2023年12月27日
こんにちは、軽井沢風越学園です。
先週20日・21日とアウトプットデイを開催し、22日におわりの日を迎えました。
24日にはスタッフ同士の結婚式を校舎で開催、ご親族やご友人、保護者・子どもたち含めて270名がお祝いにかけつけてくださいました。
ついに結婚式までつくってしまえるチームになりつつあります。
かぜのーと 第80号(2023年12月27日発行)
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【1】『自分たちの学びを自分たちでつくった先に』栗山 梓
【2】『センス・オブ・ワンダー -植物と出会う 色と出会う 世界と出会う-』小石原 智宏
【3】『早く行きたくて一人で進みたい。遠くまで行きたくてみんなで進みたい。』佐々木 陽平
【4】『一人の心地よさが、誰かの心地よさに』佐々木 さやか
【5】『おとしものツリー:モノに命を』 赤木 和重
【6】『風越ウラ日記 〜僕らがつくる小さな宇宙〜』井上 太智
【7】『授業をつくること・子どもと保護者と安心できる環境をつくること』力久 聖也
【8】『自分たちでできた!につながる大人の関わり
ーニャゴベンチャーキャンプで子どもたちの中に起こったことー』奥野 千夏
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【1】# 5,6年生
『自分たちの学びを自分たちでつくった先に』栗山 梓
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風越学園では「自分の学びを自分でつくる」という言葉がよく聞かれる。
土台の学びやテーマプロジェクト、マイプロジェクトなど様々な場面で、やるべきことや方法が「こうしなさい」と提示されることよりも、「あなたはどうしたい?」と問われることが多い。子どもたちはその大小様々な「私はどうする?どうしたい?」の選択の瞬間を乗り越え、少しずつ「自分の学びを自分でつくる」を身につけていく。
・・・と思っていた。
いや、たしかにその側面はある。
そうやって少しずつ自分や自分たちの学びをつくることができる様になっていった大きい人の姿を目にすることはある。
しかし、一方で、それって結構難しいよなとも思う。「私はどうする?」という一場面での行動選択と、自分の学びをゼロからつくりあげることとの間に、大きなジャンプがあるのではないか。「私はどうする?」を積み重ねられたとしても、実際に何もないところから「学びをつくる」という経験無しに、「自分の学び」をつくれるようになるのかと。
風越での生活を思い浮かべると、「学びをつくる」経験が全くないというわけではない。
ゼロからつくりあげる経験の代表としては、マイプロが挙げられるだろう。
自分の「やりたい」を出発点にしながら、「こうなりたい」「こうしたい」という思いとともに、自分(たち)のプロジェクトをつくりあげていく。停滞したり、中断したり、仲間の力を借りて再出発したり。
一つ一つのプロジェクトにそれぞれのドラマがあり、多かれ少なかれ子どもたちは「つくる」を経験しているわけだが、いわゆる「勉強」の場面でソレを実感する機会が少ないのではないかと考えるようになった。
続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/32260/
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【2】# 1,2年生
『センス・オブ・ワンダー -植物と出会う 色と出会う 世界と出会う-』小石原 智宏
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9月からスタートした、1・2年生が混ざった新しいコミュニティー「黄金グループ」。
最初から大人が枠組みを作り計画し、その活動の中で学びを手渡していくという方法はとらずに、
子どもの興味・関心をベースにして、問いと活動の連続のプロセスによって学びの足跡をつくるというチャレンジをしながら、約3ヶ月探究活動を行ってきました。
先の活動の見通しがもてないというのは、自分にとっては忍耐が必要であり、こちらの意図で子どもを引っぱりたくなることを手放し続ける時間でもありましたが、そうする中で、思いもよらない素敵な瞬間や子どものたちの姿にたくさん出会えました。
その断片を今回の記事では書き残していきたいと思います。
「うわあ、いい匂い!」
「お茶の匂いがする!」
「これ、ルイボスティーの匂いだよ!」
「のんでみたい!」
秋晴れのさわやかな陽の光がふりそそぐグラウンドで、子どもたちの驚きと喜びの声が響いた。
続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/32531/
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【3】#実践ラボ
