっていうのかな、机とかの配置を決めるのが好きで、でも自分の部屋はやったことはなかったからやる気はあったし、4人だけで決めたから意見がいいやすかったし、やりやすかったです。

ルームデザインチームのナナミ、ウタロウ、カイト、サナ。風越づくり初日の話し合いの様子。

ー デザインとかはその4人で決めて、動かしたりするのはみんなでやったんだ?

はい。

ー どんな気持ちでどんなことを考えながら、部屋のデザインをしてたの?

どうしたらみんなが話しやすかったり、勉強しやすかったりするかなって考えました。あと、しんさんやゴリさんが「未来の教室をつくってね。いままでの教室の形にしばられなくていいからね。」って言ってたから、斬新な感じにしようかなって。それでデザインしてました。

ー ナナミはどんなことを一番大事にして部屋づくりしたの?

一番はみんなが楽しい雰囲気になるっていうこと。授業を聞いていなくちゃいけないんだけど、話し合いの時に話しやすいように、なるべくみんなが向き合えたらなって。

ー その楽しい雰囲気にするために、どんな工夫をしたの?

私は、5・6の部屋を担当したんだけど、十字の形で机を置いてみました。あれは斬新かなって。

椅子の間隔もあけて、密にならない配慮も。

ー デザインしてさ、実際に作業するのはみんなでしたじゃない。その時はどんなことを意識してた?

作業をする前日、みんなに説明したり指示したりする時に、あんまりうまく指示できなくて伝わらなかったので、実際にやる時はもうちょっと声をはったり、みんなに分かるように難しすぎない言葉でとか、そういうのを意識してました。

ー それは誰かに「もう少しこうした方がいいよ」とフィードバックをもらったのかな。

もらってないんですけど、すごくサナが頑張ってたから。私ももう少し声はったほうがいいのかなって意識してやりました。

ー やってみてどうだった?

みんなすごい協力してくれて、思ったよりもスムーズにできたし、私自身はすごく楽しくて、みんなも楽しそうでよかったです。

やることは同じでも、自分で決めたからやる気がある

ー お父さんお母さんから聞いたけど、ナナミが風越に行きたいっておうちの人に話をして決めたんだよね。そのことを、もう少し詳しく聞かせてもらえる?どんな風にして風越を知ったり、どうして風越に行きたいと思ったのかなって。

お母さんに「こんな学校があるよ」と紹介してもらって、それで私が考えて、いろんな記事とかチェックしました。

元々自分で決めたり、全部先生が決めたりするんじゃなくて、自分たちで決めてやりたかったので、そういうのが出来る学校かなって思ったし、学校行事があまりないって。これまでは運動会とか、自分たちで決めたわけじゃないのに「自分で目標持って全力でがんばれ」みたいなこと言われても、自分で決めたわけじゃないから目標も持てないし、みたいなことを思ってたので、すごくいいかなって。

ー 自分で決めたわけじゃないのに、一生懸命やれって言われる。何が一番違うのかな、自分で決めるのと。

なんだろう。人それぞれの考え方が違うのと、やることは同じでも、自分で決めたからやる気はあるみたいなところの違いじゃないですか。

ー 実際にそう思って風越にきて、オンラインがあって、そのあと分散登校がはじまって、今日は通常登校2日目だけど、どう?自分で決めて、自分でやるということが、実際できている感じはする?

私はします、すごい。朝の集いとかでも、やることは自分たちで決めたり、進めさせてくれる。スタッフさんたちも、「プロジェクトはなにがやりたい?」と聞いてくれたり、サポートしてくれたり、それは全然できてるので、満足。

ー 10段階でいうとどれくらい理想通りにやれている?もっとこうしてみたいとかはある?

自分たちで決められるというのは、10段階のうち8か9くらい。

もうちょっとこの辺をこうしたほうがいいんじゃないかなと思うことはあって、たとえば、今ホーム「か」の主に7年生が話し合っていることが、学校の清掃。まだ清掃してなくて、やっぱりキレイにしていかないとどんどん汚くなっちゃうから、みんなで掃除したほうがいいんじゃないかと思ってます。

ー それはもう他の人には伝えてるの?

