2023年5月23日
私たちにとって、ほとんどの日が、なんでもない日。それは行事やイベントといった特別な日でなく、「明日、科学者の時間あるね。」くらい日常のこと。そのなんでもない日が、仲間と笑えて、チャレンジもあって、ちょっと楽しみだったら、どんなに良いだろう。
「学校」って、そういうところじゃないかしら。
そして、その日常が私たちの文化をつくっています。もちろん、日常の中に埋め込まれた「特別な日」も、文化の表れではあるのだけど。
例えば、私たちにとって大きな節目にもなった一期生の卒業式。それこそ特別なイベントのようでしたが、これもやっぱり日常の延長にありました。一期生は、風越学園初の卒業生として、自分たちの旅立ちの舞台を、自分たちでつくり、しっかり旅立っていったのです。ちなみに、一期生の三年間がつまったこの一日を言葉にするのは、僕にはちょっと難しかった…。でも一言だけ。
「祝、卒業!そして、ありがとう。」
そしてまた新しい一年が新しい仲間を迎えて始まっています。このはじまりの日もなかなかドラマチックな展開で、有志の子どもたちと一緒に「つくる」ということを徹底的に深めて企画しました。きっかけは9年コウタロウからの一本のメール。(風越では子どもたちから突如メールが送られてくるということが多々あるのです。)
風越MTGファシリテーターチームのみんなへ
来月4月12日は2023年度はじまりの日です。
ファシリテーターチームの中から聞こえる「風越のみんなが学校の作り手だという実感が一人一人あるのだろうか?」というモヤモヤや、「風越を問い直す場」というビジョン。
せっかく新年度で新しいはじまりなので、新しく来た子にも、元々いる子にもみんなの思いを実感してもらう時間をはじまりの日に設けませんか?一緒にそのことを考えてくれる人募集中です。春休み中に3回くらい学校やZoomでMTGを行う予定です。よろしくお願いします。
かざこしミーティングは、開校初年度から継続的に開かれている全校ミーティングの場です。学校のことについて、投げかけたり、話し合ったり、プロジェクトを立ち上げることができます。そのかざこしミーティングの企画運営を担う子どもたちはファシリテーターチームと呼ばれています。春休み中に集まった子どもたちと一緒に「はじまりの日」をつくることになりました。
僕たちは何をつくりたいのか、そもそもなぜつくるのか、誰とどうやってつくるのか。風越では開校から三年で、いろいろなことが起こり(つくられ)ました。するともう色々なことがすでに存在し、つくる余地がないように感じることもしばしば。経験があるからこそ、大人が決めすぎてしまうこともしばしば。(反省。)
だからこそ子どもたちから湧き出てくる、改めてつくり手としての感覚を取り戻そうよという想いがはじまりの日には込められました。つくり手としての実感をみんなで分かち合うために「ちょいハピ」(風越がちょっとハッピーになること)をつくるというテーマに。
このはじまりの三日間で場はグッと動き、ごちゃごちゃとした中から、小さな「つくる」がたくさん生まれました。それらをみんなで面白がったのがはじまりの日です。
こんな風にちょっと高い熱量で始まった新年度も、今はちゃんと日常に戻りつつあります。はじまりの日もまた、私たちの日常と地続きです。
風越には行事の燃え尽き症候群みたいなものはほとんど存在しません。経験したことはアウトプット、そしてたくさんのフィードバック、そして次へ。「終われば、はじまる」というのも風越の文化の一つと言えそうです。
そして、この記事を書いている今日も、僕にとってのなんでもない日です。なんでもない日のなんでもない瞬間に、小さな感動がつまっているのが「学校」なのよ。
「よし、授業準備!」と思っていると、理科室をトントンする音が聞こえます。5年生のトウイがふらりとやってきました。
「今日の科学者何するの?」
「今日は火を使うよ。マッチ付けられる?」
「多分。」
「練習しとく?」
「うん」
そして科学者の時間がはじまりました。今学期2回目の授業で、前回は僕の計画とは全く違う盛り上がりをした子たち。(授業としては大ゴケってやつ)
でももう僕は知っているんだ。彼らが「火」に魅了されているっていうことを(笑)。年間計画を大幅に変えてすぐに「燃焼」を扱うことにしました。「燃えるとはどういうことか?」という問いからスタート。
まずは大胆に。いやぁ〜燃えたぜ。いろんな意味で。
たかが授業、されど授業、やっぱり授業。「学校」だもの。
お昼休みは基本は幼児に混ざってお弁当を食べています。僕がいく頃はほとんどの子が食べ終わっているので、のんびり食べている子がちらほらいるくらい。
午後の授業は3・4年生と「歩いて・見つけて」というテーマで森へ。(サボりたくて来たわけではないよ)
ただ歩く。気になるものを見つける。それだけなのだけど、ここにもまた小さな感動が。
今日は川の方へ。川はドキドキを誘う。向こう岸が見えると渡りたくなるよね。丸太なんかあったら、もう!
うわ、片足濡れたーー!どうする?シュウゴ!
「もう、いっちゃえー!これで無敵!」
気がついたらみんなも続き、靴のままジャブジャブ川に入っていきました。本当はもう少し先へ進もうかと思っていたのですが、川を楽しみすぎたため、ここまで。
こんな日常の裏では、なぜか7〜9年生が文化祭。やってみたかったんだって。文化祭。
今回はお試し、ということで中学生だけのお楽しみ。うまくいったら次は全校でやってみるらしい。羨ましがる小学生には「やりたかったら、自分たちで企画すればいんだよ。」って中学生。さすがです!
こう書いてみると、なんだかてんこ盛り。でも、こんな風に僕の1日は過ぎていきます。
いつもの授業、たまにいく森歩き、突如計画される文化祭、学校の中はいつもの日常とちょっと特別が入り混じっています。
全部特別というわけにもいかないし、だからと言って全部フツーもやっぱり面白くないでしょう。そういった時間がお互いに刺激しあって、なんだか楽しそうな雰囲気や、なんだか真剣そうな雰囲気が漂ってきて、お互いに「いいね、楽しんで!」「いいね、頑張って!」とつながり合うのです。そんな空気を感じていると「自分はどうする?どうしよう!」てな具合にね、自分と向き合っていたりして。
仲間とつながりあい日々をおもしろがる「学校」は、やっぱり「わたしをつくる」場所、かもしれません。