2024年4月25日

第84号(2024年4月25日発行)

2024年4月25日

こんにちは、軽井沢風越学園です。

新年度を迎えて2週間が過ぎました。
新しい子どもたち・保護者・スタッフが加わり、いろんな気持ちの漂う時期を通り抜けたような、まだ最中の人たちもいるような。

朝、芽吹き始めた風越の森に目をやった保護者が、下の方から緑が濃くなるんですねと話してくれました。
子どもたちが手にとって食べ始めたのはふきのとう、つくし、タラの芽。
地面から少しずつ、今年も一つひとつ味わいながら過ごせますように。

かぜのーと 第84号(2024年4月25日発行)
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【1】『みんなで決められる』岡部 哲
【2】『続・自然(森)で育っているものってなに?』勝山 翔太
【3】『共につくる〜テーマプロジェクト「和菓子とみる景色」〜』新井 佑香
【4】『仲間とみる景色、みえる景色』佐々木 陽平
【5】『どの山に登るかよりも、誰と登るか』井手 祐子
【6】『実践を開いてみたら、問いをもらった』山﨑 恭平
【7】放課後校舎開放と視察研修のご案内
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■

◇---------------------------
【1】# ホーム
   『みんなで決められる』岡部 哲
----------------------------◇
風越学園では、幼稚園と1〜4年、5〜9年の異年齢で形成されるホームがそれぞれ5つずつあり、これは学級に代わる子どもたちのコミュニティの一つとなっている。僕は1〜4年のホーム「ぬけあな」の担当をこれまで3年間やってきた。学級に当たるホームの名前が「ぬけあな」と聞いたら突っ込みたくなるが、2年前に理事長しんさんが引いたくじ引きにより「ぬ」から始まるホーム名を考えよ。ということで「ぬー民」とか「ぬれせん」とか「ぬかかりん」などなど、謎のホーム名がたくさんあったものだった。

そして今年はくじ引きで、全校「き」から始まる、8文字ということが決定し、発表された。(ちなみに、しんさんはくじを引く前に、「例えば、キイロスズメバチとか。。。」という例を挙げたというミラクルがあった。)

全体の会も終わり、今年初めてのホームの日がスタートすると、上級生が抜けたこともあり、これまで以上に子どもたちが自分ごとで進めるホームの名前決めが始まった。

こぐま:今日は今年初めての時間だけど、誰か進めてくれる?
ガク:じゃあオレやるよ〜。

という感じで、4年生のガクが今日のファシリテーター(進行役)を買ってでた。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/33830/

◇---------------------------
【2】# 幼稚園
  『続・自然(森)で育っているものってなに?』勝山 翔太
----------------------------◇
前回の記事「自然の中で育っているものってなに?どらにゃごチームのいま」」の中で書いた自然(森)の中で育っているもの。

日々、森や庭で遊び、暮らし、様々な生き物との出合いや関わりをくり返す中で、「あ、むしがいる!」「お花きれい」というだけではない、より深くそのものへと思いを馳せたり、じっくりと細部まで観察する目や心が一人ひとりの中に育っているのを感じている。その根底には、どこか森の生き物たちへの尊敬があり、僕はそんな子どもたちの姿になんとなく”いい”と感じているのだと思う。

あれからも続いている「自然の中で育っているものってなに?」という問い。日々、起こっていることを森にまかせっきりになっていないだろうか。もう少し、森で起こっていることや要素(森の中にある育ちや学び)を浮かび上がらせたい。そう思いながら子どもを見ていると、そこで一つみえてきたことは、絶妙な”力加減”だった。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/33850/

◇---------------------------
【3】#テーマプロジェクト
  『共につくる〜テーマプロジェクト「和菓子とみる景色」〜』新井 佑香
----------------------------◇
2月27日、今年度最後のアウトプットデイ。
7,8年生の子どもたちは、第4タームのテーマプロジェクトで取り組んできた「和菓子とみる景色」の発表を行った。

