2019年10月24日
「保護者もつくり手である」と言いつつ、認可外保育施設かぜあそびの保護者のみなさんと一緒に何かをつくる場面は、ほとんど機会がないままに1学期を終えました。夏休み前、数名の保護者からもう少し関わってみたいと声が生まれ、2学期から試行錯誤しています。
先日、子どもたちが遊ぶ傍らでカフェコーナーを設けてみたいというお母さんたちの声を受けて、せっかくならと子どもたちも一緒にお店屋さんを開くことをスタッフから提案することにしました。
まずは前日のおやつの時間。その日のおやつを、どんぐり10個と交換することにしてみました。帰りの会で、「明日お母さんたちが飲み物のお店屋さんをやるんだって。みんなもなんかやりたいことあったらやってみない?」と投げかけて、さようなら。
当日の朝の会、なぜか祭りの手ぬぐいを頭に巻いた愛子さん。
「愛子さんね、今日は、お店屋さんやろうと思うんだ。お金はどうしようかな?」
「どんぐりがいいんじゃない?」
「いいねぇ。お店ではね、おやつと飲み物を売る予定なんだ。他にみんなが売りたいものはある?」
「みそしる!」
「いくらにしようか?どんぐり何個だろう?」
「3個だったら、2歳さんでも数えられるんじゃない?」
「じゃあそうしよう。お店屋さんって何か必要なものあるかな?」
「んー、かんばんとか!」
というわけで、午前中はそれぞれ看板づくりに勤しみます。
お昼ご飯を食べ、このあとどうしようか?と子どもたちに聞いてみたところ、つくった看板に書いたものを売りたい!と声が上がりました。そうだよね。午前中は本物のお店屋さんだとは思っていなかったようで、どの子も嬉しそう。
プルーンと枝豆とケーキはどんぐり3個、みそ汁と梅ジュースとレモネードはどんぐり2個。それぞれを売る人も、自然に決まりました。
さて、開店の時間。お母さんお父さんや、弟妹たちが続々とやってきます。
「いらっしゃいませー!」
「どんぐり3個払うので、このケーキください」
「このケーキはどんぐり2個なので、3個だと買えません!」
「??…えーっと。」
ちょっぴりトンチンカンなやりとりも交えながら、みんなで楽しい時間を過ごしました。
今回のお店屋さんは、子どもたちのやりたいから出発したことではなかったけれど、ごっこ遊びのお店屋さんではなく本物のお店屋さんだったこと、お客さんがお母さんやお父さんであることで、子どもたちにとっても魅力的でワクワクするものだったようです。
ふだんの遊びでは、次々と別の遊びに展開することが多い中、この日ずっとひとつの遊びが持続したのは、自分の手でつくったもので、お母さんお父さんに喜んでもらいたい!という子どもたちの気持ちが大元にありそうです。自分の力を使って、人のために何かできた、喜んでもらえたという経験が嬉しい!というメッセージを子どもたちの姿を見て感じました。
そんな子どもの空気感を保護者とスタッフが共に味わった事で、子どもが育つイメージを共有できた実感もあります。
終わったあとのスタッフミーティングには、言い出しっぺのお母さんの1人も同席しました。お茶を飲みながら、子どもたちの遊ぶ様子を見ているつもりでいたお母さんたちは、子どもたちが本格的なお店屋さんを準備していたことにびっくりしたそうです。保護者のやりたい気持ちだけでなく、子どもたちのやりたい気持ちありきで、うまく融合させていきたいな、と話してくださいました。
今後に向けて改善したい点はいくつかありましたが、子どもと保護者とスタッフが混ざった新しいかたちの一つが実体験できたことは、次への手ごたえになりました。子どもたちの育ちを見とりながら、今度はどんなことができるかな、と考えています。