2019年6月18日
2019年5月24・25・26日の3日間で学校づくり途中経過報告会を開催しました。
24日・26日は軽井沢町中央公民館、25日はエコール御代田にて、保護者・子ども含めて述べ1019名の参加がありました。
学校づくり途中経過報告会の実施は、今年で3年目となります。これまでと一番の違いは、設立準備スタッフが26名と増えたこと。参加者の皆さんになるべくたくさんのスタッフと出会い、知ってもらえるように、と準備や運営に工夫を凝らしました。
会場内では、スタッフ一人ひとりのプロフィールのパネルや、著作などを掲示しました。待ち時間には、会場内の畳スペースで子どもたちに絵本の読み聞かせをしたり、参加者に声をかけやりとりしたり、それぞれの判断で動くスタッフたちがいました。
会場内のあちこちに掲示していた案内板も、スタッフの手づくりによるものです。今後も長く使えるように素材や仕様を考えました。パソコンとのにらめっこばかりでなく、具体的なもの作りに嬉々として取り組むスタッフたちです。
今回、スタッフはおそろいのTシャツを着ることにしました。みんな同じTシャツなんて…という気持ちもよぎりましたが、どんなスタッフたちかを知ってもらいたい気持ちが勝りました。Tシャツ以外のドレスコードはなく、各自が自由に着こなした3日間でした。
以下、学校づくり途中経過報告会でお話した内容の一部をお伝えします。
会の冒頭、軽井沢風越学園のロゴ案をご紹介しました。デザインのベースになっているのは、浅間山と軽井沢風越学園の校舎の形、そして本を開いたときの形です。12本の線は、軽井沢風越学園で過ごす3歳から15歳までの12年を表しています。
軽井沢風越学園の15歳の姿って?
軽井沢風越学園で学んで卒業する中学校3年生は、どんな姿?と聞かれることがこれまで度々ありました。どんな進路を歩むのか?、どんな子どもが育つことを目指しているのか?そうした問いについて、スタッフたちとも議論を重ねています。
「軽井沢風越学園で学んだ15歳ってどんな姿?あるいは、ご自身のお子さんにどのように育ってほしいと願っていますか?」という問いを参加者の皆さんと共有、近くに座っている参加者同士でやりとりしてもらいました。
現時点で私たちが考えている「軽井沢風越学園の15歳の姿」は、次のとおりです。
こうした15歳の姿が見られるために、どんなカリキュラムやどんな環境をつくるとよいかを考えているところです。また、この15歳の姿はこれまでお伝えしてきた「自己主導・協同・探究の学び」、また、それらの学びによって育まれる「“自由”に生きるための力と“自由の相互承認”の感度」ともつながります。
カリキュラムの3つの軸
続いて、苫野から改めて軽井沢風越学園のカリキュラムの根幹を支える原理についてお話しました。「自由」と「自由の相互承認」について、その感度を育むための学校教育の意義、なぜ今「自己主導・協同・探究の学び」が必要だと考えるか。詳しくは、こちらの記事や苫野の書籍をご参照ください。
「自由」と「自由の相互承認」とは(苫野一徳)
『「学校」をつくりなおす』(河出新書、苫野一徳)
『どのような教育が「よい」教育か』(講談社選書メチエ、苫野一徳)
この原理に基づいて、どんなカリキュラムを検討しているかについて、岩瀬から3つの軸を紹介しました。
1つ目の軸は、探究の学びです。教室では「先生、次何やるの?」、「これって何のためにやるの?」などという質問が子どもたちから出ることがあります。でも、学びとは本来、やらされるものではなく、子ども自身が知りたい、つくってみたい、やってみたいなど「〜したい」という情熱からスタートするものです。軽井沢風越学園では、「〜したい」から出発する探究の学びをカリキュラムの中心に据える予定です。
例えば開校する4月には、みんなで学校づくりの時間を取ってみたい。ライブラリーにどんな本をどんなふうに置くか、学校にどんなルールがあったらいいか。そんなことをみんなで探究してつくっていきたいです。
探究の学びを深めるためには、土台の学びが重要です。
たとえば読むこと・書くことは、深く考えることや、知りたい内容を調べることにつながります。校舎の中心にライブラリーがあることは、読むこと書くことを大事にしていきたいという現れでもあります。また、算数や英語も同様に、土台の学びとして重要だと考えています。
こうした土台の学びを進める上で大切にしたいのは、自分のペースで、自分なりの学び方で学んでいけること。子どもが自分で学習計画を立てて自分のペースで学ぶことを「自由進度の学び」と呼んでいます。
3つ目の軸は探究の芽・土台の芽です。子どもたちから「知りたい」、「やってみたい」という気持ちが生まれてくるには、「じっくり ゆったり たっぷり まざった」豊かな環境と関係が欠かせません。探究の芽、土台の芽が自然に次々と生まれる環境と関係を整えていきます。
4人のスタッフによる実践紹介
たとえカリキュラムをどんなに美しく描いたとしても、結局は実践する「人」であるスタッフがなにより大事です。続いて、スタッフの井上・馬野・澤田・奥野の4名から、探究の学び、土台の学び、探究の芽・土台の芽について実践紹介をしました。
「探究の学びって?」
「土台の学びって?」
「探究の芽・土台の芽」
保護者のみなさんへのメッセージ
最後に「保護者のみなさんへお伝えしたいこと」として、本城より3点お話ししました。
こうした内容は、通常の学校説明会ではつまびらかにお話しないかもしれません。
こちらも後日、別のレポートにてご紹介します。
また、開園・開校までのスケジュールや募集要項については随時ホームページで更新いたします。
「探究の芽」を育む子ども向けプログラム
会場の近くでは、幼児と小学生それぞれに子ども向けプログラムを実施しました。軽井沢町内や近隣市町以外の遠方からも集まった初めまして同士の子どもたちが、その子らしい過ごし方ができるように準備しました。
当日は、それぞれの遊びに没頭する子どもたちの姿。
たとえば屋外の「空にえがこう」というコーナーでは、子どもたちの頭の高さに透明の大きなセロファンを張りました。下から覗き込むようにして絵を描くと、空をキャンバスにしているかのよう。
どの色で描くと透けやすいのかな?水をかけてみたらどうなる……?そうだ、セロファンを川に見立てて、大きな魚を描いてみよう!子どもたちの想像力や探究心がむくむくと湧き出るのが見えるようでした。ある瞬間、強い日差しを受けて、自分が描いたものが足もとに写ることに気づいて、またひと盛り上がり。
当日は35度を超える暑さのため、屋内で本を読んだり、工作する子どもたちの姿もありました。
「しんぶんしでつくろう」のコーナーでは、カラフルな張り子のウサギをつくり、名前をつける人。自分の頭にちょうどいい帽子をつくろうと四苦八苦する人。同じ素材でも生まれる遊びはとっても多様です。
釣竿をつくった女の子の周りには、いつの間にか他の子どもも集まり、新聞紙の海での“釣りゲーム”が始まっていました。ゆるやかな繋がりの中から新しい遊びが生まれる様子をスタッフたちも楽しみました。
最後には全員で集まり、絵本を読む時間を持ちました。
「学校づくり“途中経過”報告会」と名づけているように、今回の報告会でお伝えしたことは現時点で良いと思っていることであり、これから開園・開校まで変わり続けます。「より良い」を目指して、軽井沢風越学園の開校に向けた準備を進めていきます。
学校づくり途中経過報告会の開催にあたってご協力くださったみなさま、ありがとうございました。