だんだん風越 2021年3月31日

第9回かざこしミーティング〜ファシリテーターチームの躍動〜

片岡 利允
投稿者 | 片岡 利允

2021年3月31日

第5回のかざこしミーティングのカイノスケの投げかけから、7年生有志で結成されたファシリテーターチーム。このファシリテーターチームとともに、11月から月に1度のかざこしミーティングの場づくりをしてきた。

チームのみんなは、はじめ、探り探り様子を伺うような距離感だったが、第7、8回と回を重ねるごとに、グッと自分たちの手元に「かざこしミーティング」という場をたぐり寄せるようにして、場に立つようになっていった。これがまた、本当にたくましくて、恐る恐るオーナーシップを譲り渡そうとしていた自分を情けなく思うほどだった。

今回は、そんなファシリテーターチームの様子を中心に、第9回のかざこしミーティングについて書いていきたい。

見方を増やすための「4つの目」

前回のかざこしミーティングが終わったあと、ファシリテーターチームの動きで気になったことを、しんさんが直接彼らに助言していた。主に、前に立つメインファシリテーター以外の人たちの動きのこと。

そこから改めて、ファシリテーターチームのみんなでトレーニングをする機会をつくることになり、次に向けてのランチミーティングの時間は、しんさんによるレッスンからはじまっていった。

ここでしんさんからレクチャーがあったのは、「問題の認識」について。問題を認識するためには、見方を増やす必要がある。それが、鳥の目、虫の目、魚の目、コウモリの目の4つの見方で物事を見ること。

鳥の目は、鳥のように、上空から全体像を見るようなイメージ。
それに対して虫の目は、虫のように物事を小さく細かく見ること。
魚の目は、流れを見る。
コウモリの目は、逆の立場で見たり、発想を変えてみる目。

これらの4つの目を使って、実際に練習してみる。

その後のミーティングの中でも、「今、後期の人たちの目線で話をしていたけど、前期の人たちにとってはどうかな?」とコウモリの目を使って当日の流れを考えるなど、ところどころで、この4つの目を使って考えてみることをするようになった。

当日の役割を決めることもしつつ、それ以外の人の動き、いろんな目で場を見ながら、必要に応じて、みんながどんどん動いていこうということを確かめあっていて、4つの目という共通言語をもったことで、チームの動きに変化が生まれていったように思う。

「なんか、おれたちで決めてしまうのはよくないと思うな」

前回、各ホームから上がってきた、かざこしミーティングで話し合いたいアジェンダを、ファシリテーターチームの方で取りまとめて、精選したのち、みんなに提示したが、

「なんか、おれたちで勝手に決めてしまうのはよくないと思うな」

と、ファシリテーターチームのミーティングの中で話題になり、今回は、事前にミーティングのアジェンダをファシリテーターチームで絞らず、全部取り扱った上で、前もって参加する分科会を決めてもらおう、2人以上希望者がいるところは、全て分科会を開こう、ということになった。

こういう風に、「みんなにとってどうだろう?」「みんなはどう感じるだろう?」ということに気を配ってすぐに改善していくのは、すごくいいなあと思う。

ファシリテーターチームのように、場をつくる、前に立つ人になると、ついつい場の主導権を握ろうとしがちだが、こうやって、すぐに手放せるところとか、ほんと見習わないとなと思って、むしろ、僕も僕自身のあり方を問われ続けている。

チームでの場をつくっていく

第9回当日。前回のテーマ、「自分たちのことは、自分たちで話し合って決める」に加えて、今回は、「決めたことは、関わる人たちに伝えて、意見を求める」ということをテーマにスタート。

これは、共有の時間がもっとやりとりが行われるような時間になればいいよねという、前回の反省を経て提示することにしたテーマだ。「意見を求める」というところは、ファシリテーターチームのシュウゴの言葉から。彼は、「もっと、みんな、これでいいですか?とか、どう思いますか?とか聞いたほうがいいと思う」と言っていた。

関わる人たちに意見を求めること、これは、民主的な文化をつくっていく上で、とっても重要なことだと思う。そして、こういうことが、当たり前のように次々と彼らから出てくるあたり、もうすでに立派なファシリテーターだなあと思わせられている。

