風越のいま 2022年10月21日

「今こんな感じ」のやりとりがしたい

清水 春美
投稿者 | 清水 春美

2022年10月21日

子どもたちと「こころとからだの時間」という時間を持っている。こころとからだのこと、いわゆる「保健」の分野を扱う時間。「保健」の授業としては3年生以上が該当するけれど、身体計測や短時間での保健指導、健康診断なども含めて、「こころとからだの時間」として、幼稚園から9年生までの全学年で実施できるように調整、計画している。

どの学年でも継続して「こころとからだの時間」を積み重ねることで、自分のこころやからだ、関連する様々な事柄を考えることが自然になって、学年や学びの内容が変わっても、自分ごととして大きな抵抗感なく受け止められるんじゃないかな、その下地になるといいな、と思っている。

風越学園にはいろんな名前の時間があり、どんな名前にしようかと思ったとき、そのままわかりやすい名前がいいなと思って、「こころとからだの時間」にした。

「こころ」が先か「からだ」が先か悩んだけれど、「こころ」のサインが「からだ」のサインとして現れる、それで保健室に来室する子も多いなと思って、「こころ」を先に置くことにした。

風越学園はいろんな名前が略される傾向にあって、「こころとからだの時間」も「ここから」と呼んでくれたりして、思いがけず、今この場所から始まっていく感じがする言葉に、なんだか嬉しく感じている。

普段、保健室で対応するときには、「個」、もしくは「少人数」とのかかわりがほとんど。

重症度のほか、その子とのやりとりの中で、対応を判断したり、学園や全体の流れも確認しながら、押したり引いたりの加減をみるようにしている。

一方で、こころとからだの時間は、「集団」や「集団の中にいる個」とのかかわり。

「個」として対応したときとはまた違った、その「集団」による力やほかの子との関係性など、保健室で会ったときには見えなかった姿が見えたりすることもある。

あの子は集団になるとこんな動きになるんだな、こういう声かけだと全体に通りやすいかな、みんなの集中力はこのくらいなら持ちそうかな、ワークをしたあとに視線を戻すにはどうするといいかな、と、子どもをみることと、学びを深めることと、まだまだ手探りなところがたくさんある。

先日の5,6年生のこころとからだの時間が終わったあと、学年スタッフのあすこまさん(澤田)に、「やってみてどうでした?」と声をかけてもらって、正直驚いた。

聞いてみると、こころとからだの時間は、月に1回程度の頻度だから、毎日学びを見ているスタッフとはまた違った視点で、感じることがあるんじゃないかと思って、とのこと。

普段の学びに関わっているスタッフの方が、私よりももっと子どもたちに寄り添った時間をつくっているだろうと思っているので、そう聞いてもらえたことに、驚くとともに、同じ「集団」をみて話せることがうれしくて、ありがたいなとも思った。

今まで、「個」とのかかわりの時間が多くて、その情報を元にスタッフとやりとりすることが多かったけれど、「個」で見るその子と、「集団」や「集団の中にいる個」としてのその子、など、やりとりできる視点が増えたように思って、この時間を養護教諭である自分が受け持っている意味をあらためて気づかせてもらったように思って、心強い気持ちになっている。

普段から、特に年齢が小さい子ほど「朝お腹痛かったの」「ここのけががなおったよ」など、自分の体調のこと、けがのなおり具合についてふと会ったときに教えてくれる。

「今こんな感じ」をやりとりできることをすごくうれしく感じている。

こころとからだの時間を積み重ねることは、種まきだと思っている。学年によっても頻度は様々だけれど、積み重ねることで、自分のこころとからだを知ること、自分なりの対処の仕方や判断基準を持つこと、自分で自分を守るためのアンテナを高めることなど、芽が出て育っていったらいいなと思う。

そして、何かあったときにも、何かが起こる前にも、何でもないときにも、「今こんな感じ」と、こころとからだについてのいろんな話を子どもたちとやりとりできるようになっていきたい。

12の年齢にあわせた時間を考える難しさを痛いほどに感じながら、それでも、子どもたちとのこころとからだの時間のあとには、エネルギーが満ちてくるから不思議である。

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清水 春美

投稿者清水 春美

投稿者清水 春美

子どもたちも大人も、まるっとそのまま、そのままであれるといいなと思っています。

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