風越のいま 2020年10月2日

ちょっと振り返ってみる?(ホーム「け」)(村上 聡恵)

かぜのーと編集部
投稿者 | かぜのーと編集部

2020年10月2日

(書き手・村上 聡恵/2023年3月 退職)

4月から20人の子どもたちとさんだー、私でスタートしたホーム「け」の生活。思い返してみると、ものすごくたくさんの出来事があったけれど、そんなことを振り返る時間もなく突っ走ってきた感じ。

そろそろ1年の折返しを迎える今、半年間ホーム「け」で暮らしてきて、お互いに思っていること、感じていること、今の私たちについて「ちょっと振り返ってみる?」となりました。

「なんで、今、〇〇したの?」

さんだー:自分は、オンライン期間の途中で記事(今の自分に見えている一人ひとりの姿)を書いたんだけど、オンラインと実際に校舎に登校して集まるのと、何が違ったのかなぁって。

オンラインでやっていたことが実際に登校が始まってみて効いていたなぁって、僕は思うことがたくさんあったんだけど、むーちゃんはどういう意図で子どもにそれぞれの投げかけをしていたのかなぁと思っていたんだよね。朝のつどいや帰りのつどいで何をやるか考える人をオンライン初日に募ったり、分散登校初日に子どもたちに「やりたいことを決めておいてね~」と話したり…。

むーちゃん:さんだー、よくそれを聞くよね。「むーちゃん。なんで今、〇〇をしたの?」って。6、7月、そうやって聞かれて、「なんで?私はなんでやったんだろう?」っていつも考えたなぁ。これまで感覚でやっていたことが多かったんだなとも思った。

さんだーに聞かれて、改めて「なんでだろう?」って考えてみると行きつく先はあって、自分の行為の根っこはこれだったんだということに気付いたり、過去のあの経験が自分の中に大きく存在しているんだなと分かったり…。今までなんとなくやってきたことの意味を考えたり言語化するきっかけになっていたよ。

さんだー:むーちゃん、いきなり「散歩に行こう!」とか提案するでしょう?ぶっちゃけ、それは自分の選択肢になくて。実際に散歩に行ってみると子どもたちは楽しんでいて、よかったなぁって思うんだけど、でもその姿を自分は事前にイメージできていなかった。そういう姿を想像して、パッと「よし、散歩行こう!」と思えるのって経験なのかなぁ、なんなんだろうと思っていたんですよね。

むーちゃん:その時は「天気いいから。」って答えたっけ。今考えると、アウトプットDAYが終わって、子どもたちの中に、”やり切ったいい疲れ”があったから、余韻に浸る時間があるといいなぁなんて思ったんだよね。いきなり算数って感じじゃないなぁ、みんなでゆったりと過ごせる時間がほしいなぁって。

「風越公園まで朝散歩に行こう!」

さんだー:なるほどねぇ。あと、むーちゃんは基本的には子ども同士のやりとりをじっと見守っているんだけど、要所要所でパッと入ったり、子どもたちに「自分の目からはこう見えているよ」ってことを伝えたりすることがあるよね。そういう時って、何を考えてるの?

最近だと、避難訓練の時にふざけていたことに対して、みんなで振り返っていた時かな。子どもたちの言葉がきつくなっていって、その矛先が一人の子に向いてきて…。その時むーちゃんは、「変えられるのは自分だけだから。人を変えようじゃなくて、自分は何ができるかということを考えよう。」って介入したんだよね。あの時の言葉って、場をニュートラルに戻したんだなと自分は捉えたんだけど…。

むーちゃん:ああ、あの時ね。場をつくるっていろんな要素が絡んでいるからね。誰かのせいにすればいいってわけじゃない。だけど、子どもたちも私もそうしてしまいがちだな…って思ったんだよね。うまく自分の中で回っていない感じとか、ちゃんと自分と向き合えていない感じとか、なんか自分の手元にちゃんと引き寄せられてない負い目みたいなのがその時の私にあったの。だから、子どもたちの姿と自分が重なった。「変えられるのは自分だけ」って言葉は自分に言い聞かせるっていう意味も実はあったなぁって思ってる。