はじめの全体説明を担当するシュウゴとソウ。担当は、このふたりだったんだけど、同じくチームのショウタロウが、ソウの声が全体に届いていないことに気づいて、すかさず、拡声器を持っていった。話終わったタイミングでそっと渡そうとしていた。

こうやって、前で話している人とは別に、場の状態を常にアセスメントして、必要なサポートを自然とできたのは、ファインプレー。ショウタロウは、メインのファシリテーターでなくても、ちゃんとその場にチームの一人として立っていた。こういうフォロワーシップは、チームで場をつくっていく上でとても重要なこと。

一人が意識できることは限られている。だから、チームの複数の目で場を見取り、必要な働きかけをしていく。そういうこと事前に共有していたからこそ、迷わず動けたこともあった。

結局拡声器は使わず、シュウゴがフォローしたが、早速、チームとして動きが変化してきていることを感じた、いいシーンだった。

前回同様、前期と後期、分かれてミーティングを行う。後期かざこしミーティングの担当は、コウキとカイト。全体を担当するカイノスケが、すかさず紙を持つフォロー。こちらもいい動きだ。

それぞれ事前に決めていた分科会に分かれてミーティングを行っていく。カイトとコウキは、ミーティングに入らず、それぞれの分科会の様子を見て回っていた。カイトは気になったことをその場でメモできるように、メモ帳を持って回っていた。

全体を見回している2人に、「どう?なんか気になることある?」と聞いてみると、カイトから面白い返答が返ってきた。

「ちょっと、スタッフが入りすぎてるところがあるんだよねー。スタッフが準備しすぎ。引っ張りすぎ。問い詰めている感じ。」

これにはちょっと驚いた。ミーティングごとにスタッフの介入度合い、ファシリテーションが違う。カイトは、その違いをよく見ていた。ファシリテーターのあり方がミーティングにどのような影響を与えているのかを分析し、自分なりの仮説をもって考えていた。これは、ファシリテーターとしても、すごく高度なこと。

「あそこは、雰囲気がいいから、スタッフが入っていてもいいと思うけど。」

とも言っていて、彼なりに、理想のファシリテーター像みたいなものがあるんだなと思った。これ、チームのみんなにも聞いてみたいなあ。

ここからは、後期のミーティングの様子をちらほら紹介。

「歓迎し隊」。こちらは、先月発足したチーム。なあちゃんメインで、うまっちも付いてくれていた。それ以降、毎週ミーティングをセルフの時間に開いてきたらしい。

このチームは、来年度の新入生をどう迎えるかについて考えている。3月30日の「かぜびらき」という、新入生と保護者が初めて集う日に、何か交流できるイベントを企画中だそう。スタッフ間で、まだそのような動きがはじまっていない中、真っ先に、このかざこしミーティングで子どもたちの声から、このような動きが生まれているのは、すごくいいなあと思う。内容も決まったみたいで楽しみだー。

こちらも先月発足した、「前期とのつながり」。いよいよ明日のお昼に前期後期みんなでランチを実施するにあたって、必要な準備や当日のことの話し合い。ぽんは、やりとりを温かく見守っているって感じ。

こちらは、「体育館利用」のチーム。僕がきた時には、体育館を建てるための費用の計算をしようとしていた。風越公園の体育館を毎回借りるのと、体育館を建てるのと、長い目でみたときに、どっちがいいのかという視点で。この発想が出てくるのは面白いなー。本気で建てる気だった。無理でしょ、という雰囲気がないのが不思議なくらい。

「体育館倉庫の利用」のチームは、熱量高めの女子たちと、なんとなく来た男子たちの差があって、全員で話し合おうとしていたところを、スタッフがいなかったので、僕から「これ、分担してやれないかな?例えば、利用方法のミーティングをする人たちと、用具の管理面で作業中心にやっていく人たちで分かれるとか。」と伝えてみた。

すると、それがいいと男の子たちが納得して、分かれることに。女子たちは、カノの提案で、前回の倉庫閉鎖について、付箋でもらった質問に対するQ&Aをつくって、みんなに提示することにしていた。質問に対して返答しようという姿勢がいいね。ちょっと否定的なコメントもあったけど、真摯に受け止めようとしていた。ちなみに、この女子たちは、「ボール救出大作戦」という8月に立ち上がったプロジェクトから現在に至るまで毎週体育館倉庫の管理をしてきている。

