2024年1月29日
ほりけんがやってきて10ヶ月が終わろうとしています。残り2ヶ月。毎日のリフレクションは約34万字,266ページを越えようとしています(すごい…)。
私は学習者中心の学び,探究的な学びをつくる先生の力量形成を道筋を探す旅を一緒に歩んできました。別にずっと隣を歩いていたわけではなく,むしろちょっと離れたところからじっと見ていました。恐れることはありません。あたたかな気持ちでじっと見ていたのです。
私の方がほりけんより先生としては後輩ですが,風越では先輩です。
きっと本気のプロジェクトの学びをつくることでも先輩です。
でも先輩だからといって,偉くもなければ,すごいわけではありません。
だから,ここまでの学びの中で,とにかく一緒にこの時を生きているという気持ちで,近くもなく遠くもないところから見守ってきました。
私はそんな存在です。
かるせんけん(軽井沢風越ラーニングセンターの教師教育プログラム)では「ミニテーマプロジェクト」と「先人に学ぶ」を担当してきました。
「ミニテーマプロジェクト」でのほりけんは一つの核「ワイン」はあるようなのですが,なかなか絞り込めず,今日はああだと話していたと思ったら,今度はこうだというのです。
(ほりけんの記事「教師自らが探究する“ミニテーマプロジェクト”」)
そうかと思うと,下調べをしたデータを整理して(すごい量!)分析してくるという粘り強さ。まぁ根っこにあるのはワインが好きということで…単純?!
さて,教師教育プログラムとしては,4月から7月までが第1フェーズ「学習者として学ぶ」,8月から第2フェーズ「実践」ではあったものの,ほりけんは今でもよくこの第1フェーズの時のことを「居場所がなくて辛かった」と言います。私にはライブラリーという軸があり,教室やラーニンググループこそ所属がありませんが,本を介して12年間の子どもとのつながりがあります。その不安であったというフェーズでほりけんが一歩踏み出しことは2つありました。
一つは,ある日のかざこしミーティングのお立ち台にあがり,マイクを握って子どもたちに呼びかけたことです。
「僕のこと知ってる?そう〜ほりけんです。ラーニングセンターにいます。でも,まだみんなのこと知らないんだよ,みんなも僕のことを知らないでしょう。僕はみんなのことを知りたいんだ。これから名前何度も聞いちゃうけど答えてくれるかな?いいの?ありがとう。じゃあよろしくねー」
もう一つは,スタッフの研修を担当したことです。「先人に学ぶ」では,一冊の専門書を輪読して議論をするのですが,それ以外にも参考書がずらりとあります。その中の『協働する探究のデザイン』(藤原さと,平凡社,2023)から「本質的な問いとは?」をテーマにスタッフ研修を相方のおかつ(竹内・同じく長野県教育委員会から派遣)とつくり上げました。どちらもほりけんが風越と自分の距離を自分から縮めようとした時間だったと思います。
それでも,ほりけんは実践や子どもから距離があるように映ることがありました。1年しかいないからという遠慮が大きくありそう。でも子どもからしたら今この時,目の前にいるほりけんに関わりたいって思っているんじゃないかな〜と思います。
そんなある時,ごりさん(岩瀬)からは風越の「記録と評価」を考えるワーキングチームにとっくん(片岡)と担当するように振られて戸惑っているように見えました。私には,来年度はいない自分でいいのか…という違和感,ごりさんの「ほりけんに学校づくりの真ん中に入ってほしい」という願いの表れの両方が理解できました。
ある日の「記録と評価」ミーティングにいくと,ほりけんが部屋の真ん中で語っています。自分からその不安を話していて,周りのスタッフが一緒に考えてくれていました。その日のリフレクションには,こんな風に書かれていました。
「自分が開かれてないんだなあということを感じた。こんなこと聞いていいのかな?という若い先生と同じような感覚なのかもしれない。でも今日あの場で自分の不安感を話したことで,きっと聞いてくれた人は自分の気持ちをわかってくれて、一つ近づいたんだろうなぁという気はする。そしてきっと自分のことを気にかけてくれるだろうなとも思うし、自分からももっともっと話をしたいと思った。コミュニケーションの量が大事だ。コミュニケーションの量が増えると質が高まるという話だけれども、いざ、自分のこととなると、それがまだまだ足りないなと感じた。」
単に自分と関係ない仕事じゃないという愚痴ではないわけですね。ここでもほりけんは自ら一歩私たちの近くに来てくれた。そう感じました。
最近になってほりけんが「もう俺,これで風越にいつでも帰ってこられるもんね。」と呟いていました。それを聞いて「連携」ってそういうことよねと腑に落ちる気持ちがしました。かるせんけんのような形や場を共にすることや研修を共同で設計するようなことを連携というのかもしれないけれど,私が目指しているのは「一人とひとりが繋がること」。ほりけんと過ごした時間で学んだこと,一緒につくったもの・こと,そう言ったものを土台にして繋がっていくだろうと思います。
そのために,あと2ヶ月のほりけんとの人生を精いっぱい過ごそうと思います。離れず,近寄り過ぎずに。
本は親子をつなぎ,友だち同士をつなぎ,自分自身をエンパワーしてくれる。ライブラリーでは,せんせいと子どもたちがどんな風につながっていくのだろう?自由な読書と学びと連動したメディアの活用の可能性を探り続けてきた,動ける(からだを動かすことがすき)司書教諭です。
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