
2025年11月17日
幼稚園の園だより「こどものじかん」より、幼稚園スタッフが綴るエピソードをお届けします。
チハヤに「ぶたとおおかみのやつやろ〜」と声をかけられた。以前から年少さんがぶた、ぴょん(阿部)やスタッフがおおかみ役で追いかけっこをしていた。からまつ林を逃げ回ったり、草むらに隠れたりしているうちに年少さんが集まってくる。
そんな中チハヤが「レンガのお家たてなきゃ!!」といつもお家ごっこをしているスペースに逃げ込む。バラバラに走っていた年少さんもどんどんお家に逃げ込んできた。ぴょん「ふーー」とお家を吹き飛ばそうとすると、チハヤ「レンガだから!飛ばないよっ!」月曜日に読んだ『3びきのこぶた』の内容をイメージしているんだな〜。
みんなの家に近づくと、ジンタロウ「入っちゃだめ!」「だめ!手を見せて!!」まわりにいた年少さんが声を合わせた。ぴょん「トントン、ぶたさんだよ〜」ナツ・エマ「だめ!!じゃあ、手を見せて!」爪を立てるような形で手をがおーと言いながら見せた。ナツ「だめ!そんなに手は尖ってないよ!」次はグーの手でトントン。チハヤ「お母さんは白いんだよ!!」ぴょん「トントン白い手だよ〜フウカ「だめ!まだ手の横がちょっと黒いよ」アン「次は足見せて!」エマ「白じゃない!ピンクじゃないと!!」とぶたの手を想像しているエマ。
サクは木に隠れている。隠れているつもりなのはわかるけれど、丸見え。サクの近くに行き、ぴょん「クンクン、美味しそうな匂いが…」とつぶやくと、サク「時計の中に隠れてるから見えないの!!」おおかみと七匹のこやぎで唯一狼に食べられなかった、こやぎ?こぶた?になっていた。
みんなで遊んでいるうちに、いつのまにか『三匹のこぶた』と先週読んだ『おおかみと七匹のこやぎ』のお話が合わさっていた。
コタロウはずっとネズミ。おおかみに食べられるわけでもなく、おおかみの味方でもなく、ぴょんの耳元で「チュウチュ、 、 、チュウッ!!」と喋っている。一人ひとりの世界観が同じだったり違ったり、同じごっこあそびの中だが、その子らしさが垣間見えた瞬間だった。
チハヤ、サク、フウカがベンチのベッドに寝て「ばぶ〜〜」と何かが始まっている。レン「あら!お熱がでちゃってるよ!」レンがぴょんを見ながら「プルルル」と電話をしている。ガチャと出てみると「あ、あかちゃんがお熱なんです〜来てください」といつの間にかぴょんが病院の先生になっている。お家に行ってみると入口で「もうれんちゃんがお母さんだからね。入っていいですよ」とすんなりお家に入れた。レン「先生!注射お願いします!!」といつの間にか患者の行列ができていた。
一人ひとりの世界観とみんなの賑やかで楽しい声が混ざり合い、ふんわりと遊びの輪がまわりに広がっていく。みんなと一緒に過ごしているその場その時間そのものが、年少さんにとって楽しくて嬉しい温かい時間なのではないかなと感じたこの日のごっこ遊びだった。
この日、ケンセイ、モトアツ、タキがじゃれあっている。しかも、けっこう激しめに。3人の中でふっと始まった遊び、最初は面白いけれど、面白いからこそやりすぎてしまうときもあるよな〜、どんな感じだろうと遠くからみていた。3人だと入れ替わり立ち替わりだったけれど2対1になったり、表情が険しそうになっている様子が伺えたので、相撲はどうか?と提案してみた。
最初にケンセイが「やる!やる!」と土俵のロープを取りに行く。モトアツは「やらない」と言った。タキは考えているようだけれど、2人共、ケンセイのあとを追って倉庫まできて、縄を取り出した。再びオフィス前まで来ると、ロープを広げて土俵をつくっていく。何が始まるんだ?と、少しづつ人が増えてきた。モトアツはそんな様子をみて「やっぱやろうかな」と言った。そのあと、ミオ、カイ、エイト、ハル、クウト、ユカリ、トウカがやってきてロープの周りに腰を下ろす。
ケンセイは張り切って、態勢をとるが誰も名乗りを挙げない。周りは、ちょっと様子をみている雰囲気だ。そこで、 「ケンセイやろう!」とみなみが声を上げた。
「見合って、見合って〜、はっけよーい のこった!」
つよい!つよい!勢いよく踏み込んでみなみを押し出そうとするケンセイ!負けじとケンセイを押し出そうとするが、粘り強いぞ!なかなかロープの外に押し出せない!「ケンセイがんばれ!ケンセイがんばれ!」ケンセイの奮闘する姿に、周りの人から自然と声援が送られる。ついに、押し出しでケンセイの勝利!わーっと歓声があがった。
次にモトアツが土俵に上がるが誰も出てこない。みなみ「よし、モトくん勝負だ」 。モトアツも力強く押し出してくるが、この勝負はみなみの勝利!最初は相撲をやらないと言っていたが、やってみて面白い!が体感できたようで、次はモトアツから「ケンセイやろう」と声をかけていた。
いつの間にか、ハルが木の棒と段ボールで即席の軍配(行司の持っているうちわ)をつくってきた。 それをカイに渡すと、行司になりきって「見合って、見合って、はっけよーい、のこった!」
押したり、踏ん張ったり、あとちょっとでロープから出そうになったり、2人の力が拮抗する。「モトくん頑張れ!」「ケンセイ頑張れ!」またまた周りから声援が送られる。この勝負はモトアツが勝った。「もう一回やろう!!」ケンセイは負けたけど嬉しそうな顔をしている。
ずっと見ていたハル、エイト、タキも「やろうかな!」と、土俵にあがり、ミオとカイは「練習してから」と言って、周りで相撲の練習を始めた。クウトやユカリは行司役になったり、相撲は片付けの時間まで続いた。
ずっと見ていた年少のハルチカとユウゴは、年長がそこを去ってからロープが片付いた芝生で2人相撲を始めた。やっと俺達の番がきた!と思ったのかもしれない。
一回きりじゃない、何度でも挑めること、力を出し切る本気の勝負は勝っても負けても嬉しいし、面白い。今日の相撲は、ケンセイやモトアツのエネルギーや面白さが周りに伝わっていった出来事だったなと思う。
