だんだん風越 2020年5月29日

「だんだん風越」をはじめるにあたって

かぜのーと編集部
投稿者 | かぜのーと編集部

2020年5月29日

私たちと保護者の皆さんが集い、一緒に学校づくりをしていく場を「だんだん風越の日」と呼んでいます。本当は、開校前の3月下旬から始める予定でしたが、延期のままになっていました。ようやく目処が立ち、6月から保護者も含めた風越づくりを本格化するにあたり、「だんだん風越」にどんな願いを持っているか、岩瀬・佐々木・寺中・本城がやりとりしました。(編集部)


寺中(アンディ):「だんだん風越」の”だんだん”って、どんな意味?

岩瀬(ゴリ):風越は、大切にしたいことの真ん中に、”つくる”ってこと据えている。”子どもこそが、つくり手である”のは、もちろんだけど、僕らスタッフや保護者もつくることを大事にしたいとイメージしながら学校づくりを進めてきた。でも、どうやって実際つくっていくといいかまで、具体的にイメージできていたわけじゃない。
理想的な形に向けてみんなで分担してつくろう、ではなくて、どんな形がいいかをつくりながら探っていく。つくりながら、この感じかな、ちょっと違うからここ変えようかな、とちょっとずつみんなでつくっていくイメージ。急いで手分けして仕上げちゃいましょう、ではなく、じわじわとつくっていく感じが、だんだん風越のだんだん、かな。

本城(しん):ひとっ飛びに完成形を目指すというよりは、行きつ戻りつしながら少しずつつくっていくイメージは、僕もその通りだな。”だんだん”のだんってさ、少年団とかの”団”、とも言えるなと思って。小さな団がたくさん集まって、それぞれが自律して、協調しながら動いている。大きな動きになる手前で、小さな動きがブワーッとあることは風越学園のイメージに近い。
一人の強いリーダーがいて、その指示のもとに全員が動くというよりは、たくさんの人たちの思いで小さくいろんな動きがある。でも、まとまって見ると何か一つの大きなうねりになっているイメージ。保護者の人の中にも学校には平日は来れないとか、オンラインの方が動けるとか、いろんな家庭のいろんな生活のあり方があるから、互いが尊重しあえるような感じにできたらいいな。
無理しちゃうと続けられないと思うんだよね。最初にエネルギー高くなりすぎると、しんどくなっちゃう人もいるのかなーって。だんだんってやっぱりそういうことだと思うんだよね。だんだん、というのを大事にしながら、続けていけるような動きにするのが大事そう。

岩瀬(ゴリ):学校づくりって、やらされるものじゃないよね。保護者と学校は、同じ子どもの幸せや成長を願っているパートナー同士のはずなのに、ちゃんと手を繋げていない感じはどうしたらいいのかなというのは、公立学校にいた頃から課題としてあった。
自分の学級という小さい単位で保護者と色々試したんだけど、そうすると自分が思っていたことよりずっと面白いことが起きるんだなという手応えはあった。だから、先に枠組みを設定するのはやめて、小さいことからもぞもぞ動き、こんなことをしたらおもしろいんじゃないかな、というところから出発してつくられていくことに、すごく魅力を感じる。
Typhoonでのやりとりを見ていると、すでに一緒につくり始めていると言えるなと思う保護者とスタッフや、保護者同士のやりとりがあちこちに起きているよね。プログラミング・プロジェクトをやってみたいという子どもの投稿に対して、一緒にサポートできますよ、一緒に学びたいです、と手を挙げてくれる保護者や、記録の取り方についてスタッフに知見をシェアしてくれる保護者など、心強いなーとほんと思う。

本城(しん):これから、スタッフも保護者も大人がグッとつくるフェーズに入るとき、あくまでも、”子どもを軸にする”、”子どもがつくりたいと思っていることを大人が下支えする”ということはぶらしちゃいけないなと、校舎に来ている子どもたちの様子を見て改めて思ってる。例えば、子どもたちのためにここにブランコ作ってあげたい、ハンモックを作ってあげたいみたいな、大人のしてあげたい気持ちばかりだったり、大人だけ盛り上がっちゃってるようなときに、”子どもにとって、これはどうなんだろう?”、”子どもの気持ちを置き去りにしてないのかな?”っていう問いは、考え続けていきたいなと思った。
子どもたちにも、あれをやりたい、これもやりたい、行事はこんなふうにしたいと、学校をつくりに来てるという気持ちがすごくある。その気持ちに、大人がついていくっていうのを大事にしたいと思ったな。

岩瀬(ゴリ):学校をつくりに来たんだっていう7年生の言葉は、グッときたよね。保護者の中にも、学校をつくりに来たっていう気持ちの人が、きっといっぱいいると思う。そういうつくりたい気持ちを持ち寄りたい。子どものつくりたい気持ちについていきたい、というのは、ほんとそうだなと思って。一方で、”大人がしたい”、もあっていいなと僕は思っているんだよね。子どものためにつくってあげたい、だとちょっと違うんだけど、子どもが自分のしたいことを探究している横で、大人も同じように学ぶこと・探究することを楽しんでいるという関係性はいいなと思う。