『早く行きたくて一人で進みたい。遠くまで行きたくてみんなで進みたい。』佐々木 陽平
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ある日の研修日。あやや(中川)から実践ラボに関心ある人はいますかと投げかけがあった。
ちょっとだけ手を上げたけど、他に誰も手を挙げていなかったので流れるように手を降ろしていったのを覚えている。
実践を開いていくことに関心はあったけど、実際に開くには勇気がいる。やりたいけどやりたくない、そんな心情だった。
それから数日後、あややから実践ラボをやらないかと声をかけられて、「せっかくだしやってみるか」という気持ちで始めることにした。
最初は風越で開くから自由進度学習のことや小学校のことを扱ったほうがいいかなという気持ちがあった。
でも、だんだんとその気持ちは薄れていった。というのも、風越の中学校(7,8,9年生)数学科の授業はすべて僕が担当していて、数学を専門に学んできているスタッフも僕だけである。
そのため、風越の中で専門的に数学の授業について誰かと語り合うことはほとんどなく、数学の授業について考えるときに孤独感がつねにつき纏い、数学の授業について語り合う仲間をつくりたいという気持ちがだんだんと出てきていた。
それに、ほんとうによりよい授業を求めるのならば仲間は欠かせないし、仲間と共に授業をつくっていかなければ日本全体の授業はよくなっていかない。
そんな気持ちがあって仲間をつくっていくために中学校数学科に焦点を当てて実践を開いていくことにした。
続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/32502/
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【4】# ウェルネス
『一人の心地よさが、誰かの心地よさに』佐々木 さやか
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風越にくれば、特別支援に関する色々なことが解決すると思っていたが、
そううまくはいかないということを味わったり、風越における個別支援とはなんだろう?
と考え込む日々を過ごしているけれど、ここにヒントがあるかもしれない!と思ったことを書き留めておきたい。
「Aちゃんは、2つの感覚を合わせると集中できるようです。例えば、課題に取り組みながら、鼻歌を歌っている時が集中できている時です」
と話す心理士さんの話を「そうなんですね。わかりました!」とあっさり受け止めている自分に気がついた時、ちょっと驚いた。
というのも、前職の「ことばの教室」にも「教室で、大きな独り言を言ってしまう子」や「授業中どうしてもお尻がソワソワして動き回ってしまう子」が通っていて、私は個別が中心のその時間では、立ち歩きも、おしゃべりも楽しみながら学習していたのだけれど、その裏には「ここで思う存分発散して、教室では我慢しようね」という思いがあったように思う。
つまり、当時の私は子どもとの“秘密のリラックスタイム”として、それをOKとしていたのだ。
風越で、鼻歌を歌っていたり椅子に座れない子がいた場合、周りから「うるさい」と言われることや、「今は椅子に座ろう!」とスタッフに声をかけられる場面はあるかもしれないが、そうすることで本人が学べているならば、頭からダメと否定されず、尊重される土壌ができていると感じる。
もちろん、どの程度何をOKとするのかは、私を含め日々一人ひとりのスタッフが葛藤もしているが、動くことや話すことを保証した上で、周りに影響を与えすぎない塩梅を学んでいくことができる環境は、一人の子どもの学びの可能性を拡げる大きな柱になると思う。
続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/32596/
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【5】#風越の教室に入ってみた
『おとしものツリー:モノに命を』 赤木 和重
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ご無沙汰しております,神戸大学の赤木です。
バタバタしていたせいで,およそ10か月ぶりの「かぜのーと」となってしまいました。
ただ時間がやっとできてきましたので,ぼちぼちになりますが,かぜのーとを再開させてもらいます。
今回の記事は,かなり前になりますが,5月26日・27日に開催された「まなびのかたちをつくる会」をインスピレーションにした内容です。
今とは,少し様子が違うところもあるかもしれません。
その点,ご容赦いただくとともに,この間の風越実践の変容をとらえるきっかけにしていただければ幸いです。
この会は,「建築・教育関係者対象」と明記されているように,教育関係者に加え,校舎や空間デザインに関係のある建築関係者も参加されていました。