今日7年生全員が集まるセルフデザインの時間があるから、そこで話してみて、それぞれのホームで話し合ってほしいと伝えようかなと思ってます。

やりたいことだけやればいい?

カレープロジェクトのことも聞いていい?ナナミはその中で畑プロジェクトやってるんだっけ?

はい。カレーは、全体のプロジェクトで畑はその全体のひとつみたいな感じで。

ー あのプロジェクトって、ナナミの中であつい思いで進んでるの?

そこまであついわけじゃないですけど、今みんなそれぞれプランターで育てていて、みんなで集まった時にカレーができると思ったら、すごいがんばれるし、トマトとか毎日お世話して、やるべきことはちゃんとやりたいなと思ってます。

ー ほら、最初「畑つくりたいです」って、まだ分散登校も始まってない時にホーム「か」からきたじゃない。それで、なんて返したっけ。

「他の方法はないのか」ということと、「プロジェクトに関わる人とかお金とかもあるから、よりよくする方法はないのか」ということ。

ー あとは、「本当にやりたいことはなんなのか」という質問を僕の方からしたよね。すぐに「いいよ、ここ使って」じゃない返事がきた時に、どんな風に受け止めていたのかなあって。

すぐに「いいよ」とか、簡単にはできないだろうなと思っていたから、「ああ、そうだよな」と思いつつ、ちょっと落ち込んでるところもありましたし、もうちょっと考えたほうがよかったなって。

ナナミ、カイト、岡しょーの3人でこれまでのプロセス、調べてきたこと、畑の下見の報告をした。

ー 結局諦めたんだっけ、畑つくるのは。

時期的に植えると遅いから諦めているんじゃないかな。でもそこがまだ曖昧で、昨日もそのままで終わっちゃったんですけど。

ー みんなやりたいのかな、そのカレープロジェクト。

どうだろう。

ー それがわかんないんだよなあ。

最初はみんなやろうみたいな感じだったんですけど、結構時間がかかってきて、野菜育ててない人もいるし、カレーをつくるところだけをやりたい人もいて。自分のやりたいところをちょっとずつ持ってきながらやっている感じなのかなと思います。

ー その現状って、ナナミはどんな風に見てる?

やりたくないことはやらなくてもいいだろうし、そのことを他の人がやりたいと思ってやっているなら、他の人がやればいい。自分のやりたいところをやっていればいいのかなと思います。

ー このカレープロジェクトで起きているようなことって、これから掃除の時とかにも同じようなことが起きそうだよね。ここの掃除はしたい、もしくはここの掃除はしたくないって。それはそれでいい?やりたい部分だけを一生懸命にやる。そのかたちが風越をよくしていくことに繋がっていくかな?

うーん。できるだけ自分のやりたいことをやればいいと思うんですけど、みんなで生活していたり時間を共有していると、やりたくないこともでてくるとは思います。だから、我慢する部分もあれば、自分が一生懸命やる部分もあって、それでよりよくなっていくのかなぁ。

勉強の遅れ、大丈夫かな。

ー 風越が始まってまだ何日かしか経ってないけど、他には何か感じていることとか思っていることとかある?

まだ始まって2日だからなんですけど、勉強の遅れが大丈夫かなってちょっと心配があります。

ー どんな遅れ?

今はqubenaとかで算数は進められるんですけど、国語は今は30分の読書とか詩を読んだりとかしかしてないし、英語はDuolingoでしかやってない。他にも理科とか社会とかいっぱいあるのに大丈夫かなって。

ー 大丈夫なのかな?どう思う?

んー。もうちょっとで1学期終わっちゃうのに、社会とか全くやってないから、ついていけるのかなあ。

ー ちょっと心配です、と。他の学校の動きだと「夏休み短くしましょう」というのが、結構新聞とかに出てたりするよね。じゃあもし「風越の夏休みを長くするのか短くするのかどうぞ決めてください」って言われたら、どんな話し合いになるかな。

私は夏休み長いほうがいいけど、勉強の遅れとかそういう面を優先したほうがいいのかなって思うから、合宿みたいにみんなで泊まり込みで勉強とかがいいかなと思います。料理したりすると楽しいし、なおかつ勉強もできるかなって思うから。あ、でもお風呂には入れないか。

ー シャワーはあるけどね。

あるんですか!

