だんだん風越 2021年3月19日

カレー屋への道 完(石山 れいか)

かぜのーと編集部
投稿者 | かぜのーと編集部

2021年3月19日

(書き手:石山 れいか/軽井沢西部小学校から派遣・20年度派遣終了)

ホーム「か」のカレー屋への1年間の道のり。長いようであっという間だった。「ゴールにたどり着けないかもしれない」と不安もあったが、「きっとたどり着ける」という気持ちの方が大きかったのかもしれない。

【問いが生まれる】

8月24日、夏休みがあけた。朝のつどいで、学校につくったミニ田んぼ( 1)わこさんの田んぼの土で2本植え 、2)わこさんの田んぼの土で3本植え、3)学校の土、4)水だけ )の稲を、ホームのみんなで見に行く。わこさんの田んぼの土で育てている稲にはしっかりとお米ができているが、学校の土で育てた稲には一粒もお米がなっていない。水につけただけの稲にはお米らしきものがついている。シンノスケが食べてみたが、ほとんどもみだけで、中身が入っていなかった。「わこさんの田んぼで育てたお米にはしっかりと実が入っていて、食べると甘かったのに」と言っている。

学校の土にはなぜ実がつかないのだろうか?悪いものでも入っているのか?と成分を調べてみることになった。

セルフビルドの時間にカイトとサクラコが理科室で実験をする。風越の土の水、わこさんの田んぼの土の水、水だけの3種類の水に違いはあるのか、リトマス紙、PH試験紙、BTB溶液を用いてアルカリ性酸性の検査をしてみた。その結果、水だけはほぼ中性、わこさんの土は弱アルカリ性、一番アルカリ性が強いのが風越の土だった。その結果から、植物は酸性では育たないけど、アルカリ性が強すぎるのもよくないのではないか?という仮説がたった。でも、他の要素を調べるすべが見つからず、今回はこの結果にとどまった。

翌週になるとカイトが「嬉しいお知らせがある!」と言うのでついていくと、風越の土の稲にもお米が出来ていた。しっかり実もなっている。同じときに植えたのに、1週間遅く実ったことがとても不思議だ。そこに通りかかったざっきーが、「3つ以上の要件を変えて植物を育てることは中学の技術家庭科の学びだ」ということを伝えてくれた。カイトはもう少し詳しく教えてほしいとざっきーに話を聞きに行き、学んだことをホームのみんなに伝えてくれた。

作物の成長には、気象的要因、生物的要因、土壌的要因が影響することを話すカイト

【ゴールの再設定】

夏休み明け、ホームで動いている全てのプロジェクトの現在地とゴールを確認する時間を設けた。カレープロジェクトはカイト、ななみい、おかしょーの3人で話し合った。

「カレー屋をすることがゴールだったけど、正直コロナの影響で販売は難しいよね。」「来年度まで持ち越してもホームが変われば自然消滅しちゃうかもしれないし…。」
「あいまいになって終わるのが一番嫌だから、今年中にゴールにたどりつきたいよね。」「じゃあ、今年中にできるゴールを再設定しよう。」

そんな話し合いの中で決まったゴールは、『みんなでカレーをつくって食べること』。それをホームのみんなに伝えると、納得しているわけではないけれど仕方がないという様子で受け止めているように見えた。

【稲刈り】

9月中旬になると、「わこさんの田んぼの稲刈りはいつだろう」という話題が自然と出てきた。わこさんに聞いてみると、わこさんの田んぼは手で刈るため、2・3日天気がいい日が続き、土も稲も乾いた状態でなければ行えないこと、地主のたけしおじいちゃんの稲刈りが終わってまもなくのタイミングで行うことを教えてくれた。「自然が相手だから、見通しがもてないんだよね。」とわこさん。

そんな時に限って台風がやってきた。雨が続き、予定していた稲刈りを何度も延期することになった。様々なプロジェクトが並行して進む中、みんなの都合を合わせることは難しく、カイトは土日になった場合と平日になったの場合の企画書を何度も練り直した。

天気の様子を見て、9月30日にようやく行うことができた。学校の都合でお昼から参加した私が田んぼに着くと、もう半分くらいの稲が刈られ、ハゼにかけられていた。みんなはちょうどお昼を食べながら休憩中。「どうだった?」と聞くと、「つかれたー」と想像した通りの返事が返ってきた。

