2021年11月7日
昨年度、前期のスタッフとして過ごしてきたけれど、ホーム以外の1,2年生の子どもたちの様子をなかなか見ることができなかった。そこで1年生と共に前期の暮らしをつくっていきたいという思いで、足を踏み入れた今年度。暮らしを大切にしながら学び、人と共に生きるということを心におきながらスタートした。
前期130人。ホーム東65人。ひがし1ねん15人。という集団の枠がいくつかある中でまずは近くで出会った仲間たちとの関わりを豊かなものにしていきたかったので、ひがし1ねんの集団としてお互いを知り合い、思いやり、助け合う仲間になってほしいということを意識しながら、この春から風越に仲間入りした人も含めて新たな関係性をつくってきた。
その中で、時にはこちらが集団あそびや散歩などでグッと引っ張ることもしてきたし、生活の中に学びも取り入れてきた。子どもたちはそんな与えられた課題でも自分なりに解釈して自分のやりやすい方法を見つけたり、自分が納得のいくやり方にしようとする姿があったり、集団あそびもこちらが提案することをやってみようとする姿だけだったのが次第に自分達で仲間を集めて、好きな場所で、自分たちで作ったルールでやりはじめる姿も見え始めた。
そんな時に家庭の都合で一日私がお休みさせてもらった日があった。その日、ひがし1ねんのことをゆっけ(井手)に託したのだが、帰りの集いの時間をどう過ごすのか自分たちで考え、ルカが絵本を読み、自分たちで下校をしたと聞いた。
そこで私は思いついた。私は家庭の都合でまたお休みしなくてはならない。私のいない一日を自分たちで計画してみないかな・・・。前日に子どもたちに提案してみた。
「自分たちで一日の計画立ててみない?」
子どもたちからは、「いいよ!」「いいね!」という前向きな声。私の方から時間を意識して過ごすことや友だちのことを考えることなどの提案は伝えた。するとソノから「助けるってことだね!」という言葉があった。
そして集いで絵本を読む人を決めたり、朝の名前呼びの担当を決めたりした。この日は、アウトプットディもあったのでその時間をどんな風に過ごしたいか、学びはどうするかも話し合ったが、「その時々で自分たちで考える!」と全ての時間の過ごし方を決めきることはしなかった。
さて、どんな日になるだろう・・・この一日を子どもたちに託してみた。
当日、ひがし1ねんの子どもたちと過ごしてくれたもぎーさん(茂木)からこんな申し送りが届いた。
朝は、気がついたら自分たちで声を掛け合って集いを始めていました。ケイの名前呼びはすでに終わっていて、ハルマの読み聞かせがスタートしていました。ハルマは読むのに一生懸命で、自分の体で絵が隠れがちでした。 でも、フジイサクとナナホが両側からうまく支えてサポートしてくれると、またみんなが本に集中していきました。
集いの後、イノウエサク、カズヤ、ガク、アオはキッチン前の石畳でドッチボールを始め、サッカーボールで遊んでいたハルマと、最初は見ていたリョウも加わり、盛り上がってました。その裏で、ケイ、フジイサク、サヤコ、ナナホはキッチンで学びを始めていました。「13時からダンスがあって、学びと重なってしまうから今のうちにやっておくんだよ」とケイ。集中して4人で進めていました。
その後、エントランスで「アウトプットディの見学行く人は集まって!」の声がかかると、外にいた1年生は、なんだかんだ言いながらも見学に校舎内に入って行きました。
13時からのダンスの発表は多くの1年生が見に行ってました。ダンスを見終えてキッチンに行くと、再びアオがプリントに取り組んでいました。
その後、作りかけの計算カードをチェックして、いくつか手直しながら問題を出してくれました。結局、午後の学びに来たのはアオ一人でした。その間、キッチン横のエントランスでは前後期の子とスタッフも入り混じってダンスで盛り上がっていました。キッチンに手拍子や音楽も聞こえてきていたけれど、全く動じることなく自分の課題に取り組んでいるアオ。集中するってこういう姿なんだなとアオのカッコよさにしびれました!
帰りの集いはイクミとカヤが中心となって椅子を並べてくれました。周りが少し賑やかだったけれど、ナナホの読み聞かせをみんな熱心に聞き入っていました。誰となく「時間がないからあんころもちなし」と椅子を片付けて解散しましたが、その場であんころもちをやってる人が何人もいました。ハルマはみほさんが予定を書いてくれたボードの前であんころもちをして、手話で「ありがとう」をしてました。
朝も帰りも全て自分たちで用意して進めていた子どもたち。日中の過ごし方も自分たちで考えて進めていた1年生。素敵でした!
次の日、登校して来た子どもたちから「昨日は楽しかったよ!」「バッチリだった!」と報告があった。ケイは、「完璧な一日だった!」アオは、「あっ。幼稚園の人を見守るってしてないな。」ガク「泣いてる幼稚園の人いなかったじゃん!」とのこと。泣いていた人がいないことをよくわかっている!それは、充分見守っているってことだよね。
今年の春から「ひがし1ねん」の集団として積み重ねてきた関係性。一人ひとりがお互いを知り、自分の感情を表現できる仲間になりつつあるのを感じる。
もちろん、まだまだ小さなトラブルもあるし、友だちの気持ちに気が付かないこともある。人と関わる時間がたっぷりあるここでの生活の中では、これをスルーすることは出来ない。自分とも友だちとも向き合うことが要求される。その都度「友だちはどんな気持ちだったのかな」「こんな時自分だったらどうする?」「どんな気持ちになる?」と自分の気持ちを表現することを重ね、(時にはホワイトボードを使って書き出してみることもあった)子どもたちは自分の中のいろんな感情や相手の気持を尊重することなど様々な思いに出会ってきた。
この日一日も、きっといろんなことを感じ、考えて過ごしただろう。「午後からのアウトプットディに行きたいから学びを午前にやっておこう!」とか、「僕は学びが好きだからずっと学ぶ」、「友だちと後期の展示を見に行きたいな」など、一日の中で「ひがし1ねん」の集団を意識している時、自分個人のやりたいことをやった時、友だちと共に楽しいことをやってみる時と、どの瞬間も自分の意思を持って過ごしたんじゃないかなと想像する。
そんな10月のある一日を通して、次のステップを考えていきたいな・・・と思っている今日この頃です。