風越のいま 2026年3月3日

こどものじかん_1・2月

こどものじかん
投稿者 | こどものじかん

2026年3月3日

幼稚園の園だより「こどものじかん」より、幼稚園スタッフが綴るエピソードをお届けします。


◯「みんなでつくる」2026.01.24 (橋場 美穂)

グラウンド奥の西の国にみんなで行った。それぞれやりたいことを見つけて遊び始めている中、何して遊ぼうかな〜と考えているユズルに「お家作らない?」と誘ってみた。するとススキの草藪の中の空間を使い「ここがベット。寝るところ。」「ここが玄関。」「ここが出口。」とユズルが想像しながら家を作り始めた。そこにコタロウが来て「ここに飾り付けしない?」と一緒に遊び始める。コタロウの声をきいて、二人のやり取りが始まった。すると今度はサヤも入ってきて「これはケーキね」「たまごってことね」とお料理をつくる人がやってきた。

ススキのヤブを刈って布団作りをしていると「ハルチカもやる〜」とハルチカが入ってくる。「ちょっと、お買い物行ってくるね〜」と買い物に行くユズルがいたり、コタロウが「冷蔵庫も必要だよね。」とか「お風呂はどうする?」と相談が始まった。

そんなみんなの声を聞きつけてフウカやユウゴもやってくる。そしてお風呂づくりが始まる。太めの丸太で囲いを作ると「お風呂だから穴を掘らないと!」と誰かが言い出し、スコップを持ってきて穴を掘る。凍った地面を掘るのはなかなかの至難の技。フウカが「ふうちゃん、一人は無理!ゆうごやって!見ててあげるから!」ユウゴ「わかった!」と働く。でも地面は凍っているのでなかなか掘り進められない。ユウゴ、ハルチカが順番にスコップで掘ろうとするがうまくいかなかったので手が止まる。土を見ながらユウゴが「チョコレートにおなら混ぜたら臭いんじゃない?」と言い出した。土がチョコレートに見えたらしい。フウカ「そうだね〜、おしっこもトイレでして〜。」ハルチカ「うんちもトイレでして〜」フウカ「桃ってさ、おしりの形してんじゃない?」とか・・・・。お風呂を作っているのだけどトイレの話になりゲラゲラ笑う3人だった。

そんな楽しげな声に引き寄せられたのか、いつの間にか人数は増えて、一気に工事現場となり、お風呂作りが広がった。



この時、ひとりで始めた遊びからいつの間にか仲間たちが集まってきていた。日常の様子をごっこ遊びに反映させたり、こうしよう、あーしようとアイデアを出して、他愛ないおしゃべりも楽しむ。これまで自分の”やりたい”をたっぷり実現してきた年少の人たち。秋頃からこうしてひとりひとりがみんなと遊ぶということを心から楽しんでいる様子が見られる。みんなといるとなんだか楽しいという気持ちも伝わってくる。

この冬の寒さもみんなで面白い時間を作り出して過ごしていけそうかな。

◯「冬ごもり探検から始まった鳥の家づくり」 2026.01.19 (坂巻 愛子)

冬ごもりをしている生き物を探しにいこう!と出発した日のこと。しばらくは「ここにも穴があった!!」と穴を見つけては、その大きさや形状で誰の家なのか想像を膨らませていた。

マロ「ここはながほそい〜から、ヘビさんのお家かな〜」
ジョウ「ここはねずみかな〜」

そんな中、アキは「ここにポストがあった!」と言って、切り株に空いた穴を覗いていた。そして、葉っぱにぐるぐる手紙を描き始めた。その姿に周りの人も集まってくる。切り株ポストの中は葉っぱの手紙でいっぱいになった。

さらに進んでいくと、木の間に羽がいくつも散らばっているのを発見。どんどん拾い集めていく人たち。

ジョウは羽の数を数えた。「21!!」
メイ「大家族だったみたいだね」
あいこ「そうだね、大家族はどこに行ったのかなぁ」
誰か「きっとあったかいところに行ったんだよ」
マロ「中国!!」
アキ「また戻って来るかもしれないよ。寒くてお家が無かったら鳥がかわいそうだよ〜、ふわふわのお家つくってあげようよ〜」」