みんながまだ休憩中だというのに、シンノスケとちーはもう稲刈りを再開。働き者だ。私も早くお昼を済ませてとりかかった。ザクッと刈れる感覚が楽しい。10株を一束にし、束ねていく。ミワさん(カナデのお母さん)やフミナさん(ちーのお母さん)も手伝いに来てくれて、どんどん束ねてくれた。子ども達は楽しくおしゃべりしたり、稲刈り競争をしたりしながらどんどん刈っていく。途中たけしおじいちゃんも手伝いに来てくれた。89歳とは思えないほどお元気で、子ども達から稲の束を受け取り、楽々とハゼにかけていった。全部刈り終わった時は田植えの時と同じように拍手が起こった。

【触って・見て・味わって・調べて】

10月1日。お米のできの違いが知りたいから、成分を調べてみると、キヨとユナとサクラコとシンノスケが皮をむいて生の米を食べてみた。

種類お米の色(濃い順)甘さ(甘い順)
うるち米(風越の土@風越)44
うるち米(わこさんの田んぼの土@風越)33
うるち米(@わこさんの田んぼ)22
黒米(@わこさんの田んぼ)11

その後、すり鉢に入れてすりつぶし、ヨウ素液を掛けてでんぷんを調べた。もちろんどのお米も黒紫色に変わりでんぷんがあることがわかった。さらに甘さの違いを調べたくて糖度測定器がほしいという話になったが、手に入れることができずに諦めた。

【「こと」を共にすること】

ホーム「あ・か」(きょうだいホーム)はつながりを大切にしたいという想いから、朝の集いをできる限り一緒に行ってきた。そんな中で、脱穀に一緒に行こうということが決まった。「脱穀の前に、稲刈りを体験してもらったほうがいいんじゃない?」というおかしょーの提案で、10月26日に学校のミニ田んぼの稲刈りを前期のホーム「あ」の子どもたちにしてもらうことになった。

 ケイくん(2年)がトップバッター。ざっくりと上手に刈れると、次の人に「力入れて!ギーギーって!」とアドバイス。稲刈りが終わったあとに、シモンくん(1年)が「水だけのお米は実が入っていなかったんだってー」とちかに言ったそう。シンノスケが教えてくれたみたい。

【一つ一つが大切な工程】

10月30日は脱穀の日。「あ」のみんなに、田植えからハゼかけまでのことを説明した。太陽が出ないと脱穀ができないのでそれまで田んぼで鬼ごっこ。藁を持っている人が鬼の「ワラ鬼」。

太陽が顔を出してくれたのでいよいよ脱穀。回っている機械に手を出さないこと、飛んでくるお米が目に入らないことに気をつけて、一人ずつチャレンジ!大切なお米が一粒でも飛んでいかないようにみんなでシートを持ち上げた。

回る機械の速さにドキドキしながら稲穂を機械に当てると、気持ちよくお米が取れていく。脱穀したら今度は精米。瓶の中でお米をついたり、すり鉢で優しく擦ったりしながらモミをむいていった。お父さんお母さんにも食べてもらいたいと、ひと粒ずつ丁寧に。

 

最後にわこさんが「お米は『八十八』って書くのに似てるでしょ。それは八十八の手間がかかるっていう意味だって言われているんだよ。それくらい、お米を食べることは大変なこと。これからまだ精米もある。でも、そうやって手をかけたお米をいつもいただいているんだね。」と話してくれた。日程の調整がつかずに諦めそうになったけど、やっぱり諦めなくてよかったと思う。どの工程が欠けてもご飯は食べられないのだから。

【じっくり ゆったり たっぷり まぜる】

脱穀が終わり、年内にカレーライスをつくろうと企画書を練る。本番は12月12日。ひとまず、カイト、おかしょーで実験をしようということになった。

11月17日、カレー実験1日目。事前に調べたカレールーの作り方を参考に、ルー作りの実験。カイトが育ててくれたコリアンダーの実をおかしょーがすりつぶす。スパイスを炒るとカレーのいい匂いがしてきた。キッチンの外にいるスタッフや子どもたちからも「いいにおーい。」「カレー作ってるの?」という声。

冷凍玉ねぎと冷凍トマトをすりおろす。とても冷たい!カイトの作業する様子を嬉しそうに撮影するおかしょー。生姜を入れて油が跳ねると、「まあ、しょうがない…」おかしょーのいつものダジャレも炸裂(笑)。

