風越のいま 2020年4月16日

青空の下、はじまりの日

根岸 加奈
投稿者 | 根岸 加奈

2020年4月16日

駐車場の方から、ずっと会いたかった子どもたちとその保護者が見えてくる。
白い吐息が青空に消えていく。どくんどくん、自分の鼓動が聞こえる。

                 朝6時半の校舎。前日の雪から一転、気持ち良い晴れ日だった。

「はじまりの日」。校舎で一緒に過ごせるのは先になってしまったけど、そんな中でも少しだけ出会える貴重な時間。前日は、どんな時間を過ごそうかな、と頭の中で思い描いたらなかなか眠れなかった。

ずっと会いたかった子どもたちに会えて、本当はぎゅっと抱きしめたいくらいだったけど、そこはぐっと我慢して。やっと出会えたことに、嬉しい気持ちでいっぱいになった。会えない期間があったからこその喜びは、それはもうひとしおだった。

正直、開校の延期、オンラインへの移行が決まってから、今までやってきたことが白紙になったような気持ちになっていた。

でも、大切にしたいことを考えて考えて深くもぐっていったときに、自分の底でコツンとぶれない想いにあたった。それは、「一人ひとりがつくり手として、一緒につくっていきたい」ということ。たとえオンラインでも、そこは貫きたいな、とふっと腑に落ちた。

思えば準備期間には、ぐるぐるとして進んでいる実感がなく、もどかしさを感じる時もあった。

でも、こうして行ったり来たり、揺らぎながらも考え、時にぶつかり合いながら進んできたからこそ、「一人ひとりがつくり手として、一緒につくっていきたい」という想いが自分の中にしっかり根をはったのだと思う。

そして「はじまりの日」、私は子どもたち一人ひとりと話した10分ほどの時間で、その想いを確信に変えた。



『これからオンラインで色々はじめていくんだけど、どんなことをしてみたい?』
そんな私の質問をまっすぐ受け入れて、一緒に考えてくれる子どもたち。

「しりとりなら、チャットでも、しゃべってでもできるね」
「勉強したい部屋があって、それを自分で選べるといいかも」
「みんなでテーマトーク!まいにち交代でテーマを出すのもいいね」
「その日の出来事を、ムービーにしたりできないかな」
「一人ひとりがミニティーチャーになって、得意なことや好きなことをみんなとやってみる」
「みんなでおやつパーティーもよさそう」
「風越でやってみたいことの企画書みたいなのをつくる」
「おはなしリレーはたのしかったよ」

内心じーんと泣きそうになりながら、この時間が一番しあわせだなぁ、と思った。

この状況下、すでに自分で色々と工夫して試行錯誤している子、今までの経験から未来を描いてくれる子、「〜したい!」のアイディアにあふれる子。

「うーん、今はあんまり思いつかないなぁ」と言っている子も、「何か思いついたら、また言うね」なんて言葉を残してくれて、子どもたちも新しい学校へ気持ちが向かっているのだと嬉しくなった。

あぁ、一緒につくろうと決意して、この日をむかえられて、よかった。

ちょっとかっこ悪いかもしれないけど、子どもにふと本音をもらしている自分がいた。

『今まで計画してきたことがさ、ここ(校舎)でできなくなっちゃったんだけど、』
「うん」
『正直くやしいし』
「うん」
『すごいさみしかったりもするんだけど、』
「うん」

風越に関わる前の自分は、どこか肩に力が入っていたように思う。

でも、風越と関わっていく中で、自分のもやもやも、実現できなさそうな妄想も、弱いところも、まるっと出しながら、ありのままで関わっていきたいなと感じるようになっている。それは、一緒につくってくれるスタッフ、保護者、そして子どもたちがいるから。

『やっぱりみんなと一緒につくっていきたいなぁと思う気持ちは変わらないんだよね。』
「うんうん」
『だから、これから一緒にやっていこうね』
「うん、よろしくお願いします」

出会ってくれて、ありがとう。こちらこそ、よろしくお願いします。
じっくり、たっぷり、ゆったり、まざって、一緒に歩んで行こう。

青空の下、はじまりの日。


根岸 加奈

投稿者根岸 加奈

投稿者根岸 加奈

人との出会いやつながりに支えられてきました。温度感があるものには、はかり知れないパワーがあると思います。多様な人びとや物事が混ざりあい、温度感にあふれた環境で遊び学べたらいいな。

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