だんだん風越 2020年5月7日

ライブラリーは、心臓だ

辰巳 真理子
投稿者 | 辰巳 真理子

2020年5月7日

「ライブラリーは、軽井沢風越学園の心臓です」。ライブラリアン・みつこ(大作)の書いた一文を読んだ時、図書館に、本に助けられた自分の子ども時代にぐっと引き戻されたような気持ちになった。

学校があまり居心地の良い場所ではなかった私にとって、図書館は校舎の中で大事な場所のひとつだった。やや埃っぽいカーペットの上に並ぶ本棚の合間をゆっくりと歩き、本が呼びかけてくれるのを全身で察知しようと試みた。そうやって出会ったいくつもの本は、私の周りの世界を別の角度から照らしたり、まったく違う世界に運んでくれた。

継続的な登園・登校の目処が立ちにくい中、また近隣の図書館の休館が続く中で、ライブラリーづくりに関わるスタッフたちが出した答えの一つが、「ブックボックス」。

子どもたちへの案内文から抜粋

はじまりの日の4月14,15日に向けて、子どもと保護者から本のリクエストを受け付けた。リクエスト以外にも、子ども一人ひとりにスタッフが選書して梱包し、ブックボックスに入れて手渡し。ずしりと重いその箱を嬉しそうに持つ保護者や、車に乗り込むとすぐに本を読み始める子どもを見送って、2日間のはじまりの日を終えた(前日13日のドタバタ準備の様子は、またいずれ…)。

以降、ホームごとに一週間に一度、本の貸出の機会を設けている。貸出日の前日12時までにリクエストを受付、校舎のエントランスに置き配し、各自で受け取ってもらう仕組み。毎日、子どもたちがそれぞれカスタマイズしたブックボックスが並ぶ(カスタマイズしすぎた結果、もはや箱ではなく剣に変身した家庭もあるらしい)。返却はいつでも可能で、戻ってきた本の表紙は、アルコール消毒をしてから返却処理をしている。

また、子どもたちには読んだ本のPOPづくりの呼びかけをしている。返却本に差し込まれているPOPは、眺めているだけで楽しい気持ちになる。これを描いたのは、どんな子だろう?まだ出会えていない子どもの姿を想像する。

本と一緒にライブラリーと家庭を行き来する「読書日記」は、子どもや保護者と大作の交換日記であり、次の選書へのヒントでもある。リクエストは、著者や本のタイトルだけでなく、テーマでも受け付けていて、「電車の本や図鑑が読みたい」、「冒険の本がいい」、「動物系のなにか」などの希望と子どもの年齢や性別を組み合わせ、こんな本はどうかな?と選書している。4月17日以降のリクエストは、約300件、5月7日時点の合計貸出冊数は2295冊(!)になった。


新たに納品された本を棚に納める作業と平行しているため、大作はほぼ1日中ライブラリーの中を歩き回っている。パソコンの前に座るわずかな時間は、貸出・返却作業か蔵書のデータベースとのにらめっこ。急な本のリクエストに応えきれなかったり、本の取り違えが起こったり、細かなトラブルもたくさんある。長く続けられる体制にするための課題も見えてきた。それでも、私たちの心臓であるライブラリーは、動き続けている。子どもたちの学びに合わせた本の提案も、ホーム担当のスタッフと連携しながら少しずつ始める予定だ。

辰巳 真理子

投稿者辰巳 真理子

投稿者辰巳 真理子

変化の大きい立ち上げ期を好み、これまで様々なプロジェクトの事務局に従事。組織は苦手だが、人は好き。おいしいものと日本酒も好き。長年の探究テーマは、聴くことについて。広報、ステークホルダー管理、各種イベント企画・運営などを担当。

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