2023年4月13日
遠藤 綾です。スタッフでもあり、二人の子どもの保護者でもあります。
今回の記事は、風越学園と保護者のみなさんとのつながりについて考えていることを共有したいと思い、保護者のみなさんへ向けて書いた手紙をかぜのーとに転載したものです。
2023年3月4日に保護者有志のみなさんによる「2022年ふりかえり」が開催され、参加してきました。実は私、参加に際して内心少しだけ身構えていました。保護者のみなさんのネガティブな感情が高まっているんじゃないか、その気持ちを私は受け止めきれるだろうか。そんなふうに勝手に推論のはしごを登っていたんですね。でも、そこで私が受けとったのは「風越学園を信頼したいんだよ、つながっていたいんだよ」というメッセージでした。参加された方の中には、今回勇気を出して参加した、という方もいらっしゃいました。このお手紙を読んでくださっている方の中にも、集うこと自体に、不安があったり、エネルギーが必要な方も少なからずいらっしゃるのではないかと想像しています。
安心できるつながりって、どうしたらつくられていくのでしょうね。私自身を省みても、風越という場とのつながりが細くなってしまったように感じてしまう時ってあるなぁと思います。スタッフなのに…。そういう時はあんまり元気が湧いてこなくて、一生懸命、低空飛行している。そこから浮上する時に、どんなことが起きているのかというと、私の場合は、共にここで働く仲間と大切なことをまっすぐやりとりできた時とか、風越の存在意義に触れられた時なのかなぁと。一人の保護者としての自分という観点でいうと、やはり子どもの姿からなのだと思います。
2023年度、保護者のみなさんとのつながりを育てていくために、できることを少しずつ試していきたいと思っています。新しいものを増やす、ということではなく、いま既にあるものを「つながり」にフォーカスして磨いていくようなイメージです。
具体的には、2022年度は開催できなかった「だんだん風越」を年4回開催し、そのうち2回を学園の現在地を共有する時間として設計し、希望する子どもと保護者、理事や評議員も(可能な限り)参加し、みんなで学園のいまとこれからを考えていくような時間をつくっていきたいと考えています。この年2回の機会を、カリキュラムだけではなく、現時点の全体像を一緒に掴むための機会とすることで、もう少し俯瞰した視野を共有できるのではないかと。
「だんだん風越」って何?という方もいらっしゃると思います。「だんだん風越」とは、子どもたちや保護者、地域のみなさんと一緒につくり、だんだん風越になっていく。そんな動きが生まれていくことを願ってつくられた祝祭的な日です。
それからもうひとつ、2023年度の新しい取り組みとして、幼稚園へ新しく入園される保護者向けのプログラムを開催することになりました。これまでの子育てをふりかえりながら、子の育ちと親であるわたしの育ちについてじっくり考えます。これから12年続く風越での暮らしを支えてくれる根っこが育つような出会いの時間にしたいと考えています。
開校から3年間で生まれてきた機会を整理してみると、「しる」「つながる」「つくる」の3つの軸で捉えることができそうです。「だんだん風越」も新入園保護者向けのプログラムも、この3つの軸だと「つながる」の要素が強そう。
いまある機会を「しる」「つながる」「つくる」の3つの軸でまとめてみると、こんな感じでしょうか。(まだまだ抜けてしまっているものがありそうですが)
その時々の場のつくりかたや参加の仕方によっても、3つの軸の境界は曖昧で重なりあっていると思いますが、ひとまずの整理として捉えてみてください。
2022年度と2023年度では、若干異なるものも出てくるかと思いますが、新入園・入学の保護者の皆さんにとっては新しいと思われる用語を簡単にご紹介します。年間計画と照らし合わせながら、参考にしてみてください。
既にある機会に参加してみても、自分で新しい機会をつくってみることもできます。開校から3年間の「保護者とつくる」の試みの現在地を知る手がかりとなれば嬉しいです。
<知る>
年間数回開催されてきたオンラインによる授業見学。主にゴリさん・しんさんがナビゲーターとなって、その日の様子を伝えてきました。今後はオンラインでの開催を減らして、オンサイトでの開催も検討していきます。
カリキュラムにフォーカスをあてた説明会。2022年度は5月に開催。一昨年との変更点やその意図などを伝えました。
子どもたちの生み出すもの・ことを共有する祝祭的な日。2023年度は年4回開催予定。
スタッフと保護者の、今までと今、そしてこれからの物語をじっくり聴く時間。開催についてはチャンネルでお知らせ。
<つながる>
4月のはじまりの日の前に開催される祝祭的な日。新入園・入学の家族にとっては、風越との出会いの機会となる。
子どもたちや保護者、地域のみなさんと一緒につくり、だんだん風越になっていく。そんな動きが生まれていくことを願ってつくられた祝祭的な日。
2022年に始動した軽井沢風越学園の大人が遊ぶ・学ぶコミュニティ。ホームページに情報がまとまっている。
年数回、ライブラリーで行われているライブ。
ウェルネススタッフが主催する、こころとからだをテーマにしたおしゃべり会。キッチン横のたたみエリアで隔月1回開催予定。
<つくる>
保護者のみなさんによって運営されている放課後コミュニティ。2021年10月にスタート。
保護者有志のみなさんによって週2回運営されているお弁当販売の機会。1年生以上を対象としている。2021年10月スタート。(typhoonに掲示板あり)
毎月ほぼ第3木曜日に定例で開催されている、森と親しくなる時間。森の整備や探検など、ゆっけ(井手)としんさん(本城)を中心に開催されている。
年間6回程のワークショップを通して「循環」や「生物多様性」をテーマに野外環境づくりに取り組む。パーマカルチャー デザイナーの四井真治さんをパートナーに迎えて、2022年4月にスタート。
保護者とライブラリースタッフとで開催している、本からはじまるおしゃべりの時間。月1開催。
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長い手紙となりました。ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
子育ての中で訪れる喜びも苦しみも共にわかちあい、時にわかちもつことができる仲間に出会っていくこと。風越という場とだんだんつながって、そのいのちのようなうごめきに驚きながら、共に愉しめたらと願っています。
これまで主に子ども領域でつくる仕事や書く仕事に携わってきました。子どもが育つ現場をつくる仕事に携わるのは今年で5年目です。10年先の風景を想像しながら、たのしく冒険したいと思います。
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