そのあとは、りんごとはちみつをバターで煮て、玉ねぎとトマトを煮詰めたものと合わせる。「ついにきたか!カレーっぽい!」でも、これを煮詰めるのがまた大変。「じっくり、ゆったり、たっぷりまぜるってことだ。カレー作りって風越の理念だ!」というおかしょーの言葉に、「じっくり、ゆったり、たっぷりまざって、カレーになる!」と盛り上がる二人。バターと小麦粉を混ぜた中にすべて加えて水分をとばすと、いつのまにかカレールーに!調理中もどうやったらこの調理の手順がみんなに伝わるか考えている二人の姿も印象的だった。

大好きな写真とカレー作りを同時に楽しむおかしょー

11月18日、カレー実験2日目。今日はカレー作り。昨日作ったルーを鍋に入れるとおかしょーから「おー、TheCurryだね。」と。30分であっという間に完成。本格カレーの出来上がり。

自分たちが育てたものでカレーをつくりたい!と始まったカレープロジェクト。カイトのコリアンダー、モミの唐辛子、サラのじゃがいも。そして、お米。全部はむずかしかったけれど、少しだけ達成できた。本番が楽しみだ!

【ゴールできない⁈】

実験を経て、あと一週間でみんなでカレーづくりができる!と喜んでいたところ、長野県の新型コロナウイルス感染警戒レベルが上がり、調理活動は延期に。「もう少しなのに…」と落ち込むおかしょーとカイト。せっかくここまで頑張ってきたのに…。

冬休みが明けても警戒レベルは下がることがなく、むしろ勢いをましているように思えた。このままカレーは作れないのかな?と諦めそうになっていたが、2月2日、カイトが調理活動のルールを考えているはるちゃんに「カレーが作れるように検討してほしい」と話をしに行ったようだ。

「なんとかやりきりたいね」と私が声をかけると、カイトにしてはめずらしく、大きく頷いた。「カレーをやりきりたい!」と同じ思いを持っているんだと思うと嬉しかった。ホーム「か」として、これだけはやりきりたいというか、やりきらなきゃいけないんだと私は思っていた。ゴールしなければ感じられない気持ちがあるから。

2月9日、はるちゃんから「カレーを作っても大丈夫です!」とカイトにお知らせが入った。帰りの集いでカイトがそのことを報告をすると、「やったー!」と喜ぶみんな。ここでも、思いは一緒なんだなと感じた。3月2・3日がカレープロジェクトのゴールの日になった。

【長い道のりのゴールの日】

3月2日、いよいよその日がやってきた!続々と調理室に集まる「か」のみんな。朝のつどいで、カイトとおかしょーが作り方を教えてくれた「ルーづくり」が始まった。

まずは凍っているトマトや玉ねぎをすりおろす。数分もすると手が冷たくなってくるため、チーム内で交代しながら作業をしていく。友だちがすっているところを見ていたたいくんは、すりおろし器がずれるのに気がついて、力いっぱい抑えていた。固形のブイヨンを溶かすことに苦戦しながらも、材料を水分が飛ぶまで長い時間じっくりとフライパンで炒め、無事にカレールーができあがり!冷蔵庫で保管して明日を待つ。

3月3日いよいよカレー作り最終日。わこさんやしんさん、ゴリさん、今までお世話になったたくさんのスタッフにカレーを食べに来てくれるように声をかけた。「お昼は持ってこなくて大丈夫です!」と宣言してあるので、責任重大!

目が痛いと言いながら玉ねぎの皮をむくナコとユナ。黙々と調理するサクラコ。目が痛くなってしばらくキッチンから避難するエリナ。モミもハナコも、おうちでの料理の経験を生かして活躍していた。こっちゃんとカナデは、じゃがいもを焼こうと、アルミホイルに包んだ。

野菜を切り始めると、えっちゃんがななみいに人参の切り方を聞く。ななみいが「回しながら切るんだよ。」と乱切りの仕方を教え、えっちゃんは「こう?」と言いながら挑戦。調理経験がある人がない人に教えながら、みんなで協力して手際よく調理が進んでいった。サラのグループのキッチンはいつもきれいで、家で手際よく調理していることが伝わってくる。タイガも率先して洗い物をしていた。カイトはこのホームの様子を動画に残そうと、撮影しながらみんなの様子も気にかけていた。ハルノは車椅子だったけど、自分ができることを探して活躍していた。1年がかりのプロジェクトの締め括り。みんなでできたことが何よりも嬉しかった。