子どもの姿を見て、自分自身を省みたりすることってよくあるなぁ…。気付かされること、ハッとすること、本当にたくさんあるよね。

さんだー:あの時、むーちゃん「私もそうなんだけどさ…」って言ってて、いわゆる先生のお説教って感じじゃなかった。子どもたちの中にじんわりと浸透していたっていうか…。

むーちゃん:私は基本「思い」の人で、そこから発信しがちなんだよね…。だから、「思考」のさんだーとの違いはよく感じるな。言葉を発する上でのよりどころが違う感じ。毎日、おもしろいなぁと思って聞いてるの。二人でホームをもつおもしろさだなって。

さんだー:二人でカバーできる範囲が広がっている感じだよね。むーちゃんが話した後、ピンと来てなさそうな子とか違う意見持ってそうだなーって思った子とかに、僕が話を聞いてみたりして。

ホームスタッフ二人でより物分りいい感じになっていて、それ自体は悪いことじゃない気はするけど、子どもたちからもっと突き破る何かみたいなものもほしいなって感じているかな。ぼくら二人の想像をはるかに超えて、ちょっとよく分からないなとか、おっとこうきたか、みたいな感じ。ないものねだりかもしれないけど(笑)。

変わってきた関係性

むーちゃん:突き破るって言えば、4月に比べて、さんだーは変わったなぁって思ってる。4月は遠慮しているのかなあと感じてたけど、今は自分が思ったことをバンバンやっているなって思ってる。

一番遠慮してるのかなと感じたのは、オンライン期間の算数と作家の時間の分け方だったな。最初に私が「私は算数やるよ」って言ったんだよね。だから、さんだーは当然、作家の時間をやるって言うのかと思ったら、「やる」とも言わないし、「どうします?」もなくて…。どうしたいんだろう?って思っていた。やりたくないの?遠慮してるの?って思っていたなぁ。

さんだー:その時の記憶ない…(笑)。 遠慮だったのかなぁ。基本的には自信がなかったんじゃないかな。作家の時間をつくるのは未経験で、それをしかもオンラインで様子が見えない中でやれるのか…って不安があったんだと思う。でも確かに今なら100%自分から、「そしたら僕が作家の時間やりますね」って言うと思う。そう思うと変わったのかな。

むーちゃん:私は、ホームのペアとは、お互いに自分の考える“やりたい”ことをやって、その中で刺激し合える関係がいいなぁと思ってて…。今はそんな感じだから楽しいなぁって思えてるな。私が出るわけでもなく、引くわけでもなく、お互い子どもたちの輪の中に入って、自分が思ったことを言って、やりたいことをやって…。ああ、こうやってなれるんだなぁって、私たちの関係性も変わってきたんだなぁって、今、すごく思っているんだよね。さんだーのやっていることをみると刺激も受けるし…。うん。今、すごく感じていることだなぁ。

「け」の子たちにとってのセルフビルドって?

さんだー:夏休み明けから、日中のセルフビルドの仕組みが変わって、自分は他のホームの子たちとの関わりが増えた分、ホーム「け」の子と関わりが少なくなった。だからこそ、朝のつどいと帰りのつどいで一緒にいられる時間を大切にしようと前より思うようになったんだけど、むーちゃんはどう?

むーちゃん:そうだね~。「け」の子どもたち、もう自分たちでホームをつくっていけるなっていう感触があるから、ググっと私たちが入り込むっていう感じではなくなったよね。だからセルフビルドのパートナーも、ホームではない新しいスタッフとの出会いの中で新たな刺激をもらえるといいのかなぁと思ったんだよね。ホームはホームとして、子どもたちが”安心して戻ってくることができる場”としてありながら…。

子どもたちにパートナーの話をしたとき、ある子が「みんな蝶になっていろんな蜜をすって戻ってくるってことか…」って言っていたんだけど、そんなイメージ。私たちは「け」の子たちのこと、ずっと見続けてはいくしね。後期ミーティングの中で、ホームごとにその話をしたとき、私もさんだーも「け」の子たちにとってはセルフビルドパートナーは私たちじゃなくてもいい気がするねって話して、今、実際にその形になった。子どもたち、いろいろあるけれどがんばっているなぁって思っているな。

あと、私の中では、そのミーティングの中でさんだーが言った言葉がとっても印象的で。「さびしいな…」ってつぶやいたの。覚えてる?