アキの声にそれはいいね〜と、鳥の家づくりが始まっていった。

アキトは木の皮を剥いで、V字になった枝に置いていく。そして、「皮をどんどんひいていくよ〜」とみんなに投げかけた。

鳥の家づくりで木の皮を使い始めたアキト。以前、リスが木の皮を剥いでは口に咥えて一箇所に集めている様子を見て、リスは家をつくっているんだ、と想像していた。そのときの経験と、今回の鳥の家づくりの経験がアキトの中で繋がっているのかもしれない。

黙々と木の皮を置いていたアキトの身体が急に固まった。木の皮がV字の枝の間からハラハラと落ちてしまう。アキトは数回皮を戻そうとする、がやっぱり皮は落ちてしまう。そんな局面に出会ったアキトは急に近くにあった枝を手にして、V字に出来た空間を埋め始めた。そして、周りの人たちに「もっと木が必要、持ってきて〜」と声をかけた。

なんと、アキトは木を這わせることで家の土台をつくろうとしていた。

だんだんと出来上がってくる家の土台を目の前にして、

ジョウ「ベランダをつくる」
メイ「テラスの囲いが必要」
マロは「じゅうたんも必要」

と、出来ていく形からイメージが広がっていく。

すると、誰からともなく、鳥の家が狐にやられちゃうかもしれない、という声があがった。

ジョウ「罠をつくろう、網がいい、網はこうやってつくるんだ」と枝と枝を糸でつなぎ合わせた。

マロは「きつねのおもちゃがお家の前にあれば、きつねさんが、あー、こんなおもちゃがある〜って楽しくなって鳥のお家には気づかないでしょ」と言い、棒に糸を結びつけて枝に吊るした。

マロが考えたのは、キツネのおもちゃを作って気を引く作戦だった。

あいこ「まろくんはキツネを捕まえる罠じゃなくて、きつねが喜ぶものをつくって、鳥の家を守ることを考えたんだね」
アキ「きつねの喜びそうなやつをここに置けばいいんじゃない?」
アキト「肉とか、実とか、魚か〜」
すると、ジョウ「魚つりに行ってくるね」と棒を手にした。

アキは枝の先に糸をなが〜く垂らして、「これはねこじゃらしみたいなやつで、きつねが喜ぶやつ」と言い、鳥の家の前にぶら下げた。

そんな中、レイナは黙々と一本の麻紐を剥いで何かをつくっていた。そして、ちょこんと手のひらにのせて見せた。あいこ「卵のベッド?」と聞くと、はにかみながら頷く。

すると、レイナのつくったベッドに惹きつけられて周りの人たちも身体を丸めてつくり始めた。レイナは「つくりかた教えてあげようか」と忙しそう。その後、鳥の家にはいくつもの様々なベッドが置かれていった。レイナの閃きによって、糸はつなぎ合わせる意味の物だけでない、新たな糸の面白みがみんなに広がり、家づくりをより一層面白くしていった。今度は、肉を持ってこよう!!と盛り上がる人たち。私は、それはちょっと…と内心ドキドキの帰り道となった。

この森に帰って来るかもしれない鳥のために、鳥の家をつくりたいといった思いから突如始まった鳥の家づくり。そこには、鳥にとってどんな家がいいかということや、鳥を襲うかもしれない狐にとってどんな罠がいいかという想いがあった。森の生き物たちのことを想像して、『つくる』経験を重ねた身体は、今後10年の学びの中でどんな経験を生み出していくのだろう、どんな願いを持って育っていこうとするのだろう、楽しみに見つめていきたい。

◯「冬の川へ、ためらいなく」 2026.01.22 (根岸加奈)