本城(しん):確かに、大人たちがおもしろがったり探究してる様子を見て、なんかすげー、アホだな、俺たちでもできるかもとか、私たちのほうがすごい、みたいに子どもが思うことはいいね。大人になりたい、大人になったらこんなこともできるんだっていう憧れの気持ちって、すごく大事だと思うんだよね。そういう意味で、「だんだん風越」は、仕事としてじゃなくて、おもしろがって関わってほしいな。「だんだん風越」って、大人の小さなチャレンジの集まりになっていくのかな。
あと、引継ぎとかがないようにしたいんだよね。引き継ぎって、決まったことを引き継ぐわけじゃない。それが守られていくんじゃなくて、決まったことを変えていくことって大事で、役割ややることが決まっていくのは避けたい。

岩瀬(ゴリ):たとえば「広報かざこし」みたいなのができても、年4回必ず発行してください、ではないよね。
あと大事にしたいなと思ってることの一つに、こんなことしてみたいということを持ち寄ると、そんなことしたくないなと思う人もいるじゃない。そこで、したいか・したくないかの議論をするより、こんなことやってみたい、試してみない?という声は大事にしたい。子どもも含めて、みんなそう。自分は違うなって思ったら、意見を出すことはもちろんOK。そうやって出た意見を聞いた上で、やってみたいを尊重しあえるといい。したくないとか違うと思うという意見を尊重しながら、だから前に進まない、というのはなるべく避けたい。

本城(しん):子どもたちのホームでのやりとりでも「まずはやってみたらいいじゃん」って言ってもらえることの嬉しさや安心感が書かれていたね。やってみたい、という気持ちも、見ていたい、あるいはあんまりやりたくない、という気持ちも尊重される。役割や責任よりも、自分の気持ちで動くことは、大人も子どもも大切にしたいよね。

岩瀬(ゴリ):何はともあれ、すごく楽しみ。

寺中(アンディ):45人の保護者が企画運営メンバーに手を挙げてくださっていて、ここからどう始まっていくのが見えないのが楽しみだし、ここからどうしていこうというのが保護者のみなさんから次々起こっていくような場であるといいな。

本城(しん):すでにコントロール不能、素晴らしいみたいな感じだね(笑)。コントロールしようと思ってないっていうかね。

佐々木(ささ):保護者の中には、こういうことをやってみたい・学びたいだけでなくて、放課後やお弁当について不安や課題を感じている保護者もいるみたいですね。

本城(しん):困っていることや助けが必要なことを表明しあえる関係ってすごく大切だなって思ってるんだよね。困っているから、誰かどうにかしてくださいじゃなくて、当事者も含めて力を出し合いながら、子どもや家庭の困りごとが解消できるような動きになるといいな。学校が、保護者の困りごとを全部解決するのはちょっと違うと思っていて。学校ができること、家庭ができること、子どもたちができることをしっかりと伝え合いながら、今までにない解消の仕方ができていくといいな。サービスの提供側と受け手側になってしまうと、立場が固定しちゃうよね。そういう関係に留まりたくないなと思う。

岩瀬(ゴリ):学校を通じて、我が子だけが幸せになるってことはないんだよね。自分だけがコミュニティの中で幸せになるってことはない。風越っていうコミュニティをより良くしていくことで、みんなで幸せになるっていうプロセスがいいなと思う。だから、やりたいことも困っていることも持ち寄り、どうしたらいいだろうねと一緒に考え・一緒に手を動かせる関係を学校と保護者と子どもでつくっていきたいね。

寺中(アンディ):二人は保護者でもあるけど、保護者の立場では「だんだん風越」の提案をどう思うかな?

岩瀬(ゴリ):純粋に保護者として聞いたら、やってみたいという気持ちと緊張するなという気持ちの両方かな。自分の子どもの保護者会もちょこちょこ参加してたけど、だいたい父親は僕一人なんだよね。だから、ちょっと緊張するなーって思うかも。

本城(しん):保護者としては、ほんと?って気持ちはちょっと出てくるかな。理想としてはわかった。でもほんとにできるのかなって思って、ちょっと様子見るかもしれないね。お手並み拝見じゃないけど。と言いつつ、保育園も小学校もPTA役員はやったし、こういう動きは好きだからぐーっと出ていくだろうけど。今まで経験してきたことと違うから、想像できない部分が大きいんだよね。未知のことに対して、ちょっと躊躇する部分もあるだろうなぁ。すごく楽しそうだけど、すごいめんどくさいことになるかもと思ったり。

岩瀬(ゴリ):実際のプロセスでは面倒なことはあるだろうしね。

佐々木(ささ):そのプロセスも含めて、「だんだん」でいいですよね。

本城(しん):例えば、「ぶんぶん風越」、じゃない。「とんとん」、でもないし。動きがいろいろ出てきたときに、これってだんだんかな、とか考えてみるといいのかもな。

岩瀬(ゴリ):ガンガンでもないもんね(笑)、ほんと楽しみよ。

本城(しん):お待たせしましたっていう感じだね。

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かぜのーと編集部です。軽井沢風越学園のプロセスを多面的にお届けしたいと思っています。辰巳、三輪が担当。

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