毎日うろうろ 2021年6月20日

情熱に感染する。

岩瀬 直樹
投稿者 | 岩瀬 直樹

2021年6月20日

自分のプロジェクト(マイプロジェクト)に没頭している姿を見ると、なんとも言えない熱い気持ちになる。

風越のホームページには以下のように書かれている。

後期(小学3年生から中学3年生)の子どもたちは、それぞれの「〜したい」という情熱から始まる探究の学びにひたります。後期のカリキュラムのうち約半分が探究の学びの時間です。子どもから生まれた問いを個々に深めることもあれば、興味関心の近いグループ、年齢の近い子どもたちで一つのテーマを探究することもあります。

今年度から、毎週水曜日は自分のプロジェクトをとことんできる時間を設定した。「わたしをつくる」時間と呼び、水曜日以外にも設定されている。(昨年度はセルフビルドの時間と呼んでいた)。

「生き物が好き!」「椅子を作りたい!」のように関心がはっきりしている人は、この時間を待ち侘びている。自身の内発性から生まれるプロジェクトだ。

ラボで鶏小屋をつくるフミ。完成したら軽トラックで家に運んで飼い始めるらしい。

ゴム銃を作成していて、カンナで夢中になって削るジュン。10mm削ったらしい。手をかければ手をかけるほど自分の手に馴染んでいく。

一方でまだ「〜したい」の対象に出会えていない人もいる。彼ら彼女らに「なにやりたいの?」という質問は愚問で、それがはっきりしないから困っているわけだ。

「〜したい」という情熱は、何も自分の中から生まれてくるばかりではない。何かに出会った時に思わず「なんだかおもしろそう!」と外発的に始まることもあるんじゃないか。そう、一人ひとりのプロジェクトはいろんな始まり方があっていい。

スタッフから「こんなプロジェクトやってみない?」「こんなの面白そうじゃない?」と世界へ誘うプリントが5月下旬に配られた。

「〜したい」が生まれるためのきっかけづくり。プリントが配られたあと、子どもたちは興味のあるプロジェクトの話をまずは聞きに行く。今回、僕もその1つをききにいった。「世界とつながるワールドアンバサダープロジェクト」。ぽん(根岸)発のプロジェクトだ。そこで何が生まれるだろう。

ぽんは、長期の留学経験を自分で切り開いてきたひとだ。ぽんのこれまでの人生のストーリーが語られる。

根岸

私が生きていて一番良かったと思うことは、世界とのつながり、留学、外国人とのつながりなんだ。

例えばね、留学中、ルームメートの前でビーフラーメンむしゃむしゃ食べてたら、『そんなの食べてるの!』と言われてしまったの。その子はインドの友だちだったんだ。社会科で宗教のことは聞いたことはあったけど、留学して初めて実感した瞬間だったんだよね。それから一緒に住む子の宗教とか考えるようになって。私はこれまで狭い世界に生きていたなあと、こういうつながりがあったらこそ、いろんなことに気づけたり、世界が広がったりしてきたんだ。

アンバサダーって、国家の代表として外国に派遣される人のことなんだけど、風越と世界をつなぐアンバサダーになる、本気で世界と出会いつながるプロジェクトをしようよ!!

与えられるもの、ではないよ。世界と自分のつながりを「つくる」んだ。

 
ぽんの経験と気持ちのこもった語りに包まれていく感じ。ルームの集中が高まっていく。ここで突然、1人1ミッション。こんなお題が配られた。


ウェブ検索禁止というルール。「30分で答え見つけてきてちょ!」の言葉でスタート。

次々にライブラリーに飛び出していく中、「ゴリさんもやって!」と「世界一羊の頭数が多い国」というミッションを渡され、慌てて後を追いかける。

ライブラリアン、みっちゃんと一緒に調べ始める人たち。30分という負荷がモチベーションを高めているみたい。

それぞれ見つけてきた回答をシェアしあっているうちに、結果としていろいろな国の存在を知ることになる。あなたはどの国に行ってみたい?つながりたい?の問いに、いろいろな国の名前が出てくる。

根岸

風越にいる間にその国にガチで行くことを目指してみようよ。

その前に、みんなでフィリピンに行ってみない?風越初みんなで行っちゃおう!行っちゃおうよ!

フィリピンにみんなで思いっきり挑戦する経験は他でも生きるはず。1回達成したら、自分の行きたい国にも自分で行けるようになるよ。

 
昨年から、山田貴子さん、森住直俊さんのサポートでフィリピンと繋ぎながらzoom英会話に取り組んだり、国際交流プロジェクトを経験してきているので、子どもたちにとって実は一番馴染みのある国がフィリピン。

ぽんの熱い語りに、「まじで?」「行きたい行きたい!」と熱量が感染していく。

「でもお金どうするの?」という質問から、ぽんの人生の物語の続きが語られていく。どうやって留学という目標を叶えたのか、情熱でかけぬけた高校、大学、大学院時代の物語(ヨーロッパ中心にバックパッカーもしていたそう!)。

これから、留学体験記を読んだり、英語の課題が出たり、オンラインでいろんな国とつながったり、さまざまな課題とチャレンジが待っているそう。そもそもこのプロジェクトに参加するには、500字以上の課題文を書かなくちゃいけないらしい。これらが単なる負荷になるのか、知的な刺激になるのか(知的な刺激になっていくのだろうなと予想している)。

さまざまな出会いから始まるプロジェクトの中で、どんな「〜したい」が生まれてくるのか楽しみだ。

#2021 #わたしをつくる #後期 #探究の学び

岩瀬 直樹

投稿者岩瀬 直樹

投稿者岩瀬 直樹

幸せな子ども時代を過ごせる場とは?過去の経験や仕組みにとらわれず、新しいかたちを大胆に一緒につくっていきます。起きること、一緒につくることを「そうきたか!」おもしろがり、おもしろいと思う人たちとつながっていきたいです。

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