風越のいま 2025年8月6日

風の音を鳴らしてみよう

佐々木 陽平
投稿者 | 佐々木 陽平

2025年8月6日

風越学園に入職して4年目。インタビュー記事も含めて、11本のかぜのーとを書いてきた。書くことは昔から好きなわけではなかった。大学生のとき書いた教育実習の日誌は半分も埋められず怒られた記憶がある。そんな自分だが、風越学園に入職してから自ずとリフレクションを書く機会が増え、かぜのーとを書く機会が増え、書くことがだんだん好きになっていった。書くことは自分のありようを見直しながらも無限の他者に開かれている。そんな感覚がする。かぜのーとを「書く」ことは、自分の葛藤やねがいを一つのかたちにするということで、自分にとってすごく意味のあることだった。

一方で、すごく苦手としているのがかぜのーとを「読む」ことだ。なんだかうまく読めない。読むのが億劫だったり、読むと気持ちが沈んだり、読んでも感想が出なかったり。自分が書いたかぜのーとを読んでくれるのはすごく嬉しいけど、仲間のかぜのーとをうまく読めない、そんなもどかしさをもっていた。そんな最中に、「学びの日」で「かぜのーと読み返して、風越の軌跡をたどってみよう」という場を開いた。ジョセ(金子)ちか(奥野)ふぅ(林)ふっしぁん(藤山)まっちゃん(松崎)の5人と一緒にこの場をつくることになった。この企画自体は、かぜのーとという宝の山から宝を探し、その価値を明らかにする企画(「原石をダイヤに」Byふっしぁん)だったが、個人的にはこの企画を通して「かぜのーとってどうやって読んだらいいんだろう?」という問いを模索できるといいなと思っていた。

学びの日でかぜのーとを読む場を開く

この企画の全体像はさておき、チェックインの様子に目を向けたいと思う。僕にとってはこの時間がすごく印象的だったのだ。チェックインの仕方はこんな感じ。

薪クラブでランダムに記事を選ぶ。
②選んだ記事を5分程度でそれぞれが読む。
③読んだ記事について、ただ感想をしゃべったり、何かお題をおいてしゃべったりする。

ランダムで記事が3つ選ばれる。

やめてみたいことある?

印象的なチェックインを2つ紹介しよう。とっくん(片岡)のかぜのーと『第3回、第4回かざこしミーティング 〜試行錯誤を経て、気づいたこと〜』を読んでみた。この記事では、かざこしミーティングが立ち上がってすぐの子どもたちやスタッフの試行錯誤が語られている。そのうちの一つが「プロジェクトの終わり」だった。かざこしミーティングでは”始まり”について語られていても、”終わり”が扱われていないことに気づいたとっくんたちは、”終わり”についてかざこしミーティングで扱うことにした。

このかぜのーとを読んだあと、だんだんつくられてきた風越学園でやめてみたいこと3つをあげてみようって話題になった。

藤山

えーなんだろう。・・・アウトプットデイ、かざこしミーティング・・・スイゴゴかな〜。必要ないからというよりは、なくなって初めて気づくことがあると思うんだよねー。

うわ!スイゴゴって言われるような気がしてたんだよなー笑(ふぅはスイゴゴ担当)

佐々木(陽)

いやー。何も議題がなくてもその時間をおいておくことは大切で、かざこしミーティングもただおいておくだけでも違うんと思うんだよな。話題がなかったらやらないくらいの感覚はあってもいいと思うんだけど。ジョセ、めっちゃメモしている(笑)。

金子

いやー、僕は業務をやめることに対しては前向きで。やっぱりやめないとどんどん増えちゃうから。前職では定例で何かをやめる会議があったんだよね。

佐々木(陽)

そうだよねー。年度の終わりに「収穫」って振り返るときもあるけど。

藤山

「収穫」してるかもしれないけど、「畑終い」はしてないよねー。外にも「畑終い」していない畑いっぱいあるもんね。

こんなふうに、「やめてみる」ってことをキーワードに、これまでのカリキュラムを振り返る機会が偶然に生まれていた。かぜのーとを鏡にしながら現在地を見直してみる、そんな時間だったと思う。偶然の機会だからこそ、肩に力が入らず、それぞれが対等の立場で今の気持ちを素直に語れたんじゃないかな。

チェックインのようす

普段、環境でこだわっていることは何?

ざっきー(山崎 /2025年3月退職)のかぜのーと『ものづくり学習環境は、子どもの学びとどう関わるだろうか。』を読んでみた。実践ラボに向けた記事だったので、実践ラボのプロローグみたいな感じで、内容でおしゃべりする雰囲気ではなかった。そのとき、ふっしぁんが「じゃあ、普段、環境でこだわっていることは何?仕事でも生活でも」と投げかけてくれた。

奥野

寝る環境だけじゃなくて起きる環境にもこだわっているかなー。わたしは今までアラームで起きていたんだけど、最近はだんだん明るくなる明かりで起きているんだー。

金子

広い空間が好きなんだよね。家を決めるときには隣に何もない土地を選んだ。土地にぽつんと家がある感じ。部屋が狭い焼き肉屋とか落ち着かないんだよね。

わたしはお風呂に入らずに寝ちゃうことがあるからー…家に帰っちゃうとダラダラしてそのまま寝ちゃうから、家に帰る前にジムに寄って、シャワーを浴びて帰る。運動はしない(笑)。

松崎

蛍光灯が嫌で、白いのじゃなくて暖色系がいいんですよね〜。

藤山

わたしは自然の環境に合わせて生きる。社会の仕組みが間違っている。学校も冬は9時出勤、4時退勤にならないかな。

佐々木(陽)

枕かなー。実家に帰るときは、枕をわざわざ持って帰っている(笑)。

その人となりを感じられるチェックインだった。このかぜのーとはあくまでも実践の話だったけど、実践にグッと踏み込む必要はない。かぜのーとから生まれた話題でただただおしゃべりしてみる。そしてその人を感じてみる。そんなことをみんなで味わった。

ライブラリーの環境。幼児に向けて季節の本をおいている。

風の音を鳴らしてみるのはいかが?

ふぅは学びの日のチェックインでかぜのーとを読むことについてこんなことを言っていた。

入職前、かぜのーとを登録してて毎月メールマガジンでかぜのーとの記事が送られてくるんだけど、その時の気持ちによっては読めないんだよね―。風越ではこんなにキラキラしてるのに、私の実践なんて…って。

ジョセは「キラキラ」についてこんなことも言っていた。

金子

たまにかぜのーとではいいことしか書いてない、キラキラしてることしか書いてないですよねって言われるんだけど、そんなことないよんだなー…よーく読むとその人の葛藤があったり、泥臭いところがあったり。

かぜのーとはなんだか読むのが難しい。一人で読むと、その人の心の状態がそこにぐっと現れるときがある。一人で読むと、実践が遠くて読めないときがある。そんなかぜのーとを一人で読むのではなく、誰かとおしゃべりしながら読むのはどうだろう?「かぜのーと」はもともと「風の音」でもある(らしい)。文字を読んで楽しむのではなく、音を聞いて楽しむのはいかがかな?

かいたらおしゃべりしたくなるよね?

#2025 #スタッフ

佐々木 陽平

投稿者佐々木 陽平

投稿者佐々木 陽平

確かな数学教育を求めて三千里。身の回りの環境や子どもたちの活動の環境を整えるのが好き。最近は読書にはまっている。

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