イベントレポート 2019年10月24日

風越ワークショップは、どんな場だったのか

かぜのーと編集部
投稿者 | かぜのーと編集部

2019年10月24日

7月31日から9月7日までの間に合計30回の風越ワークショップを実施、子ども396人・保護者462人の参加がありました。各回子ども、保護者に分かれてそれぞれ3時間を共に過ごしました。ご参加いただけなかったみなさんにも、ワークショップで一緒に考えたことを共有したく、どんな場だったのかについて、お伝えします。

子どもワークショップは、2歳児から年中、年長から小学2年、小学3年から小学6年までの3グループに分かれて活動しました。当初は、軽井沢風越学園の考える遊びと学びを体感してもらおうと、土台の学び探究の学びの両方に触れられる内容で実施したのですが、何度かやってみたところ、なぜ自分がワークショップに参加しているのかよくわかっていない子どもたちがたくさん!(苦笑)。そこで、年長以上のお子さんには、軽井沢風越学園のことを話し、こんな学校だったらいいな、こんなことしてみたい、を子ども自身に考えてもらう機会としました。別の記事でご紹介します。

保護者ワークショップは、単なる情報提供の場ではなく、保護者のみなさんと一緒に軽井沢風越学園のどんなことに興味を持ってくださっていて、それはなぜかを考えてもらう場になるよう工夫しました。

「わたしは、軽井沢風越学園の何に関心があるのか?」

はじめに参加者のみなさんには、保護者ワークショップはこんな場です、とお伝えしました。

・風越と子どもとわたしについて考えを深める場
・「願い」を取り扱う場。学校や社会や子どもに願っていることを言葉にしてみて、みんなで扱う場
・あらためて「わたしは軽井沢風越学園の何に関心があるのか?」について、考えるきっかけになる場

3,4人グループで自己紹介したあとは、軽井沢風越学園が大切にしたいことについてお話しました。
続いて、2018年の小学校高学年を対象としたサマースクールの映像を見ました。本物の風越山荘をつくる4日間のプロジェクトです。
見終わったあと、”開校したらこんな毎日が1週間、あるいは1ヶ月続くかもしれない。そうだとしたら、どんな楽しみや不安がある?“という問いについて考え、最初の3,4人グループで共有しました。映像の中に目立って映っているのはほぼ男子のみだけど、女子はどうしていたんだろう?我が子がこのプロジェクトに興味を持てなかったとしたら、スタッフはどんな関わりをするのだろう?こんなふうにプロと一緒に本物に触れる経験が子どものころからできるなんて自分も混ざってみたい!様々な声がありました。共有のあと、”その楽しみや不安の根っこにある自分自身の風越への願いは一体なんだろう?“とふりかえり、書き留める時間を持ちました。

「子どもにはどうあってほしいと願っていますか?」

次に、子どもにはどうあってほしいと願っているか、3つ挙げてもらいました。

私(編集部・辰巳)が息子に願うことをためしに選んでみたところ、「ごきげん、好きなもの・ことがある、人に助けてと言える」。夫はというと、「ごきげん、穏やか、根気がある」。ごきげん、は同じだけれど、根気がある、という願いに私は気づいてすらいませんでした。願いと私自身は、どうやら密接に関係していそう。
選んだ願いと自分自身との関係性を深めるために、それぞれで、“その「願い」に込められている、私の<不安>と<期待>“を書き留めました。

ちなみに本城は自身の子どもたちに、自分がどうありたいか?という視点で願いを選んでみるワークを提案したとのこと。すると子どもたちはそれぞれ、本城が選んだ願いとは全然違うものを3つ挙げたそうです。というわけで、上のシートを使って、親だけでなく子どもの願いを聞いてみるワークもおすすめです。

「軽井沢風越学園への私の問いや願い」

最後に、ここまでをふまえて、軽井沢風越学園への問いや願いをポストイットに書き出し、スタッフがそれについてやりとりをする時間を持ちました。
出てきた問いや願いは各回によって実に多様で、またその日にどのスタッフが居合せるかによっても話題は違いましたが、その中からいくつかをご紹介します。

Q:自分の好きな勉強をとことんやって、興味のない教科が置いてけぼりになっているような子どもがいた時に、どんなふうに声かけますか?

