だんだん風越 2021年10月3日

かぜのーとのdigり方(本間 勇輝)

かぜのーと編集部
投稿者 | かぜのーと編集部

2021年10月3日

設立準備期間〜現在まで、300記事以上を公開してきた「かぜのーと」。軽井沢風越学園の“いま”をなるべく正直に、スタッフや子どもたちが書き綴ってきました。

改めて、この積み重なってきた風越の道のり(記事)を届けることはできないかと考え、今までの記事を新たな視点でまとめる「キュレーション企画」を始めてみることにしました。

保護者、子ども、スタッフ、地域の方々…その人ならではの視点で切り取ったかぜのーとをお届けしていきます。第一回目は、保護者の本間 勇輝さんです。


軽井沢風越学園は、極めて実験的である。2人の息子がこの学校に通い始めて半年たった今強くそう思う。

落ち着かない世の中の状況と同じく、ルールやクラスの内容も文字通り日々変わる。翌週からの予定が数日前にも決まらないこともある。iPhoneの通知が鳴りやっと来たかと掲示板を開いたら、「詳細をお待ちください」という途中経過だったりする。

学校運営における絶対的なルールがあったらこういうことにはならないだろう。根底に流れるフィロソフィーのようなものだけが確かにあり、あとはスタッフたちに委ねられている。それぞれの判断も、もっと言うとこうした形で義務教育課程の学校を運営すること自体も、勇敢で価値ある実験なのだと理解している。

学園はかつて「日本の教育のモデルをつくる」ことを志した時期があったが、今は違うと明言している。モデルになって欲しい、それをつくる一部になりたいと子どもの入学を希望した自分だったが、今となってはモデルをつくるということへの違和感の方が大きい。結果としてできあがる形=モデルではなく、変化を恐れず実験的で挑戦的で試行錯誤を続けるそのプロセスにこそ、意味があると思うからだ。

前置きが長くなった。かぜのーとの話を。

かぜのーとは、その実験プロセスの貴重な記録だ。ルールやカリキュラムといった結果だけではなく、悩みや葛藤を含め、時には答えがないまま生煮え状態で吐き出された現場スタッフの皆さんの言葉が散らばっている。パーペチュアルベータ(※1)で、アジャイル(※2)で、時にはABテスト的(※3)なあり方は非常にWEB的であり、風越学園というWEB世界のログデータであるかぜのーとは、一定の軸を持って読んでいくことを僕はおすすめする。

(編集部注)※1 パーペチュアルベータ:永遠にベータ版が続くこと ※2 アジャイル:仕様や設計の変更があることを前提に開発期間を短くし小さな単位で細かくリリースするシステム開発の方法 ※3 ABテスト的:複数パターンを同時並行で試し次の打ち手を考えること

●キーワードdigり

まずはタグやキーワードで絞るのがシンプルだ。例えば僕が入学希望を決めたきっかけになったこの記事は、「変態」という概念がテーマだった。


ぼくたちは「変態の追求」を大切にしている。変態とは、青虫が蛹になって蝶になるように、もとのかたちに囚われずに全く異なる形態に変わっていくこと。変えることは常にリスクがあるので不安な気持ちもある。でも常に「よりよい」を目指すため「思いっきり変態する、恐れず変態する」ことを追求し続けたいと思う。

これは風越の根底にあるフィロソフィーのひとつだろう。「変態」という言葉で検索すると12の記事が出てくるので、時系列でその概念の解釈がどのように進んでいるのかを見るのも面白い。その他、例えばストレートに#探求の学び とかはタグになっているし、「葛藤」「悩み」とかは記事数がめちゃくちゃ出てきて面白い。(編集部注:「かぜのーと」から検索ボタンを押下するとカテゴリとタグの一覧が表示されます)

●リンクdigり

面白いと思う記事から、WIKIPEDIAの海にはまっていくようにリンクをたどって深め楽しむのもおすすめだ。たとえば最近投稿されたこの記事。

 風越学園は、子どもたちの「〜したい」からはじまる探究や学習、活動を大切にしています。
(中略)
しかし、「〜したい」と同時に、「〜したくない」も認められるわけで、「それはしたくないからやらない」という選択も尊重されます。
(中略)
これはなかなかにスタッフ泣かせな問題なんです。「〜したくない」からやらないでいたら、いつまでたってもスタッフが「やってほしいなぁ」と思うことにはたどりつきません。

こんなど真ん中の課題設定から、ガチでロッククライミングなどをする「アドベンチャーカリキュラム」の本質を垣間見ることができる素晴らしい記事だ。記事内リンクからどんどん読み進めてしまった。

●個人的殿堂入り

最後に、ずいぶん前のものだが個人的に炸裂した記事も紹介する。きっと多くの人に参照されてきた、殿堂入りと理解しているこの記事の「焦げた手袋」という物語に、常に変化を続ける実験校の、でも変わらない何かがここに表れている。


風越学園への入園・入学を検討していると言う知人友人から、風越学園の話を聞きたいと言う相談をしばしば受ける。もちろん喜んでお話しているけれど、僕ら家族の1サンプルよりも、かぜのーとを読むべしといつも答えている。実際、エリート校イメージから入学を考えていなかったわが家が、その認識を改めたのもかぜのーとだった。

検討中の方や、そうでなくても教育に興味のある方も、是非この貴重なログデータを独自の切り方で読み解いていただきたい。(本間 勇輝)

#2021 #キュレーション #保護者

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かぜのーと編集部です。軽井沢風越学園のプロセスを多面的にお届けしたいと思っています。辰巳、三輪が担当。

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