風越のいま 2021年3月21日

風越で子ども達と向き合い続けた今の私が考える「提案のカタチ」

かぜのーと編集部
投稿者 | かぜのーと編集部

2021年3月21日

「提案の仕方って色々あるよね」

放課後になるといつも、こぐまさんとその日の出来事について振り返ったり、子どもとの関わり方について話す。
インターンも終わりに近づいてきたある日の放課後、私はこぐまさんと子どもへの提案の仕方について話した。

話していく中で提案の仕方は1つでないこと、そして自分の求めるカタチが見えてきたけれど、振り返ってみると風越に来た頃は今の考えには至ってなかった。

風越に来たばかりの私

風越に来た頃は、そもそも提案の仕方の違いなんてわからなかった。

ラボのスタッフであるこぐまさんの考えを知っておきたいなって思って「こどもと関わる上で大切にしていることって何ですか?」って聞いた時に「子どものやりたいことをよく見極めて、必要であれば提案してあげるっていう関わり方が大切だなって思って、そうしているよ。」と返ってきた答えも、この時は「ほうほう、提案すればいいんだな。」くらいにしか思っていなかった。

提案について考え始めたきっかけ

あるとき、ひとりの男の子が看板を作っていた。話を聞いてみると、矢印を描きたいとのこと。でも、きれいに描けないみたい。

そこで私が提案したのがマスキングテープ。
「こうやって貼ってから塗ってはがすと…ほら!」
そうやって見せると、その子は目をキラキラさせて「僕もやりたい!」と言ってきた。
「良い提案したなあ。」
その時の私と言えば、良いものを提案できた、とすごく良い気分だった。

その日の放課後。
こぐまさんにそのエピソードを話すと「それは本当にその子のやりたいことだったのかな?」と言われた。
「えええ…。」
その時の私はちょっとショックを受けていた。

でも、家にかえってしばらく考える。
「その子のやりたいことってなんだったんだろう?」
そう考えてみると、その子のやりたいことはたしかに「きれいに描く」ということではあったけど、それは別に私が提案したまっすぐな線とは違うように思えてきた。

あの子の為を思って提案したつもりが、「私」の提案になっていた。
私が舵をきっていた。

私が提案について考え始めたのはこの時から。毎日向き合ってきたことで、少しずつだけど、「提案」についての自分の考えが構築されてきた。

完成した看板

今の私が考える提案のカタチ

提案には2種類あるんだと今は思う。

1つは「引っ張ってあげる」ような提案のカタチ。そしてこれは私が看板づくりでやってしまった提案。その子をぐいぐい引っ張っていくようなやり方。

2つ目は「背中をおしてあげる」というような提案のカタチ。そして今はこれを心掛けている。
どんな提案かというと、その子の本当に求めているものだけを提案するということ。ここではその提案は選択肢の1つとなるだけで、選ぶのは本人。本人が必要だと感じたらその提案を受け入れる。

例えば、今あの矢印を描きたい男の子の側に戻れるとしたら、私はきっと紙を持ってきて、青い色を塗って、乾いてから赤い線を描いて「こういう描き方もできるよ。」と見せる。今振り返るとその子のやりたいことは「矢印が矢印として見えるように描きたい」ということな気がするから。それでそのあとはその子に任せると思う。(今の自分があの場に遭遇したら、その子のしぐさや言葉にもっと集中して、仮説自体変わるかもしれないけれど。)

この2つ目の提案のカタチって子どもたちが自分をつく上げていく上でとっても大切なんじゃないかな、と思う。「自分でつくっていく」という感覚が培われるというところがきっと大きい。こういうことの積み重ねで、いつしか提案する人がいなくなっても自分一人でできるようになるんだと思う。
(自転車を練習していた子が、いつのまにか自分一人で乗れるようになるって感覚に似てるなって今書きながら思った。)

このやり方は正直とてもエネルギーを使う。というのも、その子の本当にやりたいことをわかるためにはその子の世界に一度入りこむ必要があって、そのためにはその子の言葉だったり、しぐさに全集中しないといけないから。

わかるまでに疲れるし、提案について理解するまでに時間はかかったけど、それでも今はわかって良かったと思う。

道具との出会い方や扱い方の可視化を工夫した

今回、かぜの―との話が来た時、何を書こうかとすごく迷った。というのも、子ども達と向き合い、こぐまさんとどうすればより良くできるか考える毎日は学びの連続で、得るものが多すぎたから。
でも、今回はその中でも、私的に今の考えに行きつくのにもっとも大変で、でもとっても大切なこの「提案のカタチ」について書いた。この考えは風越の「 」になる。ということにも繋がる気がしている。

最後に。
ここでたくさんの学びを得られたのは毎日の振り返りのおかげ。冒頭でも書いたけれど、毎日、その日の出来事について振り返り、そこから子どもとの関わり方について話していた。これは私たちだけじゃなくて、他のスタッフたちの同じような姿が色々なところで見られた。

他の学校の様子をあまり見たことはないので比べてどうかは言えないけれど、風越のスタッフの、子ども達と真剣に向き合い、より良くしようとみんなで「つくっていく」姿が私は好きだ。あったかいな、と思う。

子どもができたら、こういうところで育てたい!!
4ヶ月、ここで過ごした私がこう心から感じるところに、風越の良さが詰まっている気がする。

文:百瀬 彩香

インターン最終日もこぐまさんとふりかえり。道具の並べ方も日々工夫した。

#2020 #ラボ

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かぜのーと編集部です。軽井沢風越学園設立準備のプロセスを多面的にお届けしたいと思っています。辰巳、三輪が担当。

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