「最近、どう?」 2020年5月14日

「学校をつくりに風越にきた」シュウゴ・ウタロウ

本城 慎之介
投稿者 | 本城 慎之介

2020年5月14日

シュウゴとウタロウ。7年生(中1)の2人のインタビューを終えて、「あー、しっかりわかってるんだな。やっぱり答えは子どもたちの中にあるな。」と思った。オンラインでの限界や不自由さ、学校が始まったら何をしたいのか、これからどうしたいのか、どんな学校をつくりたいのか…。

彼らとの出会いは2歳児の時。森でたっぷり遊んだ仲間。小さかった仲間たちが、この2人をはじめとして軽井沢風越学園のつくり手となった。間違いなく彼ら彼女らとの出会いと関わりが、僕の学校づくりのベースとなっている。

早くみんなに会ってみたい

ー〔本城〕 じゃあ、乾杯。(乾杯)最近、どう?

シュウゴ:つまんない。学校もないし、友達ともあんまり遊べないし。

ー まぁ、つまんないよな。ウタロウはどう?

ウタロウ:なんだろう。そこそこ楽しいけど、もうちょっと遊びたいっていうか、弟とバスケはしてるけど、同じようなことばっかりやってるから。早く学校に来て、友達をつくりたい。

ー 今はオンラインで、新しい友達と出会ってるような、会ってないようなという感じだと思うけど、どんなふうに捉えてる?

ウタロウ:オンラインでパソコンの画面越しだと、話しづらいところもあって、俺はまだちゃんと話せてないなって。ちょっと緊張しちゃうというか。みんなと話せて楽しいけど、本当のみんなはまだわかんない。

シュウゴ:俺も早くみんなに会ってみたい。

ー 会って、最初に何したい?

シュウゴ:んー。画面越しだと、身長とか体の大きさとかがわかんない。思ってたイメージが違うかも知れないから、まず自己紹介みたいなのをみんなでしたい。

ウタロウ:みんなの性格がわかるようなことをやりたい。スポーツとか頭を使うゲームとか、それが苦手な人と得意な人がわかるような。

シュウゴ:みんなで話し合ってできるボードゲームとかやったら、相手のこととかもわかりそう。なんか本性とかが出るかもしんないから(笑)。

友達ってどんな存在?

ー どんな手応えがあると、相手のことがわかってきたな、友達になれそうだな、ってなる?

シュウゴ:話し合ってる時とかに、スラスラ気持ちよく話し合える感じとか。

ウタロウ:んー。共感しあえる感じとか。たとえば、俺1人と4人で喧嘩になった時、4人の中から来てくれたら、その人が友達なんじゃないかな。

ー 友達っていうのは、どんな存在なんだろう?

シュウゴ:自分が助けが必要な時に助けてくれたり、難しいことでも友達と一緒だったらできたりする存在。

ウタロウ:友達とは、最後まで喧嘩することが大事だと思う。誰かに止められないで納得するまで喧嘩したほうがいい。謝らなくても、次の遊びに入れるような感じが友達。

ー そうね、そういうことあったなぁ。ふたりは、友達?

シュウゴ・ウタロウ:うん、たぶん。

ー お互いにとって、どんな存在?

ウタロウ:シュウゴは、日本にいた時はすごい優しくて。でもアメリカに転校して、気が強い人を跳ね返すようなところを身につけてきて。日本に帰ってきてから、それが抜けなくて、なんか嫌な奴だったんだけど、またそれをだんだんなくしてるって聞いて、すごいなって。

シュウゴ:俺にとってのウタロウは、ぴっぴ(編集部注:森のようちえんぴっぴ。軽井沢にある認可外保育施設。本城もここでスタッフとして活動していた)の頃からの遊ぶ相手。一緒につくったり、助け合えたりできる存在みたいな感じ。

学校をつくりに風越にきた

ー 今さ、オンラインが続いてるじゃん。もしかしたらこの状況が来年の3月まで続くかもしれない。そうすると、何が一番不安?

シュウゴ:もし3月からになっちゃうと、登校の歯車みたいなのが完全に変わっちゃう気がして。できなかった授業とかをどうやって、本来のところまで追いつくかみたいな。ぎゅっと短縮されてやった中1(7年生)の勉強の中で、中2(8年生)に繋がっていくものもあると思う。それが中2になって、どれだけ知能として活かされるかが不安。

ー 学校に来なくても、教科書やインターネットで調べながら、自分で学校をつくると思って勉強してみて、と言われたら?

シュウゴ:自分の中で、どれだけやったらいいかの判断基準が、一人ひとり違う。学校に来た時に、みんなの学びがずれちゃうと、授業がわからない人とわかる人が出てくるんじゃないかなって。

ー でも、今までもそうじゃなかった?

シュウゴ:そうだけど、学校に行く安心感みたいな。

ー 学校に行く安心感って?

シュウゴ:学校で会えれば、オンラインでは話しづらいこととかも、みんなで話し合ったりすることができる。オンラインだと、本来の個性が引き出せない感じがある。

ー そっか。ウタロウは?

