軽井沢風越ラーニングセンター 2022年8月23日

場で起きていることから「学び合う」をつくる

大作 光子
投稿者 | 大作 光子

2022年8月23日

22年度から始まった研修・研究事業に取り組む軽井沢風越ラーニングセンターの「実践ラボ」として8月9,10日に「探究的な学びを支える学校図書館員研修」が行われました。子どもたちの学びを支える学校図書館に関わる仕事をしているさまざまな人が風越に集まり,あたたかな風が吹きました。


専門職と言われるしごとは,資格や免許をとってから現場で実践することを通して自分の中にあるものを磨き続けていくのだろうな,とつくづく思っています。学校をフィールドにする場合は,教師であろうが司書であろうが,子どもに関わるおとなは子どもの姿から自分の実践の影響を真摯に感じとらなければならないだろうなと。

学校図書館ではたらく司書教諭,学校司書の人たちは,自分たちの学びに貪欲な人たちが多く,ずっと何十年も前からよりよい実践をつくろうと愚直に積み重ねてきています。

今回「実践ラボ」では,特に学校司書に対するニーズが高い業務をとりあげることにし,それを風越のフィールドをめいいっぱい使って体験することを通して,自分がどのような実践家でありたいのかを考え,自身の実践の場でどのように行動していくかを考えられるような時間をつくることに挑戦することにしました。ゆっこ(元小学校教員,公共図書館や司書教諭など経験豊富)とつぶら(元小学校教員。現在はライブラリアンの猛勉強中)といっしょに。

 

5月、講座の内容を考えていた時のメモ

チェックイン スタートは大作の読み聞かせ『はちうえはぼくにまかせて』(作: ジーン・ジオン,ペンギン社)

西は鳥取県から南は八丈島から迎えた19名の参加者のみなさんと2日間のプログラムをつくりました。「子どもが経験する探究ってどんなこと?」「探究を支える選書」「子どもの問いに答える情報検索・レファレンス」の3つを大きな内容にしていました。

印象的だったことの一つに,1日目に予定していた「探究を支える選書」がありました。事前に「1冊の本を選ぶ」「グループで予算の中でいくつかの本を選ぶ」という2つのワークを考えていましたが、グループでのワークにすることで参加者同士のコミュニケーションを増やすことに焦点をあてることがよさそうだということと、午前中の様子から選書の時間が少なくなりそうだと感じ,予定していた1つ目のワークである「1冊の本を選ぶ」は省略しようかと話していました。

しかし、午前から続くワークを終えたところで1日目残り1時間弱に。そこで、予定していた2つのワークは置いておいて「みなさんが日頃どのような視点で,何を大事にして1冊の本を選んでいるか付箋に書き出してみてください。」としました。すると,次々と付箋を手にとって書く人も入れば,じっくり考えてようやく1枚書く人の姿も。次に「1枚ずつ書いたことを話しながらグループの真ん中にある白い紙に分類しながら貼ってください。」と進めたところ、どのグループも自分の経験,大事にしていることを伝え合う姿が見られました。

予定通りに研修をするのではなく,参加者の現在から内容をつくってよかったと感じた一方で、ここからが私たち3人のがんばりどころでした。1日目の片付けをして3人はオフィスに集まり,その日に書いた選書についての付箋を分類し直しました。すると,想定していたよりも1冊ずつの選書の視点は出ていることがわかり,そして,それは授業に関連するテーマや子どものレファレンス(本の相談)で多くとりあげられるテーマと関連していることも見えてきました。

「これって,整理すると予定していたワークの2つめを繋ぐ流れだよね。つまり,1冊の本については内容と形式に整理できて,あとテーマ。これらを繋ぐ蔵書構成の視点をワークで掴めたらいいってことかな。」(みつこ)

「確かに,確かに。」と,ゆっこ。

「じゃあ,私これ印刷しますね。」と,つぶらが明日に向けて配布資料を印刷する。

次の日,参加者のみなさんと分類した付箋の解釈をするところからスタート。そして「火山」「熊」「色」をテーマにして用意しておいた本から,設定した予算内におさめることを意識して蔵書を構成するワークをすることにしました。

参加者が「日頃の選書で大切にしていること」を書いた付箋を分類・整理!

ワークが始まると,6つのグループそれぞれの熱がぐっと高まり,予想していなかったことが起こりました。予め用意されていた本をみて少し話をしているかと思うと,「ライブラリーに探しに行っていいですか?」と声があがり,別の視点からの本を探しに出かけていったのです。さすがライブラリアン。教科書の単元と関連づけた本を選んだり,地域の特性を意識したり(「火山」チームはこの地域を意識して『火山はめざめる』を選んでいました),世界の熊をテーマにしたライブラリーにはない絵本を選んだりと,自分ごととして選書する姿をみて専門職の生き様がぶつかり合うように感じられ,心が揺さぶられるような思いでした。

実は,前夜準備していた時に,私が「あ〜準備しておいた図書の評価表は使わないね。」とつぶやくと,つぶらが「みっちゃん,見取り違いでしたね。」と言い,笑い合いました。こんな風に,準備したものを使わないことをおもしろがってしまう自分に苦笑いですが・・・これほどに「研修」で自分たちのしごとへの信念のようなものを差し出し合う学びっていいなあと感じられる時間になりました。

2日間のふりかえり ぐっと近づいたメンバーと好きな場所で

この「実践ラボ」に挑戦して,学生のときに学校図書館ポータルサイトをつくろうプロジェクトをはじめて,夏合宿を運営していた頃のことを思い出しました。昼はコンテンツをつくったり,勉強会をしたり,夜は常陸牛のBBQでいろんなことを実践家のみなさんに教えてもらったりと濃い時間だったのですよね。

「実践ラボ」で集った人たちはそれぞれのフィールドに戻り実践し,次は子どもたちとのレファレンス記録を持ち寄って12月に再会します。この夏のチャレンジは小さな一歩だけれど,力を合わせてえいやっと走り切ってみえてきたのは,自分を大切にしながら磨き続けようとする専門職の姿。・・・って,相変わらず最後は手堅く締めようとするじゃないか,私。

#2022 軽井沢風越ラーニングセンター

大作 光子

投稿者大作 光子

投稿者大作 光子

本は親子をつなぎ,友だち同士をつなぎ,自分自身をエンパワーしてくれる。ライブラリーでは,せんせいと子どもたちがどんな風につながっていくのだろう?自由な読書と学びと連動したメディアの活用の可能性を探り続けてきた,動ける(からだを動かすことがすき)司書教諭です。

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