曳田)探究の学びの中で、学びのコントローラーを自分の手元に持っているという実感がある子どもたちは、教科との向きあい方が変わる様子をこれまでの実践の中で見てきました。やりたいことや学びたいことがあれば、教科の学びの必要性を子どもたち自身が捉えていきます。
もし子どもにやりたくないと言われたら、やりたいと思えない学びの場をつくっている私を反省してしまうかも。子どもがついやりたくなっちゃう場をつくりたいし、私がおもしろいと思っている世界を子どもと共有したい。ちょっとやってみたらおもしろいと思えることはあるから、誘い込むことはすると思います。

岡部)関連して、僕が考えるスタッフの立ち位置は、クライミングの「ビレイヤー」です。僕はクライミングをするんですが、クライミングは登る「クライマー」と墜落を止める「ビレイヤー」の二人一組で登ります。上を目指して登るクライマーが子どもだとすれば、迷ったり危険が迫る時にはスタッフがサポートする。今までの学校は上からぐいぐい引っ張って登らせる、という立ち位置だったかもしれない。そうではなく、クライマーが自分の力で登っていくのを下から見ていて、あっちかも、こっちかもと助言してあげる。もし墜落すれば、受け止めてくれるというビレイヤー的役割が風越のスタッフなのかもしれないと思っています。

Q:テストや評価はどのようにしますか?卒業後の進路はどのように考えますか?

岩瀬)テストはやります。ただ従来とは意味合いが変わり、学習の到達度合いを子どもたち自身がわかるためのテストという位置づけです。ですから、テストを受けるタイミングも、どのテストをするのかもも子ども自身が決めていくようになるでしょう。その結果、「ああ、まだよくわかっていなかったなあ」と学び直し、何度も受けてみるかもしれません。これまでは一斉に先生が到達度合いを測るものでしたが、風越では自分で自分の成長を確かめるためのものになっていきます。

本城)進学に必要なことやその子に必要なサポートはします。ただ、志望校の合格をゴールにせずにその先のことも含めて、その子自身が目標をもって、そのためにどんな力をつけていきたいのか、自分自身のことを知って必要なことを学ぶことが大事かなと思っています。また、卒業後は高校進学だけでなく、いろんな進路になるといいなとも思っています。1年間日本一周してから高校にいくとか。「よくわからないけど、とりあえずこの高校に入るためになんとなく頑張る」というのは避けたいです。

Q:軽井沢風越学園と保護者との関係性はどんなふうにあると良いでしょう?

(保護者より)
・保護者の思いで学校に入っていって、子どもたちの学びの邪魔にならないかなという不安がある。良かれと思ってやったことがプラスに働かないことがあるのではないか。
・保護者の中にもコミュニケーションや関わりの総量を増やしたい人と、なるべく省エネで関わりたい人という温度差がある気がする。僕はやりたい方だが、やりたい人もやりたくない人との温度差で疲弊することはありそう。
・現在の学校でPTAの役員をしている。やらなければならない義務ではなく、大人もやりたい、子どももやりたいというのを持ち寄れるような学校になっていったら、すてき。
・いまのPTAの息苦しさ、低学年のほうが楽だからやる、みたいな状況は疑問に思っている。子どもの強みを引き出すのと同じように、保護者もスタッフと話をしながら、こういうことができそうですけどどうですかとやりとりできる場があると、親の強みも発揮できるのでは。

(岩瀬)今年度の認可外保育施設かぜあそびでは、どんなふうに保護者が保育に関わるかについて色々と試行錯誤しています。僕としては、学園が手伝ってもらいたいことだけを手伝ってもらう関係だけにとどまらず、その先にいきたい。子どもたちが育っていく場をゼロからつくる上で、同じ子どもを育てる保護者のみなさんと一緒につくる手間をかけてみたい。いろんな関わりができるように、いろんなチャンネルがあるといいなと思っています。どんな保護者もどこかで関わってみたいと思えるようなチャンネルを増やしたい。

(本城)風越では、PTAみたいなものはできないと思います。学校と保護者との関係を財産にしたい。いろんな仕事や経験している保護者のみなさんの力によって、学校の困りごと、子どもの困りごとが解決すると嬉しいです。学校と保護者間のコミュニケーションの総量を増やすためにも、子どもの遊びや学びの様子を保護者に情報共有できるシステムを現在開発中です。学校に来なくても情報を得られたり、やりとりができる新しい関わりの形はつくっていきたいです。

他にも、
・たくさんの人が学校に出入りする印象があります。学校のセキュリティ面はどのようにしたいと考えていますか?
・先生たちには、心身ともによいコンディションを保ってほしいと思っています。そのための仕組みはありますか?またそこに保護者が関われることはありますか?
・運動会、文化祭などの行事は行いますか?
・今は家で宿題の〇つけくらいしかできていないのですが、子どもの学びの意欲をどうサポートしていったらよいでしょうか…。まだ想像がつきません。

などなど、様々な問いや願いが寄せられました。開校後も、私たちから一方的に回答するのではなく、ともにどうすればよいかを考え合いたいです。

保護者ワークショップの様子は以上です。「わたしは何を子どもに願っているのか?」、「わたしは軽井沢風越学園の何に関心があるのか?」について、あらためて考えるきっかけにしていただけると嬉しいです。

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かぜのーと編集部です。軽井沢風越学園設立準備のプロセスを多面的にお届けしたいと思っています。辰巳、中村、三輪が担当。

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