この地とつながる 2020年5月3日

春の田んぼで

斉土 美和子
投稿者 | 斉土 美和子

2020年5月3日

朝起きて、バケツに入った羊や馬の飲み水が凍らなくなってくると、いよいよ稲の種まきの時期です。

水に浸けておいた種を毎日よく見て、ちょろっと小さな根っこが出てくるとそろそろ蒔いてもいいよ、のサイン。土の上に種もみをくっつかないように並べて、土とくん炭(お米の殻を炭にしたもの)を被せ、田んぼの隅っこに水を張った所に並べてビニールをかけます。おひさまに温めてもらって、青い芽が出揃ってきたら田植えをします。

無農薬の田んぼを始めて17年、毎年毎年同じように稲の苗を作ってきました。地元追分のおじいちゃまたちに教わりながら、ちょっとずつ自分でも工夫を重ねながら同じようにやってきました。でも毎年苗の出来具合は違う。おひさまの光も土の具合も、水の温度も毎年ちょっとずつ違うからです。
年々平均気温が上昇し、大雪や台風の被害も増えてきた昨今、「こんなに遅く霜が降りたのは80年も生きてきて初めてだ。」「暑くて穂が出るのが早すぎる、今年は不作かもな。」おじいちゃまたちの呟きも年々増して「異常気象」とだけでは括れないくらい頻繁です。
それでもお米や作物は、出来不出来はあるものの自身の力を発揮して実ってくれる。人間は自然に抗うことはできないので、ただ淡々とそれを受け入れ、できる範囲で自然の恵みを享受する。毎年そんなことを積み重ねてきました。

作物の成長具合をよく見て少しだけ手を貸す・・・少し羊の糞の肥やしを土に足したり、草取りをしたり、周りの草を刈り取って被せたり。手を貸す塩梅を見極めながら、手を出し過ぎないように、植物・作物がもつ力を信じて。
なんだか子どもをよく見て、どんな声をかけようかな、手を貸した方ががいいのかな、と考える時に似ています。今日もおてんとうさまのご機嫌をうかがいながら田畑を歩き回り手を動かして、じっと見つめる目、そして感じる心を磨き続けていきたいです。

よもぎ。田んぼに通う子どもたちが命名した。

斉土 美和子

投稿者斉土 美和子

投稿者斉土 美和子

浅間山の麓に来て18年。たくさんの命に出会ってきました。淡々と生きる命、躍動する命、そして必ず限りある命。生きるって大変だけど面白い。そんな命が輝く瞬間を傍らで見ていたい。一緒に味わいたいです。

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