風越のいま 2021年10月23日

風越の修学旅行ってこんな感じ?

井上 太智
投稿者 | 井上 太智

2021年10月23日

7年生キヨの呼びかけで集まった12人(7・8年生)と、大鹿村フィールドワークへ。当初は日帰りで計画していたものの、案内人の赤井さんから、せっかくのフィールドワーク、一泊二日でたっぷり学んでみてはとの提案を受け、思い切って宿泊学習を計画することになった。

そんな大鹿村フィールドワークでみんなは何を持ち帰っただろう?みんなと過ごして感じたことを僕なりに言葉にして残しておきたくなったので、書いてみようと思う。楽しかったねといって時間とともに流れてしまうのが少しもったいない、そしてちょっとさみしい気持ちもするのでね。

そんなことを感じていたのかーと僕の気持ちを知ってもらえると嬉しい。参加してくれた人は、自分は何を感じていただろう?と問いかけながら読んでくれれば何かしら再発見があるかも?そして、今回は参加しなかった人にも、今回の旅の魅力をお裾分けしたい。それでは大鹿村フィールドワークの振り返り、出発進行ーーー!

10月6日(水)、旅のはじまり。ささ(佐々木)の安全運転で車は進む。いつもよりテンション高め?のみんなの声が聞こえる。元気そうでよかった。

これを修学旅行と呼ぶのかわからないけれど、修学旅行では100人以上の子どもたちと、京都奈良をめぐるというのが僕の中での当たり前だった。バスも一クラス30〜40人の大型バスで移動するわけだから、当然後方に座る子の声は聞こえない。(いや、たまに声が大きくてうるさい子の声が聞こえてきたか。)

でも今回のフィールドワークは12人の仲間と、一つのワゴンで旅に出る。当然、みんなの声、様子を感じることができる。何かの曲が流れれば、それに対して好きだとか、嫌いだとか、知ってるとか知らないとかみんなの声が届く。音楽も、みんなの声も心地よい。僕も、一曲だけ大好きな奥田民生のイージューライダーを流してみたんだけど、マユとハルカが「知らないね、誰だろうね〜」とおしゃべりしていたね。たぶん他のみんなも知らなかったはず。(寂しいぜ。)

旅が終わる頃、このメンバー同士がお互いのことをもっと知り合ってくれていると嬉しいなと思っていた。バスの中も大事な時間だ。

最初に向かったのは今回の旅のメインの一つ、中央構造線博物館。

赤井さんとはここで合流、なんと長野市から駆けつけてくれた。

そうそう。赤井さんとの出会いは「生きる展」( 生命をテーマにした、7・8年生のテーマプロジェクト。アウトプットはオンライン展覧会を企画した。)でのキヨの探究がきっかけだ。キヨにとっての「生命」は「土」そして「石油」だった。風越の土を調べる中で、ボーリング調査の資料も調べることになった。風越学園の設立に向けて、ボーリング調査をしてくれた会社が赤井さんが取締役を務める北信ボーリングだった。

キヨはこの旅に向けて、たくさん準備をしてくれたなぁと思う。日が近づいてからはほぼ毎日残って、様々な準備をしてくれていたっけ。新型コロナウイルスの状況で行けるかどうかわからない中、もともと学校にあったルールの見直しをKAIさん(甲斐崎)にお願いをしたりもした。宿の手配が1番大変だったのかな?シュウゴにもサポートしてもらい、ご飯の予約はフウダイが緊張しながら電話をかけてくれた。スタッフでは特にみっちゃん(大作)があっちへ、こっちへ、動いてくれたんだ。こんな風に、色々な仲間のサポートでこの旅が成り立っている。

そしてなにより、こうやって11人の仲間が参加してくれたことが、フィールドワークの充実につながったし、キヨにとって一番嬉しいことだったんじゃないかなと思う。

博物館で案内してくれたのは、赤井さんの仲間の河本さんだ。

ここでみんなは専門用語のシャワーを浴びた。話の内容は簡単に理解できるものではなかったように思う。それでもわからないことをわからないままたくさん受け止めて、自分の問いをやりとりした時間にはきっと価値があると信じている。簡単に理解できることを効率よく学ぶのではなくて、人との出会いや本物の体験から新しい世界を発見していく。

次に同じ言葉を聞いた時には、「あの時、河本さんが話してくれていたことだな」と思い出すはずだ。私たちは九州まで続く、中央構造線をみんなで一緒に見た。どうやってズレたんだろうかとか、何年前の地層なんだろうかとか考えながら石も拾った。地球ってすごいなぁというのと、自然現象は全て地球というシステムの一部なんだと改めて思う。

夜は赤井さんのレクチャー(こちらもたっぷりと)と振り返り。ホノカが「とにかく脳がパンパンで。明日は少し自分のペースで歩いたり、見たりできるといいな。」と言葉にしてくれた。この時の「脳がパンパン」という言葉、まさに1日を表すのにぴったりだと僕も思っていた。学ぶってこういうことだよねとみっちゃんとも話したんだ。

それともう一つ、話を聞いた後ペアで話してみようとキヨが呼びかけた時、それぞれのやりとりがわーっとはじまって、こんな風に、やりとりが気軽にできるコミュニティになりつつあるということが嬉しかった。

計画段階では2日目はもう少しゆるゆるとレクを多めにして過ごそうか?という案もあったと思う。ただ、赤井さん、河本さんは毎回すごーく長いメールを送ってくれて、2日目はこんな話をしたいとか、このあとはここに行ってみてはどうでしょう?と、みんなの学びのために一生懸命に関わってくれていた。そんなこともあってか、2日目もしっかり学びを深めることになった。

(大西山崩落跡地にて)

最後に、赤井さんが「一つだけ言わせて欲しい。」と話されたことが心に残っている。

「君たちは…本当に素晴らしい。こんな風に学べる環境も仲間もスタッフも素晴らしい。ぜひこのまま学び続けて欲しい。そしてこの先、何かわからないことがあっても、こんなことを聞いて失礼じゃないかな?とか恥ずかしくないかな?なんてことは全く考えなくて良い。とにかくなんでも聞いてみて欲しい。」

一泊二日、いつも通ーーりの私たちは赤井さんや河本さんに失礼なこともあっただろうなぁと思う。それでも私たちと過ごした時間についてこんな風に言葉にしてくれてありがたかった。

そして帰ってからは事後学習。思い出話をしながらみんなでお礼状を書く。

アウトプットはそれぞれが自分のハイライトを写真と共に言葉にした。12人、それぞれの旅の一枚だ。

二日間、学びを真ん中に置いて良かったなと思う。修学旅行は学びにいくんだぜ?と胸を張って言えるフィールドワークになったんじゃないかな。今後、誰かが修学旅行、フィールドワークを企画することがあるとしたら、今回の大鹿村フィールドワークを越えるような、さらに良いものを作ってくれたら嬉しい!

風越では、こんな風にそれぞれがそれぞれのタイミングで、自分たちの学びをつくりに修学旅行に出かけていくのかもしれない。

#2021 #7・8年 #後期 #探究の学び

井上 太智

投稿者井上 太智

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ドキドキするチャレンジも楽しんでいけますように!

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