外ではおかしょーとジュンちー、シンノスケがわこさんと一緒に羽釜と飯盒でご飯を炊いた。わこさんから針葉樹のマツの薪木と広葉樹のナラの薪木の性質の違いを教わった。火が思うように燃え広がらないことに気づいたジュンとちーは、おもむろにラボへ走って行き、自作の団扇をつくってきた。シンノスケがそれを受け取り、勢いよく風を起こした。

お米だけでなく、ジュンが育てた椎茸と余ったじゃが芋もアルミホイルにくるんで直火で焼いた。5分もするとしいたけと一緒にいれたバターのいい匂いが周りに広がってくる。できあがったアルミホイルを開くと見るからに美味しそうな焼き目がついている。しょうゆを少し垂らし、まずはできたてを火起こしチームのメンバーで味見をした。「うまい!」とみんな声をそろえて笑顔になる。ジュンは「わこさん、ぼくのつくった椎茸。」と言ってわこさんのもとにも持っていった。

おかしょーが慎重にご飯の炊け具合をチェックする。「すこし水っぽいかな?」とこだわって火にかけ直し、もう少しもう少しと焦げないように仕上げをする。ご飯が炊けると、声をかけてあった前期のみんながご飯を食べに来た。「せっかくだからめずらしい黒米をみんなに食べてほしい」と超特急でミニおにぎりをつくって配った。おにぎりウーバーイーツ。バット1枚分のたくさんのおにぎりがあっという間になくなり、キヨもキッチンからヘルプに来てくれて、いそいで追加のおにぎりをにぎった。食べ終わった前期の子は「おいしかった。」「もちもちしてたー。」と感想を伝えてくれて、「もう一つほしいな…」と言いたげな顔で「か」のみんなを見ていた。

しんさん、ごりさん、ゆっけ、あいこさん、はるちゃん、ささ…招待してあったスタッフのみんなも続々とかけつけてくれた。

「ゴリさんちょっと待って!やばいよ俺らだけ遅いから。」とカナデ。
「えーおなかすいたー。」とゴリさん。
「ルーのおかわりください!」としんさん。

オフィスにいたスタッフのみんなも「カレー食べたい!」とキッチンに来てくれた。こうしてホーム「か」の活動にスタッフが気持ちを寄せてくれて、みんなもとても嬉しかったと思う。


招待していたみんなに食べてもらった後で、ようやく自分たちもいただきます。ジュンの育てたきのこを入れたグループもあり、それぞれのグループで少しずつ味の違いがあり面白い。そして何より、どのグループのカレーもとても美味しかった!

飯盒で炊いた黒米はモチモチでとても美味しく、ジュンが育てたきのこもバターじょうゆとの相性が良くて大人気だった

【それぞれの思い】

4月のオンライン登校中に始まった「カレー屋」プロジェクト。1年の道のりを思い返すと、感慨深いものがある。最後に、ホーム「か」のみんなにカレープロジェクトのこととホームについてインタビューをしてみた。

サクラコ:ホームの関わりって、カレープロジェクトを通してつくれていたと思う。「か」は他のホームよりもいろいろなプロジェクトをやっているなーって思う。小学校のときはそんなに話す自分じゃなかったけど、風越はみんな優しいし話すようになった。私にとってホームって、友達を超えているっていうか家族っていうか…。学年の上下関係とかないし。他のホームとの関わりがないから、4月からホームが変わるかもしれないと思うと、少しこわいっていうか…。

カナデ:カレーって作るのが大変だなーって思った。一個一個売られているカレーもつくるのが大変なんだなって作ってみてわかった。僕は何も育てられなかったけど、野菜も米も育てるのに、一年間かかるんだなって実感した。ホームって…無敵な感じがするんだよね。いろいろな年の人がいるから守られているって感じ。小さい人も同じホームの上の人がいるから怖くないって。

