2020年11月11日
先日、第5回のかざこしミーティングを終えたところだが、まずは、第3回、第4回のことを書かずして語れないなあと思い、今回は、第3回、第4回のかざこしミーティングをつくっていったプロセスについて書いていきたいと思う。
少し遡ること、夏休み明け2日目。200人それぞれがバラバラに過ごした夏休みを経たこの日、第3回かざこしミーティングを開いた。
ここからまた風越に集い、風越での日常を再開する。それを象徴するような時間になるといいなと思い、第3回もやはり風越全員が輪になって集うところから始めることにした。
そして、幼児から中学生、スタッフも混じって全員で「手つなぎ鬼」。ミーティングという形の言語を通した対話ではないが、こうして身体を通した対話は、風越みんなの存在を実感を伴って感じるために大事なことだ。特に幼児の子どもたちにとっては、あそびを通して、後期の人たちとも関わることができる時間にもなったと思う。
最後はひとつの輪になる予定だったが、案の定、そうはならず、あちこちでいろんなサイズの数人の塊ができていった。それも風越らしくて、いい。
ここまでが第1部。第2部は、校舎に戻って、後期の子どもたち全員を対象に、ミーティングの場を設けた。
これまで希望制での参加にしていたミーティングの場を、今回全員参加にしたのは、いままで、それぞれが話し合いたいことを持ち寄ってきたがために、そこに賛同はするが、共に事を進めていく仲間(フォロワー)にまでなってくれる人がなかなかおらず諦めてしまう、というようなことが起きていたから。「〜たい!」を実現させていくためには、フォロワーの存在が必要不可欠であるということを感じたのだ。
また後期は、夏休みにスタッフの間でカリキュラムの見直しがあり、夏休み明けから大きく再編されることになっていた。翌日には、大きく再編されたカリキュラムについて、子どもたちに説明があるとのことだったので、その前に、真っ新な状態で「よりよい風越をつくっていくために、あなたが話し合いたいことは?」という問いと向き合い、一人ひとりが風越のつくり手であることを自覚するところから、再スタートして欲しいと思ったからだ。
結果として、一部の子の「〜たい!」が同じ場を共有することによって伝染していき、熱を帯びた場になっていった。おそらく、「〜たい!」は、その子自身から湧いてくることもあれば、誰かの「〜たい!」から熱が伝わって感染していくこともあるのだと思う。全員参加は間違いではなかった。
第3回のあと、それぞれの新しいプロジェクトが走り出したのだが、また新たな問題が立ちはだかった。それは、「ミーティングの時間が取れない」ということである。
そもそも、かざこしミーティングは、日常的な対話を促すための場であったため、かざこしミーティングではじまったプロジェクトのミーティングは、それぞれの日常で時間をつくって進めていくことを想定していた。しかし、今回のカリキュラム再編に伴って、これまで以上に、メンバーの予定を合わせてミーティングを開くことさえ困難になっていったのである。
そこではじめたのが、「Weeklyかざこしミーティング」である。毎週水曜日の朝の集いの時間を、かざこしミーティング発のミーティングの続きを行う時間にした。
子どもたちは、朝、登校してくると、ホワイトボードにミーティング場所を書いて、プロジェクトごとにミーティングをはじめていく。この時、どのプロジェクトにも属していない人は、どこかのミーティングに参加するか、新しくプロジェクトを立ち上げるかを考える時間にしてもいい。時間になると、一度、全員で集まりお知らせがあるチームが前に出て全体にお知らせすることができる、共有の時間を持つことにした。
これと同じくらいの時期に、掲示板の活用について、どうすれば人が立ち止まり、対話が生まれ、動きの生まれる掲示板になっていくかを悩んでいたところ、カズアキの提案があって、大きな掲示板は人通りの多い「創造のひろば」に移動した。水曜日の朝の「創造のひろば」は、対話のひろばとなるわけだ。
このように、毎週、風越について考える時間があるということは、日常的な対話を促していくためにもとても重要なことだと思う。風越での多くの時間を、それぞれが自分の時間として過ごすからこそ、このように集うことに価値が生まれていく。
第4回開催に向けてミーティングをする中で、さらなる問題にぶち当たった。プロジェクトの数がどんどん増えている、という問題だ。
この時点で、かざこしミーティング発のプロジェクトが18。それ以外にも、セルフビルドの時間からはじまった個人プロジェクトもある。つまり、スタッフの数以上のプロジェクトが同時多発的に進んでいる状態なのである。そうなってくると、全てのプロジェクトにスタッフが伴走することが難しくなってくる。自走しているプロジェクトもあるが、まだまだサポートが必要なプロジェクトの方が多数だ。
また、プロジェクトを複数掛け持ちしている子どもたちもいる。一度はじめてしまったが故に、特に目的もなく、何となくの仲良しメンバーで、惰性で続けてしまっているプロジェクトもちらほら。
そこで、明確になったのが、プロジェクトの「終わり」がほとんどのチームで意識されていないということだ。
かざこしミーティングのイラストも、よりよい風越をつくっていくためのタネを集める「はじまり」の場としてのかざこしミーティングについては描かれているのだが、「終わり」については描いていなかった。「そこで、第4回は「終わり」について取り扱うことにした。
当日、はじめに僕から、『そもそもプロジェクトとは何か』、『プロジェクトの「終わり」とは』について全体に共有し、その後、アンディからゴール設定のコツについて希望者にミニレッスンが行われた。そして、今回に限り、現在進行中のプロジェクトのミーティングの時間とし、それぞれのゴール設定について見直す時間とした。
ここまで読んでいただいてわかる通り、進んだ先には常に問題が立ちはだかる。それは、同時に進んでいる証拠でもあるだろう。
もちろん、第4回を終えた後にも新たな問題が明確になった。それは、かざこしミーティングが「プロジェクトのミーティング」の場になってしまっているということ。それに伴って、「後期中心」の場になってしまっているということ。
本来は、風越のみんなが、風越のことについて考える場であり、プロジェクトになる前の雑談のような話し合いも大切にされるべきである。しかし、目の前の問題に対処療法的に改善していくと、このように大事にしたい核となる部分を見落としてしまう。第3回、第4回の試行錯誤を経て、最終的にそういうことに気づかされることとなった。そこで、そもそもを見直すところから、大事にしたいことに立ち返るところから、次回の第5回の準備ははじまった。
長くなってしまったので、第5回については、次回にしようと思う。民主的な文化をつくっていく挑戦の旅は、まだまだこれからだ。
奈良県公立小で4年勤めたのち、準備財団時代の2019年から軽井沢にきちゃいました。B型山羊座の左利き。男三人兄弟の長男です。好きな教科は国語。うなぎとうたが大好物。学生時代は、野球部でバンドのボーカルでした。関西人ですが、どちらかというとツッコミの方です。
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