2021年7月19日
4月中旬からグラウンド奥の森(元風の通り道)に西の国として生活の場を自分たちでつくってきたホーム西の人たち。西の国やその周りの森の中で、暖かくなるにつれて草木が緑になっていく様子を目の当たりにし、生き物との出会いが日に日に増えていきました。
そんなとき、後期の7,8年生のテーマプロジェクトが「生命(いのち)」だということを聞きました。幼児が植物や虫などの生き物、生命とどんな出会いをしているのか、私たちが記録しアウトプットデイで並べて展示したらおもしろそうだね、と綾さん(遠藤)とひらめきました。そこから「生命との出会い」をテーマに日々の子どもたちの記録を取りためてきました。
普段なら見過ごしてしまったり、聞き逃してしまいそうな子どもたちの発見やつぶやきをこのテーマを持って見ることで、私自身いつもよりアンテナの感度を上げて子どもたちの姿を見ることができたように感じています。
それぞれの生命との出会いや向き合い方。3歳と13,14歳の人たちでは共通するものと違うものと両方がありそうだけど、ここから何が見えてくるのか。私たちもそれが見てみたい。今回は、7月8日のアウトプットデイで展示したものをそのままご紹介します。この「生命との出会い」の記録はしばらく続けていく予定です。また7,8年生の様子を含めて続編を書けるといいなと目論んでいます。
生命との出会い、そのリアリティ
花の生命、虫の生命、動物の生命。
森の中で過ごしていると、子どもたちはさまざまな生命と出会います。
そうした出会いの連続性の中から、生命というものへのそれぞれのリアルが確かめられ、変化していることを感じます。
生きているのか、死んでいるのか。それとも、その間の何かー。
「それ」や「これ」から、生命が名付けられるまでの間にあるグラデーション。
子どもたちが出会っている生命をめぐる風景を皆さんと共有できたらうれしいです。
(記録者)奥野千夏、遠藤綾
(ブンジが黄色い蝶を見せてくれる)
コトホ「はね やぶれてるよ。」
ブンジ「こうやって ここに 落ちてたの。」「いのちなくなった」
奥野「いのちなくなった?しんじゃったってこと?どうしてしんじゃったって思うの?」
ブンジ「ずっととばないから」「みて。おなかがふとってる。みつ のみすぎてしんじゃったのかな。」「め ひとつしかない。お家に持って帰って見てみる。虫かごに入れて見てみる。」
(黄色い鱗粉が指についたのをしばらく見つめている)
ブンジ「まほうだよ。これはまほうのこなだよ」
(「くちのストローがクルクル丸まってるよ」など、知っている知識を話す姿と、知らないことは自分の想像の世界へつなげながら解釈している姿が混在しているように感じた)
(草の上で動かなくなっている ちょうちょを見つけた、ハルノブとタイチ)
ハルノブ「(ちょうちょを掴んで)もうしんでるよ、うめてあげなきゃ」(ちょうちょの触覚あたりが 少し動いたように見える)「あ」
遠藤「どうして死んでると思うの?」
ハルノブ「羽がボロボロになっているから」
(ハルノブとタイチ、土を手で掘って埋める)
かたまっちゃったカエル/6月2日
キキ「カエルかたまったやつだよ。においかいだけど においしないよ、ほら」「あしが2ほんあるよ」
(その前に足が1本の同じようにひからびたカエルをみんなで見ていた。)
マル「でも、目はないよ」
奥野「どうしてカエル かたまっちゃったのかな?」
キキ「クルマにひかれたのかなー?クルマのタイヤは大きいからね。」
奥野「かたまったのは治らないのかな?」
キキ「もうなおらないんだよ」
(死んでる、死んじゃったという言葉が出てくるのかと思ったが、かたまった、治らない(これは私が聞いたから)だけで、キキから死という言葉は出てこなかった。)
カエルの心臓 ぼくの心臓/6月2日
(タイスケが、田んぼで捕まえたアオガエルを右手で掴んでいる。親指の腹がカエルのお腹にあたっている)
タイスケ「カエルの心臓の音が聞こえるよ」
遠藤「どんな音?」
タイスケ「トントン、トントンって。触ってみて」
(カエルをアヤの掌に渡してくれる)
遠藤「(しばらくして)ほんとだ。(トントン、トントン、と2回のリズムで心臓の音が指の腹を打っている)」
タイスケ「ぼくの心臓とちがう」
アリとばんそうこう/6月8日
(道路にいた大きなアリを何人かの子どもたちが踏んでいる)
奥野「なんでふんでるの?」
カイシン「どくアリだから。ころさないとなの」
(つぶれたアリを見て)
キキ「いたそうだねー」
ソウタ「きゅうきゅうばこがあればいいんじゃない?」
奥野「きゅうきゅうばこ?お散歩用の救急セットならあるよ」
中身のガーゼ、虫刺されの塗り薬などを出して見てみるが、
ソウタ「ちがう、それじゃない。」
救急セットの中に絆創膏を見つけると、
ソウタ「これだ!そうちゃんつけてあげる」
奥野「これでなおるの?」
ソウタ「うん、アリはだいじょうぶだけど、クモはだめなんだよー」
絆創膏を貼るとまた歩き始める。(帰りも同じ道を通る)
(帰り道、絆創膏を貼ったところを通りかかる)
ソウタが絆創膏をはがしてみる。
遠藤「どうなってた?」
ソウタ「ありさんつぶれてる。かわいそうだから まだこうしておこう」
また絆創膏を元に戻して貼る。
(大きなカタツムリをみつけた ハルノブ、ソウタ、コウタロウ、ソウマ)
ハルノブ「これね(カタツムリのこと)、あれね、きょだいなやつもいるんだよ。そしてね、川(海?)でばっしゃーんすると、しおでしんじゃうんだよ」
ソウタ「つのだせ、やりだせ、めだま~だせ♪」
奥野「しおがダメでしんじゃうの?」
ハルノブ「そう、しおでしんじゃう」
ソウマ「おしょうゆは?」
ハルノブ「おしょうゆでもしんじゃう」
コウタロウ「にくは?」
ハルノブ「にくはたべる。いや、やっぱりにんじんとかくだものとかたべる」
自然体験活動・環境教育のインタープリターから保育者へ転身。絵本とおもちゃの店の店員や、保育雑誌のライティングに携わった経験も持つ。軽井沢風越学園で新しい教育づくりに関われることにワクワクしています。
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