「ライブラリー」チームは、前回に引き続き立ち上がったもの。前回は、現状分析で終わったから、今回はアクションを起こそう、ということで、ライブラリーを歩きながら、具体的に、整理しやすくなる工夫を考えていた。ポップをつくるというのと、ここでは、タイチとシュウゴが、本の番号を「989~」みたいにしたら、元のところに返しやすいんじゃないかということを相談していた。

カイトとコウキは、このように、前期の様子も見に来ていた。後期だけでなく前期も。全体を見る目、つまり、鳥の目で場を見ようと動いていたんだな。

2人は、5分前くらいから全体に共有の時間のアナウンスをして回っていたが、集合時間から5分遅れで共有の時間がスタート。

カイトが「ひとチーム1、2分くらいでお願いします」とアナウンスした(残り時間からひとチームあたりの時間を計算していた)が、結局、時間超過で共有の時間は伸びていった。

そんなとき、共有の時間が後ろ後ろに押していく中で、この後の前期も合わせての全体共有の時間がなくなっていくことに気づいたファシリテーターチームの人たちは、各チームの共有の裏で作戦会議。僕は、全体を担当しているカイノスケと、後ろから共有の様子を眺めながら、時間のことや共有の仕方について立ち話的にやりとりをしていた。その場をアセスメントしながら必要な動きを一緒に考える感じ、こういうやりとり、大事。

カイノスケは、「ちょっとオレ、前期の様子見てくるわ!」と、全体共有の時間の持ち方について、前期の進捗を確認した上で判断する必要があると考えて、前期の様子を確かめにいった。前期も、共有の時間が後ろに押していたらしい。

来週のWeeklyで全体共有の時間を持とうという提案をもらって帰ってきたカイノスケは、それをチームの一部に伝える。それを踏まえて、コウキ、ソウタと後期からの全体共有も同じくWeeklyにしようという判断を下し、前に立つカイトも呼んでそれを共有した。

時間いっぱいまで後期の共有時間を使い切って、最後に、来週のWeeklyで全体での共有をすることをアナウンス。模造紙は掲示することも伝えて、今回のかざこしミーティングは幕を閉じた。

この一連の動きも、ここに書ききれない小さな一人ひとりの動きがあって、チームとしての連携がすごくスムーズでよかった。これは、これまで7年生がいろんな場面で、自分たちが主体となって場をつくったり動いてきたことの経験の結果何だろうな。そういったことをここでも発揮できるような場面がつくれてよかったし、今回の経験は僕にとってもすごく有意義なもので、これから先のことがいろいろ開けてきそうな期待に繋がっていった。

こちらは第9回の振り返り。「『こんなんやるなら土台をやりたい』とか言っている人がいるけど、そういう人にも話し合いを楽しんでもらえるようにしたい」というような思いまで湧き出てきていた。

「みんながつくり手になれる一歩を踏み出す場所に」

第9回を終えてから、なんだか、ファシリテーターチームの熱を強く感じて、僕自身、すごく刺激を受けた。より、この場をいいものにしたい。ここにいるチームを中心に、もっといい場にできそう。そんな気持ちになった。そして、だからこそ、ちゃんとここにいるチームのみんなの声を聞きたいなあという気持ちにもなっていった。

そこで、まずは、発起人カイノスケにインタビューというか、1対1で話してみようと思って、誘ってみた。カイノスケは、快く引き受けてくれた。ありがとう。

片岡

覚えてる?秋に、かざこしミーティングへの疑問を投げかけてくれたけど、カイノスケにとって、かざこしミーティングは、今どんな場になってる?

カイノスケ:最初は、とっくんがつくってくれている場を俺らが使わせてもらっているっていう感じで、今振り返ってみると「受け手」だったなーって思う。単純な疑問で「どうして、かざこしミーティングをやってるの?」と投げかけにいったけど、結局、今は、かざこしミーティングの場にファシリテーターとして立つことになってよかったなー。

単純な疑問だったんだね。よかったなあって感じのところ、もう少し詳しく聴いてもいい?

