2023年1月20日
1.2年生の靴箱周りが荒れている。靴を靴箱に入れない人が多いのだ。3年生以上になると、きちんとしまえる人が増えていく。
これは、風越以外の教育を受けてきた人と受けていない人の差なのか?年齢によるものなのか?1.2年生は、出入りが多いからか?言わなくても、待ち続ければしまえるようになるのか?
そんなことをグルグル考えたものの、「こんなものは習慣だから、一度できるようになれば誰でも無意識にしまえるようになるはず!」と決断した私が、6月の1ヶ月間、靴箱美化強化月間と銘打って、勝手に活動してみた。
登校時間に、1.2年生の靴箱の横に立ち、声をかける。ついでに傘のたたみ方と仕舞い方を伝える。口うるさいおばさんだと嫌がられたが、だんだんと子ども同士で声をかけ合ってくれるようになる。
1ヶ月後、靴箱の外に出ている靴がなくなったことに安心して、靴箱美化強化月間は終了した。
そして、最近。
物事はそう単純じゃない。でも、比べてみると、外に出ている靴は減っているように見える。今見返すと、6月末の靴箱は、私の意図が入りすぎているとすら思う。確かに靴は落ちていないのだけど、1.2年生のあの子たちらしくない気もしてきた…
風越に来る前の私だったら、「いや、それは考えるまでもなく当然身につけるべきことでしょう!しっかり大人が教えないと…」と思っただろうか。もしくは「靴箱に靴を入れるという当たり前のことにすら、疑問をもつなんて!」と驚いていただろうか。
靴箱美化強化月間の最後に、7年生で唯一靴をしまわないシンノスケに声を掛けた。「次はシンノスケが靴をしまえるように、私頑張る!」それを聞いた7年生のチーが、「それは無理だと思うよ〜」と笑った。
靴をしまわないという権利が、彼には与えられていて、シンノスケ自身が丸ごとそのままでいいと認められていることに、胸がいっぱいになってしまった。
私が1ヶ月してきたことはあっていたのかな…?
靴箱1つとっても、今まで気にも留めていなかったことが、わからなくなって考える。普通とはなんだろう。やる「べき」ことってなんだろう。
6年後、中学生になった1.2年生の靴箱を、私はどんな気持ちで見るのだろう。「1,2年生のときは、靴箱に靴をしまわない子がたくさんいたんだよ〜」なんて笑っていたら嬉しいな。…そうか、考えてみたけど、私はやっぱり、靴箱に靴を当たり前にしまえる人になってほしいと願っているんだな。もししまわないのだとしたら、靴をしまうという、みんなが過ごしやすくなる方法があることを知った上で、しまわないことを選んで欲しい。
風越にいても、他のどこかにいたとしても、まずは、私自身が考えることや感じることを大切にした上で、子どもたち一人ひとりのことを考えたい。それから、必要に応じて、自分の中で決めつけていた答えをアップデートしていきたい。
立ち止まる、考える、悩む、動いてみる、そんな日々の積み重ねです。
散歩や自転車で探検する事が好きです。これまでは「ことばの教室」で個別の支援を中心に子どもたちと関わってきました。子どもや保護者の皆さんとじっくりお話しして、ひとりひとりの良いところや面白いところを発見することのできる時間が大好きでした。これからの出会いも楽しみです!
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