サラ:リモートからはじまって、行き詰まったり消えかかったりして、正直ここまでできるとは思ってなかった。ここまできたのがすごいと思っている。あっという間だったし、大変だったこともあったなって思う。これから、カレーを文化祭とかで出せればいいし、スイーツプロジェクトと合体もできるなとか、いろいろな可能性が広がっていくと思う。ホーム「か」は、一言では表せないくらい自分の中では大きいな。ホーム替えは楽しみな気持ちもあるけど、ホーム「か」がバラってなるのは寂しい気持ちもある。これからホーム替えがあれば違うホームになることもあるけど、きっと1年目のホームは自分にとって特別だなって思う。

ななみい:とりあえず目標であるカレーづくりができたのは嬉しかったけど、できたらみんなが育てた野菜で作りたかったな。でも、作るのも楽しかったし、どれも美味しかった。リモートのときから今までって考えると、すごい時間をつかっていろいろな話し合いをしてきて、それがあの味になるのがすごいことだなと思う。学年が違うと発言とか考え方とかも違って、下の子がいるからより多くの視点が得られるし、そのグループでプロジェクトをできるのは大きなこと。自分的にはもっとホームの時間があってもいいなって思っている。ほとんど主催が6・7年だから、3・4年の子が自分なりのことを考えてくれたことがあってもいい。風越に来て、友達と本気で向き合えるようになった。風越は自分で決めるから自分の考えをもつ。自分の考えを持っているから本気で向き合えるんだなって思う。

キヨ:最初はカレー屋さんをつくると言っていたけど、コロナでスケールが小さくなった。でも、時間がかかってもやっとできたからよかったなって思う。カイトが頑張ったなーと思ってる。企画書を毎回通そうと、コロナの中でも頑張って、よく諦めなかったなーって思う。ホーム「か」は他のホームよりも「あ」と一緒に過ごす時間が多い。「か」だけの時間と「あ」と一緒の時間が両方あっていい。ホームはおうちの2番目の過ごし場所。

タイガ:4月、自分が田んぼづくりをしたいなと思って、でも、いちからは難しくて断念することになったけど、わこさんに聞いてみてお米づくりが手伝えることになって嬉しかった。スパイスもつくろうってなって、野菜もみんなで育てて。キヨは家で野菜の成長を熱心に記録してすごいと思った。野菜はできた時期がそれぞれだから食べちゃったけど、実際にカレーができたのが楽しくて、完成したときにとにかく嬉しかった。最初は実際にできると思わなかったから、ここまでできたのが嬉しかった。ホーム「か」の人を一言で言うと、『熱心・楽しい・すごい・笑顔。』みんな性格が自由で個性もあって、でも居心地が全然いい。受け入れてくれたり、話を聞いてくれたり、話し合ったりしてきて。居心地がいい。

ハルノ:みんなで作れてよかったけど、作るだけじゃなくて、やっぱりカレー屋をやりたかったなって思う。作って売ってみたかったなーという気持ちが残る。カレープロジェクトはそれぞれの得意なことを活かして頑張ってたなーと思うし、おもしろいホームのプロジェクトだったなーって思う。ホームは一年間過ごしてきた仲間。いろいろなことを通して、みんな馴染めてきて、仲良く過ごしてきた仲間だなって思う。居心地がいい。田んぼやったりしたときに実際に助けあったりしてきたから、そういうことをきっかけにだんだん馴染めていったんじゃないかな。

えっちゃん:つくるのが楽しかった。コロナでできなかったけど、やっとできてよかった。サラのじゃがいもとか(レタスは病気で食べられなかったけど)、きのこ、とうがらし、パクチー、みんなが育てたものが食べられた。「か」はいつもみんなが笑顔のホーム。みんなが優しいから居心地がいい。みんなでいろいろ企画して協力したりしてきたから、居心地が良くなってきた。はじめは話す人がいなかったけど、上の学年の人がいるから先生がいなくても教えてもらったりして、今は何でも話せるようになった。来年4年になって、今度は自分が色々教えられたらいいと思う。自分もしてもらってたようにできるといいなって。

ユナ:ちょうど一年くらい…みんなの気持ちがずっとかわらなかったんじゃないかと思う。だからできたと思う。全員野菜とかを育てたわけじゃないけど、みんながそれぞれの関わり方で関わっていた。計画を立てるところから始まって、分担して、いろんな経験ができた。料理、畑、田んぼとか、足踏み脱穀とかなかなかできないことができて、私にとってすごい貴重な経験だったと思う。ホーム「か」は家族みたい。みんなが仲いいし、学年もばらばらで、みんなホームの中で自分の立場があって。仕切ってたりとか、いろんなことをアドバイスをしたりして。子どもたちは兄弟みたいで、スタッフは親みたい。全員同じ年だと負担になるけど、いろんな学年がいるから本当の兄弟みたい。楽しく学校に来られている。今までの学校で馴染めなさとかを感じてきたり、辛い経験をしたりしてきた子もいると思うけど、お互いを認めあっている気がしている。