このプロジェクトのメインの活動は「景色を深める和菓子デザイン」。子どもたちはチームごとに景色を設定し、景色からイメージされるもの(アイデア)を出し合い、そこからコンセプトを絞り、実際に調理を行いながら和菓子に落とし込んでいくというデザインのプロセスを進んでいく。そのプロセスを何度も行き来することで、景色がより深まっていく。技術家庭科(家庭分野)と美術の教科横断のプロジェクトとして設計した。

発表場所には沢山の子どもたちや保護者、地域の人、スタッフが集まって、子どもたちがデザインをした和菓子を食べたり、子どもたちの2ヶ月間の試行錯誤をまとめた発表に耳を傾けた。ここに辿り着くまでの道のりは、チームで取り組んだ子どもたちも、テーマプロジェクトを設計してきたスタッフ自身も、「共につくる」の連続だった。
その一部を紹介したい。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/33684/

◇---------------------------
【4】# 協働
  『仲間とみる景色、みえる景色』佐々木 陽平
----------------------------◇
文化というのは、「つくる人」だけで構成されているのではなく、「つくる人」と「使う人」、そして「わかる人」との協同で営まれているのである。もしも「わかる」(むしろ、理解=感謝appreciation)という世界がなく、すべて人はつくり出すか、消費するだけだとしたら、これはもう文化でもなんでもない(佐伯.1995.「学ぶ」ということの意味.岩波書店p.135)
風越学園で働くスタッフに最も必要な資質・能力(仮)は何かと問われたら「協働」と僕は答える。人と働くことって、誰かと一緒につくるって、どういうことなんだろう。そのときに大切なことはなんだろう。「つくる」ことと同じくらい大切なことがそこにはあるかもしれない。そんなことを思いながら、昨年度、もい(新井)と一緒につくった7,8年・第4タームのテーマプロジェクト「和菓子とみる景色」を振り返ろうと思う。
そもそも僕はテーマプロジェクトをつくることに対してすごく苦手意識をもっている。それは専門性がないことや、数学の授業を大切にしたいという気持ちもあってテーマプロジェクトを前のめりにしてやっていこう!という感じがないからかもしれない。でも、だからこそ、第4タームのテーマプロジェクトはこれまでで一番チャレンジするテーマプロジェクトになったのだと思う。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/33744/

◇---------------------------
【5】# アドベンチャー
   『どの山に登るかよりも、誰と登るか』井手 祐子
----------------------------◇
2023年度末が迫ったある日、8年生のエナとサクがやってきた。

「9年生が卒業する前に、アドベンチャー登山(2023年度は登山・クライミング・トレイルハイク・ブッシュクラフトから一つ選び、同じアドベンチャーを、同じメンバーで年に3回積み重ねた)のメンバーで、もう一度山に行きたいと話していて。いいかな?」と、突然の相談。「どうしてそんな話になったの?」と聞くと、「あのメンバーで登る山が最高だったねって話していて。山を登っている時間が味わい深かったから」とのこと。こうして急遽立ち上がった4回目の登山。スケジュール、移動手段含め条件が厳しい中、彼らの熱意で実現にこぎつけたのだった。

それにしても、味わい深いって、なかなか渋い感覚。
彼らにとって、仲間と登る山は、どんな味わいがあるのだろう。

経験するや感じるを超えて、価値や意味ともちょっと違う、彼らの中でじわっと生まれ熟成されていったものなのかなと私は捉えている。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/33670/

◇---------------------------
【6】# 実践ラボ
   『実践を開いてみたら、問いをもらった』山﨑 恭平
----------------------------◇
昨年度末にものづくりに関する学び、ものづくりを通した学びを支える学習環境について考えるため、実践ラボ「プロジェクト学習を支えるものづくり学習環境とは?」を実施した。技術科教育を中心にものづくりを通した学びに関心のある方に参加してもらい、マイプロジェクトの時間(以下、マイプロ)の見学と学習環境や技術科教育の在り方について対話する時間をもった。
 
今回の実践ラボを開催するきっかけの1つとして、技術科教員の川俣 純先生(実践ラボにも参加いただいた)から、技術室の学習環境について考えるきっかけをもらったことがある。そんな川俣先生と実践ラボの後日オンライン対談する時間を設け、学習者中心のカリキュラムや技術科の学びの今後について話をした。

——

山﨑:実践ラボでは、マイプロジェクトをする子どもたちの様子も見てもらいましたが、実際にマイプロを見てどうでしたか?