カイノスケ:もともと「受け手」になってたじゃん?でも、今は、かざこしミーティングを自分たちで「つくっている」感じがして、かざこしミーティングの場について深く考えるようになったし、何より、みんながどう思って参加しているのか、どうなっていったらいいのかって、自分で考えるようになった。

でも、難しくない?風越のみんなのこと考えたり、みんなの前に立つのって。

カイノスケ:うん、むずい(笑)。

そのへんの難しさって、どう感じてる?

カイノスケ:まだはじめて3ヶ月ぐらいだけど、これからもずっと完成することはないんだと思うんだよね。もともと、風越が毎年「80%」ぐらいの状態だといいなっていうことを思っていて。今のファシリテーターチームのメンバーもいつか抜けて、また他の誰かがやるわけじゃん?とっくんだって、抜けるかもしれないし。あと、毎年、メンバーも変わるし、100%の状態だったら、後から入ってくる人は面白くないじゃん。あと、難しい部分は、いつまでも残り続けると思うんだよね。ここ直さなきゃなーとか、毎年、その時の改善点は残り続けるし。でも、それでいいんじゃないかって。だから、難しくていいと思ってる。

なるほど。いや、それ同じこと考えてるなーと思った。かぜのーとの過去の記事に、かざこしミーティングを「文化をつくる挑戦」と言っているんだけど、それと近い感じ。文化って、完成形があるものじゃなくて、人が変わっても、絶えずつくり続けていかないといけないものなんだよね。ちなみにさ、今は何%ぐらいなの?

カイノスケ:今かー・・・。今は俺たちがファシリテーターとしてかざこしミーティングをつくっているけど、参加しているみんながつくっているわけじゃないじゃん。話を聞かない人がちらほらいたり、思っていることはあるけど話さない人もいるし。大半が「受け身」だと思うのよ。だから、まだ80%にはいってない。みんながつくり手になってやっと50とか60とか。今は40%とかかな。

みんなはまだつくり手になっていないということなんだ。まだ半分くらいか。じゃあさ、それを踏まえて、カイノスケは、かざこしミーティングをどんな場にしていきたい?

カイノスケ:「みんながつくり手になれる一歩を踏み出せる場所」かな。

いやー、いい言葉だね(笑)。

カイノスケ:かざこしミーティングって、いろんなミーティングが行われる場じゃん?ここでミーティングを経験したことは、他のところでも応用できると思っていて。それぞれの場所に戻った時に、ここで学んだことが生かされていくみたいな感じ。

そうそう。ちょうどそれも同じようなことを考えていることがあって。

カイノスケ:へー!

かざこしミーティングを通して、ミーティングとかつくり手となる経験をたっぷりした人たちが、それぞれの人生を歩んで行った先でも、それを広げていってくれると信じているんだよね。今は子どもたちだけだけど、ゆくゆくは保護者の人たちや地域の人たちも参加できる場にしたい。そうすると、20年30年後には、風越はもちろん、軽井沢町や日本中で話し合いが上手な人や「つくり手」である人たちが増えていっている。そうなっていけばいいと思ってるんだよね。

カイノスケ:うんうん。めっちゃ楽しそうだね!

でも、カイノスケの言うように、ずっと難しいと思うんだよね。


カイノスケの思いを、声を聞こうと思っていたのに、後半は、ついつい僕の思いも語ってしまった。でも、カイノスケの思いに共鳴して、うっかり語っちゃう感じもまた、いい時間だったなあ。

今回のファシリテーターチームの躍動。カイノスケの言葉。確かに、かざこしミーティングがまた大きく動き出している。

“僕”が、かざこしミーティングを通して描いていた未来は、こうやって、カイノスケやファシリテーターチームのみんなと、“僕たち”で描いていくものになっていく。

これがさらに、風越に関わる一人ひとり、みんなとともに描いていくことになれば、果たして、どんな未来になるだろうか。

「みんながつくり手になれる一歩を踏み出す場所」として、ここからさらに、その歩みを進めていきたい。

片岡 利允

投稿者片岡 利允

投稿者片岡 利允

歩く、書く、話す、歌う、弾く、笑う、食べる、呑む、が好きな関西人です。感性・感覚・感情・直感・重視だけど、じっくりゆったりどっぷり考えることも好き。いい循環を生む触媒のような存在になりたい。風越のはじめの1年を終えた今、「ファシリテーション」「保育」「読み書き」あたりに関心があります。こう見えてまだ20代。シンガーソングライター。

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