さんだー:ああ~。自分も言ってからびっくりした(笑)。

むーちゃん:素直な心の声だなぁと思って、すごく私の心の中に残っているんだよね。

さんだー:今のセルフビルドの仕組みは、自分だったら「グローバルルーム」で子どもたちの英語学習のサポートをすることも増えたりもして、今まで中学でやっていた感じに近づいたなぁという感じもあるんだけど、むーちゃんからするとどう?今まで少ない人数と濃く関わっていたことが、関わる人数が広がって薄くなるみたいに感じたりするのかな?と思ったんだけど、寂しさを感じたりする?

むーちゃん:昔はね、自分が子どもたちに何をしてあげられるかとか、自分の手元で育てようとか考えていたんだよね。学級担任も2年間担任してこそ自分の学級がつくれる…みたいに考えていた。でも今は、違ってきていて…。いろんな大人と出会っていろんな関係性の中で育つことができるって、子どもにとって幸せなことだなぁって。前の学校で120人の子どもたちを学年の担任4人で見ることを大事にしようってやってきて、私の思いも変わっていったんだよね。いつも「学級」じゃなくていいし、「学級」じゃないからこそよい面もあるっていうか…。

「コミュニティボール」(哲学対話で使われる道具の一つ)づくり。自分たちの対話を支える道具をみんなでつくることから始めた。

私達の今とこれから

さんだー:これからどうなっていくんだろうなぁ。セルフビルドの形とか、パートナーとか…。始まってまだ1週間だけど。手応えはある?

むーちゃん:今は…おもしろいよね。セルフビルドの1時間半(月・火・木13:30〜15:00・水10:40~12:10)、全体の子どもたちの様子を見つつパートナーになった子たちの様子を見ていると、発見が多いなぁって感じているなぁ。実際、今まであんまり関わってこなかった子どもたちと出会って、いろいろやりとりをして新鮮だよね。これからどうなっていくんだろうね?

さんだー:今、自分は5人のパートナーで、3年生から7年生を担当しているんだけれど、伴走っては難しいなぁって感じてる。対象年齢も幅広いし、その子の学びをまるっと見るってどういうことなのか。いやあ難しい。「学びをまるっと」だって難しいのに、「学びだけなの?」「もっと遊び込んでほしい」みたいな視点もあるし。プロジェクト続きで屋内にこもってChromebookに向かってる子をみると、「いいからとりあえず外出て遊んできなよ」って言いたくもなる。

あと、グローバルルームを開いているんだけど、あの場がもっともっとおもしろくなっていくといいなぁと思っていて、なりそうな気がしている。今日もZoom英会話、7年生のウタロウと3年生のタイガが一緒にやっていて、今までのセルフビルドの時間とは違う姿が二人とも見られた。それぞれの場でどんなことができるか、もうちょっと時間がかかるかも知れないけれど、そっちも充実させたいなって考えているんだよね。

むーちゃん:そうだね。子どもたちの様子を見ていると、難しさ感じるよね。まだまだこれからだね。今、9月。ここ、私たちの現在地って感じ。

さんだー:これから2,3か月後、どうなっているんだろうね。お互いどんな変化をしているんだろう。

むーちゃん:さんだーの変わり具合って、私にとって刺激なんだよね。いいなぁと思ってる。羨ましいぐらい。私はまだまだグーンと変わったって感触とか、変わってきてるって感覚がなくて、じゃあ私のこの先は…って思うよね。今の私は足踏みしてるなぁって感じだから。

さんだー:電車に乗っていて動き出す時ってグッと感じるでしょ。でもスピードに乗って走り出すとそれを感じなくなる。しばらくして振り返ってみると随分遠くまできたなぁって分かるじゃない。今日のこの時間は、どこまで来たのかなぁって二人で振り返る時間だったのかな。

むーちゃん:うんうん。そうだね。こういう時間、すごく大事だね。次は冬かな…。この記事を読み返しながら、またお互いの変化を語りましょ。ありがとう。楽しかった!

 

(2020.09. 08 談)

#2020 #ホーム #後期

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かぜのーと編集部です。軽井沢風越学園のプロセスを多面的にお届けしたいと思っています。辰巳、三輪が担当。

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