2025年7月11日
幼稚園の園だより「こどものじかん」より、幼稚園スタッフが綴るエピソードをお届けします。
雨水タンクの水をステンレスのボールに汲んでみると何やらチョロチョロと動く生き物発見。蚊の赤ちゃんボウフラ。サクとコタロウがその存在に気がついた。
「おさかないた〜!」とボールにいる”おさかな”を眺めている。スタッフにビニール袋をもらって「おさかな、もってかえる!」となったらしい。
どちらも持ち帰りたかったらしくそこで小さな揉め事発生。
最初、サクが持っていたところをなんだかんだとやり取りを重ねているうちにコタロウの手に入る。「おさかな、サクの!」と追いかける。コタロウは逃げ回る。スタコラサッサ!コタロウの逃げ足は速い。
サクも「サクのおさかな〜」と大人に訴えてはいるが、”どうしても取り返してくれ!”という態度は見られない。しばらくするとサクは違う遊びに気持ちが向く。コタロウは自分のリュックに「おさかなビニール袋」をかけている。
お昼ごはんを食べながら「おさかな、コタもほしかったんだよ〜」「おさかな、かわいいよね〜」など自分の行動と友だちとのやり取りを言葉にしてぴょん(阿部)にもみほにも伝えるコタロウ。
午後、コタロウがてんとう虫を見つけた。「ねーみて〜!なにかいたよ!」と見せに来た。てんとう虫だということはわかっているはずだけど“なにか”に数人が興味を示す。そして、てんとう虫の動きを見ながら「うごくのがはやい」とか「とぶのかな」とおしゃべりしている。
その中でコタロウは「かわいーねー」「わぁ、かくれてる!」「トントン、げんきですか!?」「だいじょうぶ?」「はしるのがはやいよ〜」などてんとう虫と話している。かなりつまんだり、歩かせたりもしているがてんとう虫は弱っていない。コタロウの触れる強さが柔らかいのだろう。
最近のコタロウの姿を見ていると生き物や植物を愛でている様子がわかる。「おさかな」も可愛くて仕方ないのかもしれないな。
(※お迎えの時、父のうまたつさんに”おさかな”の話をすると「(姉の)ナツハに却下されるでしょう〜」と奇妙なお土産を受け止めてくださったのだった。)
今年度、仲間入りしたマシロ(マロ)。はらっぱにお出かけした日、松ぼっくりが落ちているのを見つけると、「水に入れるとこうなるんだよ」と手を合わせて蕾のような形をつくる。「水に入れると形が変わるってこと?」と聞くと「そう!」と目を大きくさせる。
ズボンのポケットに何個も入れて、落葉松林へ持ち帰り、ガラスの瓶に入れてみる。
みなみ「プカプカ浮いてるね」
マロ「いっぱいじかんがかかるんだよ」
とじーっと眺めてみたり、ツンツンと触ってゆったりとした時間が過ぎていく。
しばらくすると、「なにしてるの?」とジョウとキノがやってきた。マロ「これね、こうなるんだよ」と手を合わせて見せるマロ。なにやら面白そうだと感じ取った2人は「やってみたい!」と、まつぼっくりを探しに行った。
すると、マロ「ほら、みて!こうなってる」と瓶の中で『かさ』が閉じて少しずつ形を変える まつぼっくりに気付いた。
みなみ「形が変わってる!さっきは、ぱぁって開いてたのに」
マロ「そう、これでここに置いておくと、また、ぱぁってなるんだよ」
図鑑を見たり、宇宙の話をしたり、好奇心旺盛なマロは、知っていることを誰かに伝えたい気持ちで溢れている。まつぼっくりは動画で見たことがあると言っていたけれど、実際に水の中に入れてかさが開いたり閉じたりする様子を見たことがあったのかな〜?頭の中にある「こうすると、ああなる」が、本物のまつぼっくりと出会い、実際に見たり触れたりすることで、マロの面白い!や、もっと知りたい!がますます広がっていくように感じた。
森の中には「知ってる!」というものもあれば、「これなんだろう」と未知のものも溢れている。これから、どんなふうに森のものと出会っていくのか、豊かな表現をするマロのこれからが楽しみである。
木々の新芽がいっせいに伸び青々としてくる風越の森。ミオはタラノメの木の芽を見て目を輝かせていた。ミオ「これ、たべられるんだよね」小さな芽を手のひらにのせて微笑む。そこから森へタラノメ探しが始まった。その様子にソラは「いっしょにいってもいい?」と声をかけた。
手を繋いで歩く二人。しばらく歩くと大木になったタラノメに出会う。大きな木を前にたたずむ二人を見て、たまたま近くにいたクウトは「なんじゃこれー」と声を上げた。
大きな木のタラノメは棘が大きくて硬い。ミオ「タラノメのおいしゃさんになろう。みんなトゲをとってもらって、たべてもらいたくてくるんだよ」そうしてしばらくタラノメの棘ぬきの診察が始まった。ミオの手には木の枝や細い根っこなど、診察の道具が握られていた。その時、空からポトっとフサフサのものが落ちてくる。ミオ「なにこれ!そらからふってきた!」なんとも言えないフサフサ加減にしばらく触れた後、「これ、つぶしてみたい」と道具を探しに駆け出していった。
すり鉢とすりごきでフサフサを混ぜ合わせていく。
ユカリ「いっしょにやってもいい?」
トウカ「ヘビイチゴもいれたらどうなるかな」
ユウタロウはその様子を見ていて花のたくさんある場所へとミオを誘った。
ユウタロウ「ねえ、このはなはじめてみた!めずらしいよ」
ミオ「ほんとうだ。ひとつしかないね」
見たことのない黄色い花に興奮している。
ミオ「ここはおはなばたけだね。こんなばしょ、さいこう」
ユウタロウ「ほんとう、さいこうだよね」
二人は、そこに咲いていた黄色い花と紫の花を摘んでそれだけを混ぜることになった。一つのすり鉢を囲んで、気が付くとたくさんの人たちが集まっている。「ミオちゃんいれて」と言う声に「うん!いいよ。どのはなをいれたらいいかきいた?」と忙しそうに答えるミオ。お花畑へと走る姿が、清々しかった。
ミオは森で偶然に出会ったものたちの面白さを次々と見つけていく。ミオのワクワクがその場所に居合わせた人たちの心を惹きつけていた。