2018年4月18日
『わくせいキャベジ動物図鑑』
(著:tuperatupera、アリス館)
(amazon)(楽天ブックス)
小5の娘と近所を散歩したりサイクリングしたりするのが、ぼくの休日の楽しみの一つです。(いつまで付き合ってくれるんだろう…)
ただ散歩するだけではなく、2人でいろいろな遊びを開発しています。
「日陰しか歩いちゃいけない散歩」とか、「電柱の間を息を止めて走る散歩」とか、「公園につくまで30回しか漕いじゃいけないサイクリング」とか。文字にしてみるとばかばかしい感じもしますが、やっている2人はめちゃめちゃ楽しいんです。数あるオリジナル散歩の中で、娘のお気に入りは、犬を連れている想像をして歩く「エア犬の散歩」。犬を飼いたくて仕方がないんですよね(笑)。
ぼくのお気に入りは、「あれって顔に見えない?」選手権。
風景の中から顔に見えるものを探して歩くのですが、これがけっこう面白い。
「あの家、顔に見えない?」
「あ、ほんとだ、泣きそうな顔だね」
「あの車、完全に怒っている顔だ!」
「車って、基本的に顔に見えるね」などなど。
顔に見立てる。そんな目で世界を眺めてみると、いろんなものが顔に見えてくるから不思議です。「見立てメガネ」をかけてみる感じ。
ちなみに最近、大学生娘と小5娘と3人でコンビニにお散歩にいったときの作品はこちら。
物憂げな顔でぼくらを見つめていました。
学級担任をしていた頃、「理科の雲の観察」と銘打って、各々校庭の好きなところに寝っ転がり、空を1時間のんびり眺めるという時間を取りました。
晴れた日にやるととっても気持ちいい。
校庭の真ん中で大の字になると、学校を独占している感じがして、それもまた気持ちいい。
そのうちに雲をいろいろなものに見立て始める子が出てきます。
「あそこに龍がいる!」
「あれ、完全にバナナだよね」
見立てメガネをかけると、空が空想と遊びのキャンバスに変わるのです。
「あー、幼稚園の頃こうやって雲よく見てたなあー」とつぶやく子も。
確かにぼくも子どもの頃よくやったなあ。
ぼくらは、いつからそうやって空をゆっくり眺めたり、何かに見立てて楽しんだりすることを手放してしまったんだろう。それが大人になっていくってことなのでしょうか。
いやいや今からでも遅くないはず。見立てメガネをかけてお子さんと遊んじゃいましょう!例えば、スーパーで野菜を眺めてみたら何に見えてくるでしょう。
今回紹介する絵本は『わくせいキャベジ動物図鑑』。
この絵本は、キャベツを一つの惑星と見立てることから始まります。
地球から831(やさい)光年はなれた銀河の片隅にある、わくせいキャベジ。
黄緑色に輝くこの星には、ダイコンイカ、モロコシギツネ等々28種類の野菜動物たちが暮らしています。撮影した野菜の写真をプリントアウトしたものに、切り貼りしたり彩色したりして、野菜動物の完成です。
一度この絵本を見たら、それ以降、野菜が動物にしか見えなくなってきます(ちなみに、ぼくのお気にいりはピーマンドリルとウマパラガス)。
見立てることの楽しさがつまった美しい絵本です。
見立てるって豊かな遊びです。
例えば幼児は、積み木を車に見立てて,「ぶっぶー」と手で動かしながら遊んだりします。レゴブロックで遊ぶことも、砂遊びもそうかもしれません。
イメージを膨らませ、想像力を広げながら、自身の感触で世界を理解していくのですよね。
この絵本を親子で楽しんだ後は、子どもと一緒にオリジナルの「見立て図鑑」をつくってみるのはどうでしょう。苦手な野菜も、もしかしたら違って見えるかも?!
本の帯に、博物学者の荒俣宏さんがこう書いています。
「図鑑は、『世界』をもうひとつ作り出すこと」。
遊ぶこと・学ぶことって、手を動かしながら、想像を働かせながら、自分の中に「世界」を創っていくプロセスなのかもしれませんね。
おまけ
絵本の制作動画もおもしろいです。こうやって作っているんですね。
幸せな子ども時代を過ごせる場とは?過去の経験や仕組みにとらわれず、新しいかたちを大胆に一緒につくっていきます。起きること、一緒につくることを「そうきたか!」おもしろがり、おもしろいと思う人たちとつながっていきたいです。
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