大寒を迎え、一年で最も寒い時期。

数日前の探検の日に川のほとりで遊んだことから、「もっと川の奥まで進んでみたい!」そんな声が年長チームの数名から上がり、それぞれ必要な準備を整えて冬の川へ行くことになった。

川探検当日、朝の最低気温はマイナス9度。外に出てきんとする寒さを感じ、本当に川へ行くのか?という思いが私の頭をよぎる。しかし、登園してくる子どもたちの姿に、私の迷いはすっと消えていった。エイトはおはようの代わりに、「ぽんちゃーん!今日は長靴だからねー!!」と自分の長靴を指さしながら声をかけてくる。ほかにも防寒対策バッチリ、準備万端な人たちの姿。川探検の持ち物を自分で覚え、身なりを整えられている人が多いことからも、川探検への気持ちが伝わってくる。

「今日は川行くんでしょ?」「氷あるかな〜!」
頬を赤く染めながら、目を輝かせて話す子どもたち。その期待に満ちた声を聞いた瞬間、寒さよりも強いものが胸に広がった。

川へ向かう道すがら、白い息が空へと立ちのぼる。足元の霜はきらきらと光り、吐く息の音さえ楽しそうな笑い声へと変わる。

そして川辺に着くと、迷うことなくどんどん進んでいく子どもたち。

川のほとりで活動していた1・2年生スタッフが、年長児を二度見する。「えぇ?!この寒さなのに何の迷いもない!年長さん、エリートだ!!」と驚きの声があがる。

真冬にためらわず川をずんずん進んでいく子どもたち。その頼もしさといったら、圧倒されてしまう。

私と一緒に後方から向かうユカリ、トウカ、ハナ、リン、タキは、下水道の水が凍っていることや、川のあちこちにつららができていることを発見して喜びながら進む。一番後ろにいるからといって、川を怖がっているわけでなく、むしろ寄り道しながら発見をたっぷり楽しんでいる、いつものこのチームの光景だ。

狭い川道もどんどん行く。そして川から、風越向かいにある森の集会所が見え、みんなで合流。

トウカ「幼稚園でここまで来たのはじめて!」
ミオ「ぼくも!みんなはじめてだよ!!」

と嬉しそうに言う。初めての体験をみんなで共有する幸せな時間。

エイト「見て!手袋につららできた!」

見ると、エイトが乾かそうと木にかけた手袋から滴り落ちた水滴が、目の前で凍っていく。

「こんなところにつららが〜!!」とまたみんなで感動を共有する。


採った氷を抱えながらいるタキが隣で「さっみーーーー!」と叫ぶ。

するとエイト「手袋のほうがさむいよ。だってつららできてるもん。」と手袋を大事そうに見つめてつぶやく。

次はハルがあっ!と声をあげる。「手袋と手袋が、くっついちゃった!!」

見ると、ハルの濡れた手袋も凍って左右ぴったり、カチコチにくっついている。アンナが笑いながらハルの手袋をはがすと、ハルは手袋を顔の前に持ってきて「はずしてくれてありがと〜う!」と手袋の声を代弁する。アンナも笑って、「どういたしまして〜!」と手袋に向かって言う。

帰り道、小さな手は冷たくなっていたけれど、心はなんだかぽかぽかと温かかった。
そして、幼稚園に帰ってくると、冷えた身体を暖めようと落ち葉ベッドに幸せそうにダイブする姿。

エマ、トウカ、アンナ「あ〜あったかい!!!」「最高!!!!」

エマは落ち葉の中に全身すっぽり隠れて、「どーこだ?」と”落ち葉かくれんぼ”がはじまった。

子どもたちは、自然の厳しさも全身でそのまま受けとめ、驚きや発見へと変えていく力を持っている。マイナス9度の朝は、たしかに厳しい。でも、その寒さがあったからこそ出会えた景色や感覚がある。

寒さにひるんでいたのは、私だけだったのかもしれない。

みんなのおかげで毎日新しい世界に出会えているなぁと、つくづく思う。冬の川へ連れて行ってくれて、ありがとう。

#2025 #幼稚園 #森

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