2024年12月11日
2024年11月22日、4回めの遠足(とおあし)が開催されました。
アドベンチャーカリキュラムの中で唯一、義務教育学校1年生から9年生までの全員と保護者も参加できるプログラムです。
遠足は、軽井沢のお隣・群馬県安中市の史実にある「安政遠足」に着想を得て始まりました。江戸時代の安政2年(1885年)、安中藩主・板倉勝明が、藩士の心身の鍛錬のために、安中城門から中山道を通って碓氷峠の熊野権現神社までの徒歩競争を行なったとのこと。距離にして7里余り(約30km)、高低差約1000mという過酷なコースで、日本のマラソンの発祥と言われています。
風越学園の遠足は、他者と競うものとしては行っていません。自分なりの目標をもって18.6km、標高差400mを走る(または歩く)ことにチャレンジします。スタートから2時間経った時点でゴールに折り返すことがルールです。
当日の天気は快晴、スタート時の気温は7度。義務教育学校220人・保護者70人・スタッフ含めて300人近いランナーとウォーカーが風越公園のグラウンドに集って、9時10分にスタートです。
遠足では、タイムの発表も表彰式もありません。ゴールへと折り返す先頭集団とすれ違うので、なんとなく早い人たちのことはわかっていそうですが、正確な順位を知らない子どもたちがほとんど。そんなわけで、この記事で勝手に表彰してみます。
9年のコトネと3年のマヒロ。あのねー、えっとねーと話したいことが溢れるマヒロの話をコトネが聞きつつ、もう無理だー、あとちょっとだー、と励まし合いながら進んでいく。
ずっと一緒に歩いた5年ワカコと1年クルミ、山頂にて。下山中、大号泣していた1年クルミにスタッフが理由を尋ねたところ、頂上まで行けたうれし泣きだったよう。
小学生1位(右・4年)と2位(左・5年)。前日、「俺に勝つ自信ある?」「気持ちはあるよ」というやりとりがあったそう。ゴール直後に「ナイスラン」と声をかけて握手する姿がかっこよかった。
今年は父が約10秒差で先にゴール。さて、来年は?
全力で走りきる姿、見せてくれた5人。
最後までよくがんばったで賞
1位のゴールタイム10時39分から4時間15分後の14時55分、最終組がゴール。今年も無事に終えることができました。
一緒に走ったり歩いたりした保護者の声も少し紹介します。
1年の娘の遠足デビューに付き添う形で参加させていただきました。同級生女子3人と一緒に歩きましたが、3人の中で目標を達成するまで励まし合う様子や、目標を達成した後、どこまで挑戦をするしない、のやり取りが本当に愛おしかったです。たまに落ち葉の絨毯に倒れ込んだり、ベアドッグに挨拶したり、行動食休憩したり、のんびり一緒に自然に戯れ、自然の美しさを存分に味わい、贅沢な時間でした。 降りてくる先輩、同級生たちに”ファイトー!かっこいい!”と声がけする小1女子3人のんびりチーム。のんびりチームに”チェックポイント4まであとちょっとだよ!”と全力で走りながらコメントしてくれる先輩方、お互いを尊重しているのが伝わってきました。 特に下山してくる先輩たちからその思いやりに溢れた一言が走りながら咄嗟に出ることに驚きました。日々それぞれがそれぞれのことをやる、ちょっと遠くの目標を立てて頑張る。そしてお隣さんのそれも理解して応援し合うスタンスが学園の中で当たり前のこととして共有されているのだろうと感じます。 下山して、最後田んぼの間を抜けてグラウンドまで帰る平地になった途端、のんびりペースだったはずの子供達の元気が爆発して影踏みをしながら走って帰ってきました。どこにそんな体力があったのか驚かされますが、日々の積み重ねなのでしょうね。保護者である私も毎日精一杯生きているかな?と自問自答させられる1日でした。
子どもは2回目、私は初めての遠足。一緒に走ろうなんて言っていたのに、最初から最後まで子どもの方が早く、せめて完走を目指して走り始めました。道々で、子ども、保護者、コースボランティアと言葉を交わし、励ましあいながら、1人で練習していた時よりなんだか走れる。おまけに景色も空気も最高。温度感の違いはそれぞれあったと思うけれど、子どもたちが目標に対して、去年と比較した成長を感じながら走ったり歩いたりしていて、本当にすごいなと思いました。 後ちょっと、という声掛けを互いに掛け合って、でも全然後ちょっとじゃないじゃんと思いつつ、つい私も後ちょっとだよと励ましてしまう。 走り終わったあとはもう来年はイイです、と思ったけれど、きっと来年も今年以上に軽やかに走れるようにコソ練してしまいそうな予感がします。だって、その後のお風呂とビールは最高でした!!
過去の実施も含めて、事故なく続けられているのは、コースボランティアを担ってくださる保護者のみなさんのおかげです。滑らないようにと前日自主的にコース内の落ち葉掃きをしてくださったり、山頂まで後少しのポイントで「ガッツだぜ」の曲を100回は流し、なんなら生歌の披露までしてくださったり。
一人で、仲間で、親子で、走る・歩くを自分で選ぶ。去年の自分よりも早く・遠くに行けた、自分って意外にすごいなと思える。子どもも大人も一緒になってプロセスを楽しむ様子は、風越学園をぎゅっと1日に濃縮したようだなと毎年思います。来年はこんなふうにしてみよう、という気持ちをそれぞれ胸に抱いているんじゃないかな、来年も楽しみです。
参考記事:
変化の大きい立ち上げ期を好み、これまで様々なプロジェクトの事務局に従事。組織は苦手だが、人は好き。おいしいものと日本酒も好き。長年の探究テーマは、聴くことについて。広報、ステークホルダー管理、各種イベント企画・運営などを担当。
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