シンノスケ:最後にカレーを作れて美味しかった。米をもうちょっと火を入れて蒸らして、もっと完璧に炊きたかったな。田んぼでタガメを捕れなかったのが残念。タガメに会えなかったからまた来年も会いに行く。僕は自分がやりたいことが多いから、自分がホームの外で活動する時間が多くて、一日3回くらい強制的にホームにいる時間がないと、「家」だっていう実感がわかない。昼の集いがあればいいんじゃない?ホームでの活動時間が少なすぎる。「セルフに集まりましょう」じゃなくて、「ホームの時間」っていう時間があって、ホームに帰ってくる時間がほしい。もっと一緒に活動したほうが楽しくなる。

ちー:田んぼにいって、稲をかったり脱穀をしたことがおもしろかった。カレーはおいしかったし、一年間面白かったけど、もっとお肉とか野菜とか本当に0からやりたかった。全部やったぞって気がしない。今は5くらいからやっている気がするから、全部買わないでやりたい。火をつけるのにも、マッチとか虫眼鏡でつけるとか、もっとチャレンジしたい。俺が作った野菜が使えなかったからちょっと残念だったけど、野菜って全部育つ時期が違うから、0からやるのって大変なんだと思った。ホームは手伝ってくれる仲間とか、ひっぱってくれるリーダーみたいな、チームな感じ。カイトとかいなかったらカレーとかできなかったと思うし、おかしょーとかいなかったら写真とか見れなかったから、みんなが関わっているなと思った。野菜作った人とかきのこ育てた人とか、休みに田んぼにいった人とかみんなそれぞれの関わり方で関わった。4月とか5月に比べれば、話す数が多くなったり、やってあげたりやってもらったり、近づいた感じがする。多分、みんな得意なことはいっぱいやって、苦手なことをやってもらっているからかなって思う。得意なことは周りの人の分もやっても大変じゃないけど、苦手なことをやったら時間がかかる。みんな違うから。

ハナコ:レタス育ててすごくよくできたけど、早く育ちすぎて収穫しようと思っても明日とろうと思っているうちに茶色くなっちゃって、見たときにとっておけばよかったなって思う。レタスってこうなるんだなとか、とうがらしって、こんなに小さかったんだなと思って、いろいろ知れたかなって思う。カレーが出来上がったときには、こんなにシャバシャバでいいのかなって思ったけど、美味しかった。ホーム「か」は話しやすい人がいっぱいいて居心地がすごくいいです!男の子も話しやすいし、普段あんまり話さない人とも話せる。

ジュン:カレープロジェクトおもしろかったなー。ルーも手作りしたり、みんなで調理したり、田んぼに行ったり…初めてのこととか驚いたことがたくさんあった。カレーになんで葉っぱ入れるんだろうとか思った。僕はきのこを育ててカレーに入れたこととか、ちひろだったらご飯を炊いたこととか、みんながそれぞれにいろんなことがあっておもしろかった。ホーム「か」は協力するホームだなって思う。例えば朝の会でカイトがポストのことを連絡したときに、幼児がポストをさわってたら、ホームの女子がちゃんと注意してたりしていて、協力しているなって思う。居心地がいいなって思う。

おかしょー:長かったようであっというまだった。畑で育てると言ったときに本当にできるのかと思ったけど、本当にできてよかった。ホームは今までの普通の学校のクラスとは違う。違う学年の人もいて、時間が濃かった感じがしている。本当に田んぼが楽しかったから来年もやりたい。田んぼだけじゃなくて、田んぼの虫とか、羊とかその周りのこともできたからかな。ホーム「か」はみんなが一つのことをやろうとしたからまとまったんだと思う。みんなが責め合うような時もあるし、面白い時もあるけど、なんやかんやでホーム「か」で良かったと思う。

モミ:カレープロジェクトはやってよかったと思う。ルーをつくったことがないから、ルーづくりが一番楽しかった。野菜とかも一から育てられてよかった。ホーム「か」は私にとって居心地がいい場所。