ー うん、体育館の近くに。

ー 「休み」のことで他にも思っていることがあって、サラ(ナナミと一緒にお弁当を食べていた7年生)も一緒に聞いてもらってもいい?

〔サラ〕はい。

ー 今、夏休みも冬休みも、どの休みもみんな一斉にとるじゃない。それを、なくしてみようかなっていう気持ちもあるんだよね。その代わりに、1年間で60日間、それぞれが好きな時に休んでいいよって。土日は除いてね。

たとえば、毎月5日間ずつ休む、そうすると12ヶ月で60日じゃない。それでもいいし、「私は暑いのきらいだから、7月・8月丸々きません」ももちろんOK。その代わり、冬休みと春休みはないけど。「私スキーすごい好きだから、冬休んでどこか他の国に行きます。その代わり夏は毎日きます」とかでもいい。中には、「4月と5月は休みます」という子もいるかもしれない。そうすると入学式とか運動会とかみんなでやる行事や、みんな同じように勉強を進めるというのはできないけど、そういうのもありかなーって。

有給みたいな?

ー 難しい言葉知ってるね(笑)。自分で自分の休みを決めるとなると、どんなことが起きそうかな。

〔サラ〕めっちゃ少人数の日とかあったりしそう。

ー そういう日とかありそうだね。

子どもにとっては嬉しい人もいるかもしれないけど、学校ならではのみんなで集まって大きなことがやれたりする面白さ、楽しさもあると思う。でも、有給みたいな制度もいいと思います。2つあります、気持ちが。

ー サラはどう?

〔サラ〕迷っちゃう子は迷いそうだし、1年間で60日休まない子とかもいそう。私も正直、風越学園にいると休みは土日で十分なくらいで、休みの日も来たくなっちゃう。だから、夏休みも見たら三十何日あったから、私的にはそもそもそんなにいらない。

私は、休みあったら嬉しい。

ー ナナミは嬉しい。土日以外にも休みはほしい?

ほしいですけど、風越の場合は行きたい気持ちのほうが強いから、休みたいなと思ったことはまだない。小学校の時は、月曜日なのに「早く金曜日にならないのかな」とか、そんな感じだったんですけど(笑)。

ー サラ、めっちゃうなずいてるね。

でも風越の場合、すごい楽しいし、みんなと触れ合えたり、いろいろ進めたいと思うから、土日は休みたいけど、他はちゃんと行きたいかな。

ー あまり休みいらないのか。

〔サラ〕 でも自由に休める日があったほうが、学校の中でトラブルとか、あるかわからないけどいじめとかがあって休んだ時に、それが「休みの日じゃないのに、あなた休みました」とかなるのがイヤな人とかいるかもしれないし、具合悪い日とか、もちろん当然来なくていいと思うけど、自由に決められたほうがいいのかも。

ー なるほどね。あと、いわゆる学校に登校している=出席しているじゃないと思うから、たとえば「今日は中軽井沢の図書館で勉強してきます」とか、「◯◯って会社に行って調べ物してきます」みたいなかたちも出席かなって思ってるんだよね。
最後にひとつ。3年経つと、ふたりは風越の一番最初の卒業生になる予定だけど、どんな最後の日だったらいいかな?

最後は、全てのことを終わらせて、学校まわったり、ゆっくりしたり。一日なにもスケジュールなしっていう最後がいいな。

(インタビュー 2020年6月2日)

本城 慎之介

投稿者本城 慎之介

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みんなが同じ方向を見て、同じものを手にして、同じことを学ぶ時代は終わりました。どんな世界を見るのか、どんなものを手にして、どんなことを学ぶのか。それを一人ひとりが決める学校を創ります。そのような学びが展開される学校では、大人の在り方は大きく変わります。大人が学び続ける組織を創り、新しい学校の姿を提示していきます。

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