風越のいま 2023年10月25日

光プロジェクト『 』展、4人の発表を味わい直してみる

片岡 利允
投稿者 | 片岡 利允

2023年10月25日

夏休みが明けた2ターム目のテーマプロジェクト。3・4年生は、「光」をテーマにしたプロジェクトを進めてきた。10月5日のアウトプットデイは中間報告会とし、途中経過をアウトプットして返ってきたフィードバックをもとに、さらにプロジェクトが進んでいった。

その後10月17日。光プロジェクトの節目の報告会として、「光を使ってわたしの暮らしを『 』展」を開催。この『 』の中には、それぞれグループに分かれて追究してきたテーマ、「楽しさ」「癒し」「便利安心安全」が入る。題材はそれぞれ。ランタンやプラネタリウム、光る鏡に光る料理など。

今回は、『 』展当日の発表を一部紹介。ふらっと立ち寄った4人の発表とその場のやり取りを、写真と録音をもとに、できる限り丸ごと記録に残してみます。

本人たちは、光プロジェクトを通して、どんな経験をしてきて、何を学んできたのでしょうね。また、当日に至るまでに、スタッフのどんな関わりがあったのでしょう。僕自身も、もう一度真っさらな気持ちで、あの場あの瞬間を味わい直して、考えてみます。

1)ハルマ:大きな炭電池を作って豆電球を光らせる

ハルマ)僕はもともと「炭電池をつくる」のをやってたんだけど、「大きな炭電池を作って扇風機を動かしてみる」というフィードバックをもらったので、大きな炭電池を作りました。(アウトプットデイよりも)前の炭では、0.019ボルトだったんだけど、今調べてみると、0.993ボルト出ていることがわかりました。

とっくん)へーーー。ちょっと見せてもらっていいですか。

ハルマ)はい。今、こっちの大きい炭電池が・・・、ほら、これで前よりも(電圧が)上がってるんです。

とっくん)おおおーーー。

ハルマ)前の炭電池は、こんくらい(今よりも小さいサイズ)の大きさの炭だったんだけど、こんくらいの大きさの炭(今の大きさ)とめちゃくちゃ違いがあるじゃないですか。でも、電気はこんぐらいしか変わんないんだっていうことがわかったから〜。

とっくん)じゃあ単純に、これ、(前と比べて電圧の大きさは)100倍ぐらいになったってこと?

ハルマ)はい、大きさが。はい。

とっくん)へえ。この電気を使って扇風機を動かす。

ハルマ)今、豆電球(も点くのか)で調べてみたんですけど、うん、まあ、豆電球は光りません。この炭電池で。

とっくん)え、ちょっと1回やってみて。

ハルマ)わかりました。(炭電池と計測器をつないでみる)ここ、おさえて、ライト持ってください。で、ライト持って繋げても、ほら。

とっくん)ああー、つかないね〜。電力が足りないのかな。何ボルト必要なんですか。

ハルマ)2ボルト。

とっくん)じゃあ、これ(作った炭電池)が 2個か3個ぐらいの大きさになったら・・・

ハルマ)これが光る!!!

とっくん)光らせたいなーーー。

2)マナ:見てるだけで楽しいミニミニ投影機

とっくん)じゃあ、マナさん、お願いします。

マナ)えーっと、見てるだけで楽しい「ミニミニ投影機(と言ったのはここだけで、以後、全てプラネタリウムと言っている)」をつくりました。メンバーは隣のレノンとやってま・・・

サクラ)もうちょっと大きい声で。

マナ)はい。マナは、プラネタリウムを作ったんだけども。1回こっから覗いてみてください。

サクラ、サキ、とっくんが順番にプラネタリウムを覗く

とっくん)おーーー。いいねえーーー。

サキ)あ、なんか音楽が流れてるけど・・・

BGMも同時に流れる

マナ)あと、このプラネタリウムは前につくったんですけど、アウトプットデイの時のフィードバックに、リクエストで「目につけるプラネタリウムをやってみたら?」というのがあったので、これを作ってみました。1回覗いてみてください。回してね。とっくん、眼鏡してるからちょうどいいかな。

(目につける用のプラネタリウムをつけて、順に、窓の外の光に向かって覗いてみる)

とっくん)ほんとだ。いいねこれ。じゃあ、いつでもどこでもプラネタリウムできるじゃん。

マナ)うん、そうです。・・・あ、えー、マナの発表は以上です。

(一同拍手)

