
2025年12月16日
やっと実現できたお月見会。振り返ってみると準備は10月に入ってすぐにはじまった。
お月様に気持ちを向けて、秋の森にある美しい植物を集めたり、アキト「神輿をつくる!神輿にこうやって乗って、ここにお団子をのせる」という声もあがったりしていた。日を重ねるごとに子どもたちのワクワクする気持ちが高まり、アキが「緑とピンクと白のお団子」マロ「みどりはヨモギでしょ」と、三色団子をつくって食べる話でも盛り上がる。10月6日、ツルヤでの買い物を済ませ、ふるさと公園で田んぼでのお月見会の実現を空に向かって祈った。「明日晴れますように。お月様出てきてください。」
そして10月7日。迎えたお月見会当日は朝から雨が降っている。私は、「お月見会難しいかな」と思いながらも子どもたちの前向きさに今日という日がとても特別だということを感じた。空を見て「きっと晴れるよ。」とニコニコしているみんな。
道中の神社へ、お団子とみんなで集めたお供え物をもって歩いていき、代わる代わる遊びの途中で度々鈴を鳴らしてお参りをしている。
ミヤビ「太陽が出ますように!!」
マロ「おいしいお団子が出来ますように」
レイ「みんなで美味しくお団子が食べられますように」
アキとジョウはお団子を見つめて、アキ「まだ団子かざってあった」
ジョウ「お団子食べた?ちょっと小さくなったよ」と。
それぞれが、目には見えない神様に気持ちを寄せていた。
田んぼについてからも、「お月様でないね。」と度々空を見上げている。途中雲の切れ間から差し込んだ太陽の光に「あ、晴れた!」と思わず期待を込めた言葉が漏れる。今日は夜まで田んぼにいたいという思いとは反対に、体は寒さに堪えていく。焚き火をつけて、わこさん(斉土)がつくってくれたなめこ汁がからだにしみわたった。残念だけれど今日は解散。それから、毎日のように「お団子、いつ食べれるかな」「お月見会いつやろうか」と話題になった。
10月16日。お月見会の準備の話になった。明日、やっとお月見会が実現できる。アイコさん(坂巻)「どんな準備がいるかな」と問いかけると、キノがすぐに「月が隠れちゃうかもしれないから、お月様を描いてぶら下げよう」と言った。メイは「おやつも食べたい」と言い出し、話は一気に広がっていく。
「星を食べたい!」という声が上がり、「どうやって食べる?」と笑い合う。メイは「チョコレートがいい。まるくてお月様みたいだから」と言い、アキトが「みかんも丸いよ」とつぶやく。すると「りんごも丸い!」「アイスクリームも!」と声が重なった。まるいものが並んでいくうちに、みんなの頭の中には、おいしいお月見のイメージが浮かんでいた。おやつは、焼きりんごとみかんにアイスクリームをのせた特製デザートに決定。
集いが終わると、スナオ、ナツキ、マシロ、リツはおやつの材料を買うお金を相談しにオフィスへ。「お金がほしいんです。明日のお月見までに」なんとか、きつね銀行さんに伝言できたようで、当日に間に合った。月をつりたい人たちは集いが終わると段ボールを広げて手を動かしている。キノはさっそく黄色のペンでつきを描き、「できたー!」と嬉しそう。みんなのつくった丸い月が並んでいく。レイは「でっかいお月様!」と言いながら、真剣な表情で大きな月をつくった。こずえは夜空に色を重ねていたが、ふと落ちていたガムテープの芯を拾い、「これでまるができる」とひらめいた。芯で型をとって、たくさんのまるをつくり、一つひとつ丁寧に塗っていく。根気のいる作業にとても集中していた。メイは白いお月様を4つ描き「寝ているんだよ。」と教えてくれた。
できあがった月たちは、それぞれの思いをのせて、風にゆれている。火おこしに張り切る人たちはリアカーを引いて薪や薪を集め始めた。アキは「明日のために練習しよう」と言うと、マナと、ユウホ、ロクが「いいねぇ。いいねえ」と声を合わせて手を動かしている。
そして、迎えたお月見当日。お鍋いっぱいの水をユウホとマナトが慎重に運ぶ。ツリーハウスのデッキでは、アキトとキノとスナオが「ここでお月様見るんだ」と胸を弾ませている。グラウンドに吊るした月の下が会場になった。焚き火の近くは温かく、子どもたちの気持ちも次第に高揚していくのが伝わってきた。
おやつチームがりんごを切ってお鍋でぐつぐつにているといい匂いがたちこめる。お団子作りでは、「ぺとぺとするー!」と声を上げながら、団子を丸める手が白くなっていく。白、桃、緑の三色団子が並び、お鍋に入れたおだんごがプカプカ浮いてくると、「早く食べたい!」とワクワクする気持ちが大きくなって、ついあついお鍋を触ってしましそうになっていた。
たとえお月様が見れなかったとしても、自分たちでお月見会をつくっていこうとする気持ちが強く感じられた時間だ。

長野県出身。歌って踊って絵をかいて、いろ、おと、ひかりの世界を表現することが好きです。子どもたちと身体でたくさんのことを感じながら、森と暮らす日々をおもいきり楽しみます。
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