2023年8月22日
それは、集いが始まろうとしているときに起きた。
全員分の切り株が並んでいる集いの場所。カイが水筒を取りに行くために一度、席を離れた。そこにテルホがやってきてカイが座っていた場所に座った。戻ってきたカイは、テルホに向かって「だめっ!」と言った。テルホはよく分からずに泣く。カイは驚いて「ごめんね、ごめんね」と謝っている。
しばらく大きな声で泣くテルホの声が響いた。すると周りにいた人たちから「僕はやってない(泣かしていない)!」「私が(ダメと)言ったんじゃないよ!」という言葉が聞こえてくる。
私は何かを伝えたい気持ちが沸き起こってきて「誰がやったとかじゃなくて、てるちゃんが泣いているよ」とか「やってないとか、言ってないっていうことじゃなくて・・・。」となんだか分からないモヤモヤした気持ちを伝えた。
私がそんなことに気持ちを向けている間にエマが動いている。テルホに向かって「ここが空いているよ。」と空いている切り株を知らせていた。
泣いていたテルホはエマの勧めてくれた切り株に座り涙が止まった。
私はまだ収まらない気持ちを言葉にして数人とやりとりしていた。するとエマが「(切り株が)空いていたから大丈夫よ。」とつぶやいた。
ハッとした私。「エマちゃん、ありがとう」とこたえた。
子どもに気づかされることはよくある。
私はあの瞬間、泣いている人に気持ちを向けてほしいと言葉でなんとかしようとしていた。そんなことしなくても春からこれまで共に過ごしてきた中で関係性を築いてきた人たちだ。問題が起きた時、何とか解決しようとする人がいてそれをみんなで感じて、一人ひとりの心の中にそれぞれ何かが残ることの方が大切だったのでは・・・。多くを語る必要はなかったのではないか。
このときの出来事を同じ年少を担当しているスタッフのあやさん(遠藤)に話した。すると「もう一度この場面に出会ったらどうする?」という問いかけをもらった。
私は同じ場面に出会えたらそこにいる人たち一人ひとりの様子に目を向けたいと思った。目の前で起きたことにそれぞれが何を感じてその様子を受け取っているのか。それとも何も感じていないのかを見たかったなと思った。
これは一日の中のほんの一瞬の出来事。その場にいた人たちそれぞれに起こっていたことはいろいろあったはず。深呼吸してもう少し視界をひろげてみようと思った出来事だった。