マナ)よかったらフィードバックも書いてください。

とっくん)じゃあちょっと、質問とかいいですか。このミニミニ投影機を作るまでに作ったものとかあったんですか。

マナ)これまでにつくったものはー、懐中電灯にテープを貼って、懐中電灯を照らして、それを回したらなんかいろんな色が見えるやつとかやってました。

とっくん)そういうのを作ってみようって思ったのは、光のどんなことに興味があったのかな。

マナ)マナは、プラネタリウムに興味あったんだけど。レノンと2人が入れるプラネタリウムハウスを作ろうと思ってたんですけど。作るのがめんどくさかったです!!!(笑)正直。

とっくん)ははは!(笑)

マナ)だってさ、新聞紙を丸めたのを骨組みにするけどさ。 新聞紙何個も何個もくるみ、丸くして筒状にしてさ、それがすげえめんどくさかった。

とっくん)そっか。じゃあ、それでこれに落ち着いたと。

マナ)そう。

とっくん)作ってみて、マナは、今、どう感じてますか。

マナ)作ってみてー思ったよりも楽しいプラネタリウムが出来上がった。ってか、マナたち(「楽しい」を追究するチームのこと)は「楽しく」だけど、まあ、マナはこれは「癒し」かな〜とも、ちょっと思ってきた。

3)ワカコ・ナル:影絵や光ボトルで楽しい気持ちに

ワカコ)友達同士でけんかとかするときあるじゃない?ひとりになって落ち込んだ気持ちとかなった時に、影絵とか、こういうの(ボトルの下からライトで照らしたもの)を見て、楽しいなっていう気持ちになるもの、面白いなってなるものを作ってるんだけど。

子どもたちとたけさん)うんうん。

ワカコ)まだこれしかないんだけど。この影絵のやつ作ってて、 こういう面白いのとかやってるんだけど。例えばこれだとお化けじゃん。で、これがそのまま影になって映ると思うじゃん。だけど、 こうすると、ほら。これ、もとの姿と、影になるときとで、顔の見え方が違うの。

話題は光るペットボトルの方へ

とっくん)これさー、洗濯のりが入ったペットボトルの方、洗濯のりじゃないバージョンも置いといてほしかったなー。

ワカコ)あー、水?

とっくん)うん。比べてみたかったなー。

ワカコが、ちょうど目の前にあった水筒をライトの上に置く

ワカコ)ほら、いくよー。あー。

とっくん)あー、全然違うね。ちょっと聞いてもいいですか。

ワカコ)はい。

とっくん)これなんだっけ。名前。

ワカコ)光るボトルでいいんじゃない?

とっくん)今決まった(笑)。ま、その感じもすごい俺はいいなって思うんだけど、あの、光るボトルをここまで色々やってきたじゃん。

ワカコ)うん、最初は、ペットボトルにお水入れて、ラメを入れただけだったんだけど、なんかここに 模様描いたら可愛いんじゃない。ってなって、ここに模様を描いて。で、そっからライト当て始めて、どんどん進化させて、やっと洗濯のりでこうなった。

とっくん)ここまでやってみて、今どう感じてる?

ワカコ)えーーーー。いや、なんか、水だとこうすると、ここがなんかファーってなるけどー。

ワカコが、また水が入った水筒をライトの上に置いて、そのライトの光の広がり方を見せる

とっくん)あー、光の広がり方が違う。

ワカコ)そう、なんかもう、「光の通す力」が違う。なんて言うんだろう・・・。

とっくん)水と洗濯のりで、「光を通す力」が違う。

ワカコ)洗濯のりは泡が結構、なんて言うんだろう、光を「反射」してるけど、だけど、水は多分まっすぐピーっていってるから違うと思う。

とっくん)光の通り方が、洗濯のりだったら、たくさん「反射」する感じ。

ワカコ)そう、広がってる。

とっくん)面白いなーー。光の通り方と光の反射の仕方って、光を当てるものによって全然変わってくるんだ。

ワカコ)うんうん。

とっくん)例えば木とかはもう光通さないもんね。

ワカコ)ストロー。(ストローを光に当ててみる)

一同)おおおー!!!

とっくん)これはこれで、またなんか新しい何かが発見された!

