風越のいま 2020年11月24日

子どもによる「自分プレゼン」 〜自分の言葉で 自分を語る〜

井上 太智
投稿者 | 井上 太智

2020年11月24日

今年度も折り返しを迎え、10月の最終週に風越学園で初めての三者面談(幼稚園は保護者とスタッフの二者面談)が行われました。

1年生以上の面談のメインは、子ども自身が風越で過ごしてきた経験を語る「自分プレゼン」です。

この自分プレゼンが、子どもたち、保護者、スタッフにとってどんな時間になったのか、これからどんな風になっていくといいかなということを振り返りながら考えているところです。

その人らしさが、より浮き上がるように。

僕が面談の準備を始める前に改めて読んだのが、うまっちの「その人らしさが、より浮き上がるように」の記事でした。


今までの経験(僕は中学校勤務でした)では、短い面談時間の中で「これはできている」、「これはもう少し」というようなことを、伝える面談を多くしてきていたのが本当のところ。

子どもたちの中にも、面談と言えば、先生から学校での様子を伝えられる場という経験を積み重ねてきた子少なくない様子で、「ねぇねぇ、面談って何言われるの?怒られる?」なんていう面談前によくやりとりされる質問が、風越の中でも聞こえてきました。

でも、うまっちが記事の中で書いてくれた「自分のものさしをつくる」ということが、面談の大きな役割であり、目標の一つです。だから、「え、風越では語るのはみんなでしょ?」と返し、「あ、そっか!よかった!」と笑いあっていました。

準備はどうなるだろう…と少し心配していたのですが、子どもたちの表情は真剣そのもの。振り返りのためのマインドマップをどんどん広げていき、「これも作ったんだよね〜」「この詩もお気に入り」「ファンマスも楽しいし!」とこれまで作った作品やプリントなどを手に準備を進めていました。

緊張しながらも自分の成長を表現するのは嬉しい様子。3・4・5年生はとにかく具体物が多い!部屋中に子どもたちの作品で溢れていました。いっぱいあってどれを使うか迷う!

マインドマップを見渡しながら、どれにしよう、他にあるかな〜と考え中。

6・7年生はもう少ししっとりした感じ。

目に見える成果があったものも、まだまだ芽が出ないものも、成長の種をたくさん見つけたプレゼン準備でした。

子どものエピソードから考える

「えぇと、僕が風越学園で学んだことベスト3を発表します。」と少し照れながら自分プレゼンをスタートさせたロイ。

「最初はラボ(図工室・工房・理科室などの総称。ロイがいたのは主に工房)です。セルフ(子どもたちが自分の”〜したい”を見つけて取り組む探究の学びの一つであるセルフビルドの時間のこと)で暇だった時にラボに行くようになりました。木をたくさん切っていると、真っ直ぐに切れるようになっていきました。木がうまく切れなくて、何個も切って、ちょっともったいないなぁとも思いましたが…」

ロイが最初に語ったのは木が真っ直ぐに切れるようになっていく手応えでした。机や椅子のような製作物が発表されるのも良いけれど、道具と身体がうまく噛み合っていく感覚を分かち合う嬉しい瞬間です。

タツはテーマプロジェクトのこと、セルフビルドのこと、土台のことについて語り、最後は作家の時間で書いた作品を朗読しました。

発表が終わり、いくつかやりとりをした後で保護者から「風越で過ごすようになって、できるようになったこととか、何か変化を感じていることがあったら教えてください。」と質問が投げかけられました。すると「振り返る力がついたことかな。」と迷わず答えました。

「振り返る力がつくとどんな良いことがありますか?」とさらに質問が続きます。「うーん」と長く考えたあと、「振り返る力がつくと、なんで失敗したのかとか、次はこうしようとか…うん、次にこうしようって考えられるようになるのがいいところです。」、と自信すら感じられる返答でした。

「最近、ジャーナルをたくさん書くようになったけど、自分の変化を感じていたんだね。」とホームスタッフのたまちゃんが話題にしてくれました。

ミサトは、自分が中心になって立ち上げた学校に必要なものプロジェクトのことや、オンライン期間に実施したオンラインランチ(自分でお昼を作ってみんなで食べる企画)のことについて語りました。

保護者の方からは「やっていたことの意味がやっとわかったよ。オンラインで繋がりを作りにくい中で、みんなで楽しく過ごす時間を作りたかったんだね。すごく素敵な企画だったね。」とミサトのチャレンジへの理解が深まった瞬間でした。

面談では子どもの言葉を受け取った保護者、スタッフから、丁寧に質問を返していく時間が続きます。

「一番時間をかけたことと、一番楽しかったことを教えてください。」

「その時の気持ちはどんな感じだった?」

「仲間と一緒にやってきたことはよくわかったんだけど、君自身のテーマについてもっと知りたいんだけど、どう?」

自分のことを語るのは確かに難しいけれど、その時の気持ち、手応え、気づきはちゃんと残っています。保護者やスタッフの感じていることも受け取りながら、自分をつくる時間。

全てを語るでもなく、全てを知ろうとするでもなく、子どものハイライトに光を当てて、その瞬間がどんなふうに作られたのか、そこまでにどんな苦労があったのか、今でもうまくいってないことはなんなのか、そんなことを分かち合って、楽しんで、そして喜び合う場になっていくといいなと僕は思っています。

余談ですが…ちょうどこの記事が仕上がる頃、第2期風越コラボ(教育の実践に取り組む大人の探究コミュニティ)の準備を通してスタッフのプレゼンを聞く時間がありました。



仲間の体験や気づき、これから考え続けたいテーマを共有して、一緒に考える時間、仲間に思いを寄せる時間、これからを考える時間。

スタッフも自分のものさしづくりの真っ最中です。

井上 太智

投稿者井上 太智

投稿者井上 太智

ドキドキするチャレンジも楽しんでいけますように!

詳しいプロフィールをみる

感想/お便りをどうぞ
いただいた感想は、書き手に届けます。