風越のいま 2020年1月9日

かぜあそびレポート(7) -「ならでは」を生み出していく、11月-

三輪 ひかり
投稿者 | 三輪 ひかり

2020年1月9日

認可外保育施設「かぜあそび」がはじまり、8ヶ月が経ちました。

こどもとこども、こどもと大人、こどもと環境ー。さまざまな “あいだ” ではじまった関係性は、この8ヶ月でずいぶんと変化をしてきました。

こどもとこどもの関係性は、遊びや生活を共にしながら、自分を表現したり、相手を理解したりする中で「信頼関係」が育まれ変化しているんだと、こどもたちを見て、日々感じています。

ルールがあり、勝敗があり、コミュニケーションの中で気持ちが揺れ動く場面が多くある遊びの一つ「集団遊び」で、この日もこんなこどもたちの姿に出会いました。

ぼくたちのラグビー

日本全国で盛り上がりを見せた、ラグビーW杯。かぜあそびでも、テレビで観戦したこどもたちが「ラグビー」をする姿が何度も見られるようになりました。

「ラグビーするひと、このゆびとまれ」
この日もサクの誘いで、ラグビーがはじまるようです。

集まったのは、ハヤトとタイチ。サクをいれて全部で三人。


周りを見渡したサクが、「ひかちゃんもはいって!」と私を誘います。どうやらサクにはラグビーのゲームはこうやって行うというイメージが明確にあるようです。

たとえばこんなもの。
・各チーム同じ人数でなければならない
・ぶつかり合ってボールを取り合う
・ゴールの仕方は投げる方法のみ。ゴールにボールを置くのでは点は入らない

今のままだと三人なので、ゲームができない。そこで近くにいた私を誘い、サク・ハヤト 対 タイチ・私のチームに分かれて、遊びはじめることになりました。


ボールを奪い、走って、ゴールにボールを置くと点が入る。「これで、1 – 0ね!」「はい、3 – 1!」と、点数を数えていくハヤトに、どんどんボールを取りにいくサク。

そんな中、何度目かのボールの取り合いで、タイチが泣き出しました。
「たいちゃん、ボールとられるのやだ」

さあ、どうしよう。タイチが抜けてしまうと人数が2対1になってしまい、サクのルール上ゲームを続けることができません。

「ボールをとるゲームなんだよ」
「でも、やだもん」
なんとかルールを伝えようとするサクと、いやの一点張りのタイチ。

二人の様子を見て、ハヤトが提案をしはじめます。

ハヤト:「じゃあ、たいちゃんはこう(速く)はしって、サクとハヤトがこう(ちょっとゆっくり)は?」

タイチ:「でもたいちゃん、はやいくつじゃないからできない」

ハヤト:「んー、じゃあサクがながぐつはいたら?」

サク:「やだよ」

ハヤト:「あ、おにごっこにしようよ」

サク:「ラグビーがやりたい」

なかなか遊びをつづけられる方法が見つからない三人。

しばらくすると、ハヤトとタイチはどのくらい速く走れるのか“かけっこ”をはじめてしましました。サクはその姿をぽつんと座って眺めています。


でも、そんな二人に再度声をかけることにしたサク。
「ほら、ラグビーはじめるよ!」

再び始まったラグビー…ですが、先ほどのラグビーとはどうやら少し様子が違う。

自分のゴールに向かって走るスピードは変わらないが、タイチがボールを持った時のハヤトとサクのボールを取りに行く姿勢が違うのです。ゆっくりと走り、ボールを奪おうとする力も少し手加減をしているような、そんな姿が見て取れます。

そこに「ぼくもいれて」とユウヤがやってきました。人数が同等ではなくなってしまうので、私と交代をして参戦し、そこでまた子どもたちの姿に変化が。

ユウヤは、いくら強くボールを取られてもへっちゃら。なんならボールをどんどん取り返しにいく。それが分かると、サク・ハヤトとユウヤの間では身体をぶつけ合いながらのボールの取り合いが起きたのです。


年齢ごとの横割り保育ではない、かぜあそび。

だからこそ、一人ひとりのできること・できないこと、したいこと・したくないことに大きな違いがあり、既存のルールでは遊びが成立しない場面が多々あります。

そんな時、「どうすれば遊びを継続できるだろう?」と、知恵をしぼり、提案し、その人に合わせた関わり方を探す。

こどもたちは、積み重ねてきた信頼関係に頼るだけではなく、それがある上で「自分の思いを伝えること」と「相手に歩み寄ろうとすること」を惜しまない人たちなのだと思います。

だからこそ今日も「ならでは」を生みだせるのだろうなあ。

三輪 ひかり

投稿者三輪 ひかり

投稿者三輪 ひかり

「その人がより、その人らしく生きる」ことを想い描きながら、普段は逗子の保育園で子どもたちとのんびり暮らしています。かぜのーと編集部として企画・編集、執筆を担当。

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