学びを,環境とのかかわりでよりひろく考えようという趣旨でした。
校舎を設計された仙田満さんや,仙田さんの事務所のスタッフも参加される超豪華な会でした。
そして,私は,仙田さん,スタッフのあすこまさんと分科会をご一緒するというなんとも恐縮しまくりな機会にめぐまれました
(仙田さんにサインをもらおう!と思って,かばんに仙田さんのご著書をしのばせていたのですが,モジモジしてしまい,サインをお願いできなかったのが心残りでした…)。
分科会では,仙田さん・あすこまさんの話,および参加者のご質問や感想から多くの刺激を受けました。
なかでも仙田さんのお話に学ぶ・考えるところが多くありました。仙田さんから,風越学園の敷地も含めた校舎の設計について,学校教育の歴史にも触れながらお話いただきました。
設計の中心理念は,仙田さんオリジナルの「遊環構造」にあります。風越学園で,ユニークな学びがあちこちで起きているのは,この「遊環構造」という空間が下支えしていることを実感します。
例えば,偶発的に異年齢の子どもどうしでやりとりや学びが起きているのは,教室の境界が曖昧であることと関係しているでしょう。
風越学園独特の時間帯によって,同年齢・異年齢など様々な他者と学んでいく流動的なカリキュラムも,遊環構造を背景とした風越学園の校舎があってのことだと思います。
5月の会の詳細については,いくつか報告(例えば,参加者の富田さんによる記事)が書かれていますので,そちらを参照ください。
今回の記事では,風越学園の独特の環境を別の角度から考えたいと思います。
続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/akagi_report/32561/
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【6】# 風越のいま
『風越ウラ日記 〜僕らがつくる小さな宇宙〜』井上 太智
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最近の理科室から眺めた今の風越を残しておきたい。
これは明日にはどうなっているかわからないお話。
4年目の風越学園には、やっとこさ良い流れがやってきている。
そして特に今アツい!と注目されているのが「ファシトレ」だ。
今年度、「つくる」をキーワードにスタートした4月。
その学校づくりは子どもたちがファシリテーターとしての意識をもつことでグンと加速した。
アウトプットデーの企画運営、県のお仕事となる円卓会議など、大きな仕事をこなしてしまうのが風越の子どもファシリテーターだ。僕もかざこしミーティングのファシリテーターチーム(この子たちが自分たちをファシリテーターと名乗り始めた元祖ファシリテーターである。)の伴走をしている。こちらも手応えを積み重ねていて全校ミーティングが一つの形になりつつある。
かざこしミーティングは、誰もが自由に話したいことをシェアしたり、話し合うテーマをあげることができる場だ。
最近のかざこしミーティングではアウトプットデーのテーマが発表されたり、ちょっとした困りごとや、お願いごとがシェアされた。そして、かざこしミーティングのメインである話し合いでは「来年度のホームどうする?」が話し合われている最中である。
風越のホーム(異年齢のコミュニティ)をどうするかがまだ決まっていないのだ。
だから子どもたちと話し、子どもたちと決めるのが風越。
さぁ、来年度のホームがどうなっていくのか、これは僕自身も目が離せないテーマだ。
実は今回書き残して起きたいと思っているのは、子どもファシリテーターが頑張っている!という話じゃない。
もうそれは多くの子どもも大人も知っている、いわばオモテ面だ。僕が話したいのはウラの話。
そう。もしかすると、僕しか知らないかもしれないウラの話である。
続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/32606/
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【7】# スタッフインタビュー
『授業をつくること・子どもと保護者と安心できる環境をつくること』力久 聖也
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今年の4月に入職してきてしばらくは、飄々として掴みどころのないイメージだったが、少しずつ輪郭が見えてきた気がする。
担当する授業数は多く、たまに青白い顔をしているが、無類のライブ好き。
ライブに出かけた翌日と、放課後のオフィスで保護者と電話しているときに軽やかさを感じる。
「今担当している5,6年生が7年生(中学生)になった時、どんな学びができるといいんだろうって、ずーっと考えながら授業つくっています」と話す語り口から、ほんとうに考えているのが伝わってきた。
このあと、どんなふうに輪郭が立ち現れてくるか楽しみにしている。(かぜのーと編集部・辰巳)