こっちゃむ:稲刈りは初体験だったから、特に面白かった。カレールーを作るのも初めてだったし、楽しかった。僕はズッキーニを育てたんだけど、自分で家に石で囲んで土を入れて畑をつくった。大変だった。でも、ズッキーニを食べたとき、すごい美味しかったし、みんなが美味しいって言ってたのが嬉しかった。今年が終わるまでにカレーが作れてよかったと思った。ホーム「か」ではだんだんしゃべりやすくなってきたし、風越は小さい子が近くにから、前よりも関われるようになってきた。

エリナ:楽しかったけど、悔しい気がする。野菜をつくったけど、育つのが早すぎてカレーに使えなかったから市販のものになっちゃったし、お肉も作れればよかったと思う。今回はおかしょーとカイトがスパイスの調合をしたけど、今度はホームのみんなで自分たちでいろいろな調合の仕方をして、それぞれの味にしたい。一日全部の時間を使ったほうが絶対美味しくなる。ホーム「か」は、みんなが自分からファシリをしたり、みんなが自分から始めようとする人が多い。この人たちで良かったと思う。いい人たちだなって。

ナコ:稲刈りは大変で一日では終わらないと思ったけど、頑張ってやって美味しく食べられてよかった。たまねぎを切るときも目が痛くて大変だったし、トマトを炒めるときも焦げないように混ぜて大変だったけど、出来上がったら美味しかった。田んぼでお米を育てるのが一番楽しかった。この1年間で仲良くなって楽しい関わりができてよかった。そんなにしゃべらなかった子もいるけど、でも友だち。朝の集いとかでいろいろ遊んだりして、年上の人とも遊べるようになってよかった。

たいくん:カレーを食べるのが美味しかった。トマトすってたとき、いい音がした。人参を育てる時に種をまくのが一粒づつで難しかった。育ててスープにも入れられるからちょうどよかった。今も育ってる。わこさんの羊に会ったのがおもしろかった。草をあげたら食べてた。ホーム「か」はいい思い出だった。朝の集いで地震のこととかを話したときに「そうなんだー。」ってみんなが聞いてくれて嬉しかった。

カイト:楽しかった。はじめから終わりまでやってて、少しずつできていく感じがすごい楽しかった。まずはできてよかったなって思う。コロナでできなかったこともあったけど、そういうのもいい経験になった。感染症対策のこととか。一番最初にしんさんと畑作れないかと話したときに、3つ以上方法を考えるように言われて、そのとおりだと思って、今、そういう考え方が他のところでも生かされている。企画書づくりとかはそのときは大変だったかもしれないけど、楽しい気持ちがあったから続けてこられた。企画書が通った時とかうれしくて、そういうところが楽しかったのかな?と思う。「みんなは楽しいのか?」という疑問が浮かんできたりして不安だったけど、やっていくうちにそういう不安は感じなくなっていった。オンラインのときからいいホームだったなって思ってた。みんなで話し合いして、一つのカレープロジェクトに向かって取り組んでいる姿がいいホームだなって思う。あたりまえかもしれないけど、いいところも悪いところも変化していってる。慣れたからこそ、嫌なことも言うようになっているし…。最後のカレーをつくっているところを動画で見てていて、みんなでやっている感じがあって、協力してやっていたり、わからないところは教え合えたりしている。ホーム「か」はそんな関係だと思う。

 

子どもたちは「ホームとは?」という問いに、「無敵」「家族」「おうちの2番目の過ごし場所」「居心地がいい場所」と語った。異なる年齢の人同士が共に過ごすからこそ、違うことが当たり前であり、人と比べず、自分らしくいられたし、違いに寄り添い互いを思い合ってこれたのだと思う。

今回の「カレー屋への道」でも、みんなで一つのゴールに向かって歩くことでつながりあい、それぞれの得意なことを生かしたり苦手なところを補いあったりして寄り道をしながら歩む中で、その人らしさをわかり合ってきた。

小さい人も大きい人の存在に支えられ、大きい人も小さい人の存在に支えられる。そうやって、自分の経験を受け継いでいくことで「無敵」「家族」「居心地がいい場所」というようなホームがができていくのだろう。

文:石山 れいか

#2020 #ホーム #後期

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かぜのーと編集部です。軽井沢風越学園のプロセスを多面的にお届けしたいと思っています。辰巳、三輪が担当。

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