川俣:風越学園が、学びの主体というところから学習者の経験を全部考えていこうとしていることがわかりました。いわゆる中学校の技術科教師は「技術科」って枠があってから考えているから、一斉に指導するのが当たり前だし、その生徒のやる気をどう引き出すのかみたいな話をする。だから、そもそも考えのスタートが違うんだなと感じたよ。

山﨑:実際に枠組みとしての「教科」はゆるく、スタッフ間のやり取りも「子ども」から始まることが多いですね。

川俣:スタッフは、子どもの学びを捕まえていく部分にアプローチとして魅力を感じていることも多そうだね。でもある意味、そのアプローチだからこそ大変そうな部分も多いことは想像できたよ。
マイプロがどんな時間なのかということは、実際に見てみないとわからないというのも強烈に分かって、いわゆる「教師の関わり」とは全く違うところがある。特に教師が指示を出す声は何一つなかった。風越のマイプロの時間では当たり前なのかもしれないけど、面食らっちゃうよね。

山﨑:活動が始まった後は指示は特に少ないと思います。川俣先生が見学後に実践ラボの感想をFacebookに投稿して、フォロワーからのコメントに対して「何か探究している人がいただけでした」と返信していたことが僕には強烈でした。とてもありがたいコメントであると同時に背筋が伸びる思いというか、まだまだそのためにできることはあるだろうと思いました。

川俣:幼稚園からそういう風土で積み上げていって、中学卒業まで続くわけでしょ。それが「風越的」な学びのスタイルをつくる強みだよね。基本の考え方を最初から変えれば、学習者中心であることや、それぞれに探究している状態が可能だって教えてもらったような気がするんですよ。
多くの先生はそんな教室の状態を知らないし、できると思っていない。そもそも子ども自身が自分で考える力なんてないって言っている人だっている。こういった自治や民主的な在り方は与えられるものだと勘違いしているように思ったよ。

続きはこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/now/33854/

◇---------------------------
【7】#お知らせ
   放課後校舎開放と視察研修のご案内
----------------------------◇

5月23日(木)、24日(金)の放課後に、校舎見学をおこないます。おもに地域のみなさんを対象に、普段子どもたちが過ごしている環境を少しでも感じていただければと思っています。事前のお申し込みは不要です。なお恐れ入りますが、別日での個人の方の校舎見学の受け入れはいたしかねます。また遠方からの教育関係者の方は、以下の視察・研修をお申し込みください。
詳細はこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/news/event/33868/

今年度の視察・研修の日程を公開しています。お申し込みは5月1日(水)12時から受付開始いたします。
それぞれの現場に「問い」を持ち帰っていただき、学園と参加者双方にとって「学び」の場となることを願っています。

今年度は、
特定の団体を対象にした(1)【団体視察研修】と、個人や小グループを対象にした
(2)【個人視察研修(企業・教職員・学生)】

を実施します。
詳細はこちら >> https://kazakoshi.ed.jp/visit/

(あとがき)

今週は牟礼慶子さんの「見えないだけ」を題材にした9年生の国語の授業に陪席しています。

地面の下や、空の上、山の向こうや遠くの街。
見えないけれども、確かに在る。
そんなもの一つひとつに卒業生の存在感も感じる4月です。

 —————————————————————————–
発行元 学校法人軽井沢風越学園
ホームページ https://kazakoshi.ed.jp
メールアドレス info@kazakoshi.jp
#配信停止については、ホームページのお問い合わせ(https://kazakoshi.ed.jp/contact/)
からお知らせください。