ウタロウ:この学校を色々とつくっていくのが楽しみだから、オンラインが続くと学校をつくっていくっていう目標を忘れちゃいそうで不安。オンラインだと自分のことだけになっちゃうというか。

ー そっか、ウタロウは、風越に学校をつくりに来たんだ。でもオンラインだと自分1人の学校になっちゃって、みんなとつくるってことではないもんね。学校に習いに来るとか、教えにもらいに来るんじゃなくて、学校つくりにきてるって思ってくれてるのは、うれしい。どんな学校をつくりたい?

ウタロウ:みんなが居心地のいい場所にしたい。

ー どんなふうにしたらできそう?

ウタロウ:なんだろうな。自分たちが考えて、やりたい時にやりたいことをやれるところが、一番居心地がいいと思う。

ー 言われて、やらされるんじゃなくて。

ウタロウ:言われたら嫌なことってあって、嫌なことはやっても楽しくないから、やりたいことをやったほうがいい。

ー 大人たちは「やりたいことだけじゃなくて、やらなきゃいけないこともやらないと」みたいなことを言ったりするけど、どう思う?

シュウゴ:いちおう学校っていう立場でやらなきゃいけないことがあると思うから、自由と一緒に生きるみたいな感じかな。やりたいことをやって、やらなきゃいけないことも一緒にやるみたいな。例えば、理科の授業の実験とかで、ちゃんと教科書に書いてある通りにやった後に、自分たちでやってみたいことをやるとかだと、いいと思う。

ー やりたいことをたっぷりやってから、やらなきゃいけないことをやる人もいると思うけど。

シュウゴ:俺の場合は、やらなきゃいけないことを後回しにすると、罪悪感みたいなのが心に残って。だから、先にやることで罪悪感が晴れて、その後に自分のやりたいことをやるほうがスッキリする。

ウタロウ:やらなきゃいけないっていうより、やったほうがいいんじゃない、みたいな声かけのほうが、やりやすいかもしれない。やりたいことをやってる時に、やらなきゃいけないこともあるけど、やらなきゃいけないことをやりたいと思った時にできるほうが、進んでいくと思う。

学びのコントローラーと大人になった自分

ー ふたりが自分で時間割をつくったら、違うものになりそうだね。風越では、自分の一週間とか自分の学びを計画を立てたり、つくったりすることを大事にしてるけど、いま学びのコントローラをどれだけ自分たちに委ねられている、渡されている感じがする?10段階でいうと、どれくらい自分の手元にコントローラがあるイメージ?

シュウゴ:本来は8とかあると思うけど、それを上手く出せてない感じ。自分たちでやるほうが学びは楽しいと思うけど、それなりに責任をもらうことになると思うから、まだ全部を出し切れないみたいな感じ。

ー 使いこなせてない感じかな。

ウタロウ:俺も7らへんかな。使いこなせてないっていうか、自分はこういう人だ、というのを出せてない。もうちょっといけそうな気がする。

ー それは出すのをためらっている感じ?出す場面がない?

ウタロウ:ためらってる。オンラインだと、どこで発言するかのつかみどころが難しくて。

ー どんな手助けがあったら、コントローラーをもうちょっと使えそうな気がする?

ウタロウ:最初は手助けが必要かなと思って。自分はこういう人だよみたいな自己紹介の長いバージョンというか、今までのストーリーみたいなのを交代で話すと、ちょっとずつでもお互いのことが理解できていいかな。

ー それ、ホームのスタッフに提案してみたら?こんなふうに過ごしてみたいんだよねって提案してみることが、学校をつくるっていうことなんじゃないかな。校舎に来ないとできないことは山ほどあるけど、オンラインでもこんなふうにしてみない?って提案することは、学校をつくるっていうことと繋がってると思うな。シュウゴは、ホームの中でこうしてみたい、こうしたらいいんじゃないって伝えられてる?

シュウゴ:いちおう提案したりしてるけど、学校をつくっているっていうところまでじゃないかな。いっきに大きなステップというよりは、小さなステップみたいな感じでやってる。

ー 最後に、どんな大人になってみたいとかイメージはある?

ウタロウ:普段は優しくて、子どもと一緒に遊んでくれるけど、怒るときは怒る。子どもたちの問題は自分は首を出さずに子どもだけで解決してって言える人になりたい。

シュウゴ:俺は、人助けをいっぱいして、未来のためになることをする大人になりたい。自分も他の人に助けてもらったから、他の人も助けてあげる。厳しくされた大人が、子どもにも厳しくするんじゃなくて、自由な道を行けたから、子どもとかにも自由な道を行かせてあげたい。

ー ウタロウやシュウゴが、どんな大人になるのか、俺はけっこう楽しみにしてるな。

(インタビュー:2020年5月2日)

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投稿者本城 慎之介

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何をしているのか、何が起こっているのか、ぱっと見てもわからないような状況がどんどん生まれるといいなと思っています。いつもゆらいでいて、その上で地に足着いている。そんな軽井沢風越学園になっていけますように…。

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