自分は一人っ子で、かつ、両親が共働きで帰りが遅かったので、隣町に住んでいたおじいちゃんおばあちゃん家の校区内の小学校通ってたんです。
毎朝、親がおじいちゃんおばあちゃん家に送ってくれて、そこから登校するみたいな。
自宅から歩いて1分のところに学校があったんだけど、中学校も高校も隣町の学校に自転車で通って。
だから、親と過ごす時間よりおじいちゃんおばあちゃんと過ごす時間が多くて、おじいちゃんおばあちゃんと過ごす時間より、友だちと過ごす時間が多かった。そうすると、必然的に自分が一番過ごしてる環境が学校になって、学校が居場所でした。
でも、その中学校も高校も、自分にとっては厳しい環境で。校内に飴のかけらが落ちていようものなら全校集会だ、みたいな。
教師が子どもたちを力で抑え込むような場所で、今思い返しても、精神的にも、肉体的にもしんどい子ども時代でした。
だから、学校や先生がすごく好きで教員になりたかったわけではなくて、どちらかというと自分の経験をもとに反骨精神で教員になった感じなんです。大学院でも「安心できる環境づくり」をテーマに研究をしてきました。
続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/staff_interview/32658/
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【8】# 幼稚園
『自分たちでできた!につながる大人の関わり
ーニャゴベンチャーキャンプで子どもたちの中に起こったことー』奥野 千夏
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今年の年長どらにゃごは、たくさんやりたいことがあふれている人たち。
「どらにゃごみんなでやりたい」や「ようちえんみんなでやりたい」もあれば、泥団子づくりのようにそれぞれが「1人でじっくりやりたい」もある。
その一方で、春頃は大人がいないとできないと思っていることも多いなと感じていた。
”くまがでたぞ”という鬼ごっこのような遊びでは大人にクマをやってもらいたがり、大人がオニをする、お題を出すような遊び、大人がいないと成り立たないような遊びを好んでする人がいた。
そういった遊びの姿は、日々の暮らしの中でも見られて何かするときには、自分で考えたり、試したりしてみる前に「これやっていいの?」「これどうしたらいいの?」と大人に聞いたり、大人の判断を求めるような姿が気になっていた。
そんな様子から、庭のにわとりの卵を使ってホットケーキ作りをしようと決まったとき、「失敗してもいいから、まずは自分たちでやってみよう!」と材料だけを手渡してみた。
3~4人のグループでホットケーキミックスの裏の作り方の絵を見ながら自分たちで「次はこれ入れる?」「今度はわたしやってみる。」と相談・協力して、ときにはぶつかりあいながら作っていく。
牛乳をこぼしたり、卵の殻を入れちゃったりしながら、自分たちでできた!を実感できる一歩目となった。
そこから、「みんなでパーティーしたい!」や「鳥に会いに鳥の森に行きたい!」などのそれぞれのやりたいをみんなのやりたいにして一つずつ実現していき、どらにゃごならできる!みんなならできる!の自信をつけていった。
そんな中でも、やりたいけれどちょっと不安、こわい、と気持ちが揺れたり、1人ずつ抱えている思いが違ったりしたのが「キャンプ」と「おとまり」。
やりたいの声は春から上がっていたが、結局動き出したのは寒くなってきてからだった。
それだけの時間が必要だったのだなと終わった今だから感じている。
多くの幼稚園や保育園はお泊まりは夏から秋ごろなどと決まっていると思うが、風越では子どもたちの気持ちや自信が積み上がってきてから、そのタイミングを子どもと決められたことは大きかった。
続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/32602/
(あとがき)
先週オンラインでかぜのーとを読みあい、参加者それぞれの実践をふりかえる小さな場を持ちました。
記事が触媒になって、参加者が大事にしていることや困っていることが少しずつ言葉になる様子をうれしく聞かせてもらいました。
ついに今回80号!届くおたよりや、こういうたまの機会のおかげで続けていきたいという気持ちになります。
採用に関するイベントやお知らせは不定期にお届けしています。よろしければ、採用ページからご登録ください。
>> https://kazakoshi.ed.jp/recruit/
また、2022年度の寄付レポートを公開いたしました。>> https://kazakoshi.ed.jp/donation/report2022/
ふるさと納税の対象でもありますので、よろしければ寄付で支えていただけると嬉しいです。それぞれの場所で、よい年末年始を迎えられますように。来年もお願いします。
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