4)サヤカ:反射っていう言葉を使わずに、反射を説明する

サヤカ)テーマの活動の中で、「反射」っていう言葉が出てきて。で、それで、「反射」ってなんなんだろう?ってなって、「 反射っていう言葉を使わないで、反射を説明する」っていうことにチャレンジしたんですけ、ど、もーーー。

とっくん)け、ど、もーーー(笑)。

サヤカ)できなくてーーー。だから、じゃあこの光の個人研究みたいなのをやってみよう!ということになりました。
とっくん)はい。

サヤカ)で、私たちの最終目的っていうのが、「反射っていうことについて、それはなんなのかを知っている」っていうことと、「反射っていう言葉を使わずに、反射を説明する」っていうことです。で、私たちは、それをするために、いろんな実験をやってきました。

とっくん)はい。

サヤカ)2つのノート、2種類のノート作ったわけですよ。

サヤカ)これが自分たちで作った、その、個人ノート。

なんでこれを作ろうと思ったかって言うと、実験をするときに、思ったことが2人それぞれ違うから。だから、このまとめノートに全部書いちゃうとあんまりよくわからないから、個人個人で書けば、「〇〇ちゃんは〇〇で、こう思ったんだね。だけど、 じゃあこっちの子は〇〇では〇〇なんだね」ってわかるから。だから、2人の「個人ノート」と「まとめノート」があります。

サヤカ)まとめノートは2人が疑問に思ったこととか、結果とか予想とか、色々、このノートのまとめを書いたり。あと、新たに分かったこととかを、このノートに書いてます。で、2人とも一番印象に残った実験っていうのが、ここの一番最初のページの、「反射を反射させる」っていう実験、これが一番2人とも印象に残ってて。なんでかって言うと。こっちに写真があって・・・。

とっくん)おお!

サヤカ)で、目標の2。「反射っていう言葉を使わないで反射を説明する」っていうのを、 私なりに、てか、2人で作りました。それがこちらでございます。

とっくん)お、おお!

サヤカ)まず「A」が、まあ、太陽の光とかライトとか、そうするじゃないですか。で、「C」が、鏡とかそういうね、透明なプラスチック、壁とかだとすれば、それで「A」が当たって、跳ね返って、それが「B」だとしたら、この現象が「反射」なんじゃないかなって。
こうやってぴゅーんって跳ね返っている、この「B」だけが反射なんじゃなくって、「ABC」、全部、こうやって起きることが「反射」なんじゃないかっていう。これが「反射っていう言葉を使わないで反射を説明する」の、私とたーちゃんなりの「反射」。

とっくん)へ〜〜〜〜、図になったんだね。

サヤカ)そう。これはアンディ(元スタッフ)からちょっとアドバイスがあって、反射の実験するときに、 何かを当てるときに、例えば太陽からだけじゃなくて、ライトとかでもいいし、その当てるものも、鏡じゃなくて、プラスチックとかでもいいから、変えてみたら実験変わるんじゃないかなって思って、そこからちょっとヒントもらって、実験もやって、あ、多分反射っていうのはこういうことなんだろうな〜みたいな。

とっくん)なるほどね。あ、そっか。フィードバックとかアイデアとかも全部総合して、まとめた時にこれだ!ってなったんだ。

サヤカ)そうそう。だから、アドバイスとかフィードバックをもらわなかったら、今の「反射」にはならなかった。

とっくん)あー、そうなんだ。じゃあやっぱあれか。途中でアウトプットでやったのは結構、

サヤカ)良かった。その時はね、あんまり「反射」がわかってなかった。


たった数分間のやり取りの中に、これまでの本人の試行錯誤のプロセスが、話の内容はもちろん、話している感じにまであらわれている気がしました。

語りはじめ方も違えば、口調や振る舞いもそれぞれ。準備してきている感じと、その場で考えている感じと。淡々と発表モードかと思いきや、突然、本音が漏れたり、その場での発見に驚いたり。いろいろあります。そこから何が見えてくるか。そういうところにこそ、実はまだ捉えきれていない本人の本当に学んでいることが含まれているのかもなあと感じています。

#2023 #3・4年 #探究の学び

片岡 利允

投稿者片岡 利允

投稿者片岡 利允

奈良県公立小で4年勤めたのち、準備財団時代の2019年から軽井沢にきちゃいました。B型山羊座の左利き。男三人兄弟の長男です。好きな教科は国語。うなぎとうたが大好物。学生時代は、野球部でバンドのボーカルでした。関西人ですが、どちらかというとツッコミの方です。

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