毎日うろうろ 2020年7月6日

呼吸をするように、本を読むことがあたりまえの学校になるといいな。

岩瀬 直樹
投稿者 | 岩瀬 直樹

2020年7月6日

今日は朝から雨。ライブラリーのカウンターには雨の絵本が並んでいる。

『あめのひ』は矢川さんの訳が美しく、リズミカル。 思わず朗読したくなる。「みずたまりは そらの かけら ぴょんと とびこそう」。

呼吸をするように、本を読むことがあたりまえの学校になるといいな。僕は澤田が書いている「もっともっと本を読もう」に共感している。ライブラリーを校舎の真ん中にした理由にも書いているが、「本が日常の中にあることで起こる豊かな学び」いや、豊かな人生を僕は信じている。

話はちょっとそれるけれど、子どもたちのあそびの消失は、「時間」「空間」「仲間」の3つの「間」=「さんま」がなくなったからだと言われる。風越では「あそび」を大事にしているので「さんま」を意識している。

まず、あそぶ“時間”を前期は特にたっぷりとっている。後期(3〜7年生)でも昼休みがたっぷり1時間半。“仲間”は異年齢。校庭で異年齢まじって野球をしている子どもたちの姿に、「まるで昭和の原っぱみたい!もう見なくなった光景!」と石山が言っていたが、それがあたりまえになっていくといいな。“空間”もライブラリー、ラボ、体育館、外の芝生、森の中、川、いろいろある。

この「さんま」という見方で『読書』もちょっと考えてみたい。

○時間
読書する時間が学校にあるだろうか?
読書する時間が家庭であるだろうか?

○空間
そもそも手を伸ばせるところに本はあるだろうか?
読みたくなる場所はあるだろうか?

○仲間
一緒に本を楽しむ他者はいるだろうか?
自分に合う本を手渡してくれる人はいるだろうか?
読書を楽しんでいるモデルはいるだろうか?

一つ目は「時間」。今日の土台の学びの時間の様子。風越では土台の学びで本を読む時間をとっているので、その中で週に2、3回は読書している。読む時間が確保されているというのは大切だ。

ショウタは「星新一」を山積みに。僕も子どもの頃読んだなー

甲斐﨑は選書について1・2年生に話していた。一人ひとり、どんな本を読んでいるか、その本はその子に合っているか、じっくりと見てまわり、質問し、記録していた。

甲斐﨑の話の後、それぞれの場所で集中して読んでいた。1、2年生ここにきてグッと集中する姿に出会うことが多くなった。

ケストナーの『点子ちゃんとアントン』、『飛ぶ教室』を読んでいる人がいた。「賢さを伴わない勇気は乱暴であり、勇気を伴わない賢さなどはくそにもなりません! 世界の歴史には、おろかな連中が勇気をもち、賢い人たちが臆病だったような時代がいくらもあります」というケストナーの1節が好きで、初めて担任をした時、学級通信の題名を「ゆうき」にしたことを思い出した。

とはいえ、いわゆる「授業」の中で読む時間は週に90分ぐらいしかとれていないのが現状だ。土台の時間以外にも読書している子は、まだ少ない感じかな。読むことが日常になるためにはもう少し時間がかかりそう。家庭でも「読まずにはいられない!」とつながっていくといいなと思っている。

ふたつめは「空間」。ライブラリーが真ん中にあるというのはやはり大きい。いつでも手に届くところに本がある。いつでも目に本が飛び込んでくる。自分が気持ちよく読める場所が選べるというのもいい。本当に人それぞれ。お気に入りの場所で本の世界に浸れる。金曜日は外で読んでいる人もいたな。

自分のお気に入りの場所。こんなところも素敵だ。

雨音をききながらの読書。

静かなところが好きな人はこんなところでも。

ここも人気のスポット。ユーマは「風越に本を読みに来た!」と豪語するほどの読書家。最近はハリーポッターにハマっている。休憩に違う本を読んでいた。

とはいえ、それだけではなかなか手に取らない人がいるのも確か。どんなに豊かなライブラリーも、毎日来ているとあっという間に風景になっていく。これだけ本があることが逆に「どれを読んでいいかわからない」ということも生み出しかねない。本を選ぶ(選書)って難しい。

そこで大切になっていくのが「仲間」。一緒に本を楽しむ他者がいると、本が近くなりやすい。

『石の図鑑』で一緒に調べる。一緒に調べるのはなんか楽しい。

「ANR(アニマル ネイチャー レスキュー)プロジェクト」の人は、最近学校の近くにも出没したツキノワグマについて調べ始めている。一緒に調べるのはやはり楽しい。

昼休み、読み聞かせをしてもらっていた。本を届けてくれる人がいると、ずっと本が近くなってくる。

大作に選書の相談。「これだと字が多すぎる?じゃあこれはどうかな」
大人の大事な仕事の1つは、読み聞かせを通して本の楽しさを共有したり、「今、この子はどんな本に興味を持つだろう」、「どの本なら自分で読めそうだろう」を考えながら本を手渡すこと。

「ゴリさん!この本借りたいからピッとして!」「オッケー。へえーきのこの本借りるんだー」「そうウチの近くでこのイボテングタケ見つけたんだよ」本を通してお話しする人がいると本はグッと面白くなってくる。

これはライブラリーに展示してある「スタッフが読んだ本」コーナー。
大人も本を楽しむ仲間。読書を楽しんでいる姿を日常的に見ることが結果としてライブラリーと同じぐらい大切な環境なのかもしれない。コロナが落ち着いてきたら、保護者もライブラリーで本を読んでいたり、読書会を開いていたり、ここに保護者おすすめ本とか並んだりすると楽しいなあ。

スタッフの帰りのチェックアウトでは、澤田が詩の朗読をしてくれた。大人だって読み聞かせ、朗読をきくのは嬉しい。読むことをスタッフ自身が楽しみ続けるの大事だな。幸せな時間だったなー。

片岡のギターにのせて、堀口大學「夕ぐれの時はよい時」の朗読。

とはいえ、決まった時間以外に読書を楽しんでいる子はまだまだ少ない。その一番の壁(?)はChromebook。休み時間に開いている子が結構多い。そっと覗いてみると、なんとなくネットに繋いでいる人が多いのだ。僕の姿を認めると隠すようにパタンと閉じる人もいる。デバイスが手元にあるというのはなんとも強力な「環境」だ。

一方、休み時間にもプロジェクトの活動でChromebookを思いっきり使い倒している人もいて、それは素晴らしい状況でもある。大人顔負けだ。

「さんま」だけでは足りないことがありそうだ。さてどうしたものか……と頭を悩ませる日々。

岩瀬 直樹

投稿者岩瀬 直樹

投稿者岩瀬 直樹

幸せな子ども時代を過ごせる新しい学校を創ります。私は公教育の可能性を信じています。子どもが持つ学ぶ力を信じています。教員の力を信じています。それらが最大限発揮される学校とはどのような形でしょうか。これまで学級で実践してきたことを出発点に、子どもも大人も「こんな学校に通いたい」「こんな学校を増やしたい!」とワクワクする学校を、一から創っていきます。

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