2020年7月16日
こんにちは。軽井沢風越学園でCDP(カリキュラムディベロップメントパートナー)として、昨年の開校準備から関わらせていただいている藤原さとと申します。
私はふだん「こたえのない学校」という団体を運営しており、Learning Creator’s Labというラボでは、日頃から多様な先生たちと新しい取り組みを生み出そうとしており、校長の岩瀬先生には5年ほど前からさまざまな場面でお世話になっています。また海外の学校から教師を招聘して国内での研修のデザインを担当したりもしており、Learn by Creationという団体では研修事業を担当しています。
さて、風越学園。いよいよ開校!!という時にまさかの新型コロナウイルスで開校が遅れましたが、オンラインでスタートし、6月から通常登校がスタート。あらためておめでとうございます!そして、7月1日にはじめての「プロジェクト アウトプット DAY」があり、校舎完成後、はじめて風越学園のキャンパスにお伺いしました。
アウトプット DAYの発表の様子は、同じくCDPとして訪問していた古瀬正也さん(ワークショップデザイナー・ファシリテーター)による記事をご覧ください。
さて、一日風越学園の中で過ごして感じたこと。それは「学校がみんなの居場所になりつつあるなぁ」ということ。
学校が「自分の居場所ではない」もしくは「ここは私の場所ではない」と思ったことってありませんか? 風越学園にもいろいろな子がいますが、それぞれに自分の居場所を感じている、もしくは感じつつあるように見えました。
まず、みなとても楽しそう!学校が好きなんだなぁ、と感じます。当日はほぼ全ての発表をみせてもらいましたが、子どもたちが自分本来の姿を出せているように思いました。
時々なんだかとっても「きっちり」「かっちり」やっていて、とてもクオリティが高いけど、なんだかみんなの表情がかたい発表を見ることがあります。もしかしたら緊張しているだけなのかもしれないのですが、せっかくなのに、自分本来の姿ではなく「よそゆき」の顔をみているような気分で、残念な気持ちになります。また、どこまでが自分でやりたくてやっていて、どこから先生に言われてやっているのかわからないなぁ、と思うこともあります。
翻って、風越学園の発表は、みんな「わたし」を謳歌しているように見えました。そして、その発表スタイルは「きっちり」「かっちり」ではないんです。7年生(中学生)くらいになるとさすがにしっかりしていますが、3・4年生くらいだと、もじもじしたり、ちょっとふざけてたり、手がだらだらしていたり、もあります(笑)。でもそれが子ども本来の姿のはず。もちろん、大人顔負けのプロジェクトもありますが、大人が求めたり「すごい!」っていうような仮説じゃなくて、突拍子もない思いつきや、「自分のしたい」をこれからもますます大切にしていくことのほうがよっぽど大事。このまま、「〜たい」を大切にしていけると、寧ろどんどんすごいことが起きそうで、ワクワクします。
小学生のときの「あるべき発表」というものがあるとすれば、それは「子どもらしい発表」につきるのではないでしょうか。ちょっと笑っちゃったり、微笑ましかったりするあの感じです。「あー、こんな子ども時代すごしたかったな」って少し思ってしまうような。「グダグダなんです」って言いますが、それが子ども本来の姿。それを矯正して見せかけの整えられたものを見せられると、私の場合「何かが違う」って心がガビガビします。
また、いいなぁ、と思ったのが、有志でたちあがったチームプロジェクトがたくさんあること。海外の人たちと交流する「国際交流プロジェクト」、ギターやドラム、ピアノなど様々な楽器を使って演奏する「風越べアーズ」、絶滅危惧種を助けるための「動物、環境を守ろう」プロジェクト、捨て犬・捨て猫を助けたい「ASAGAOチーム」、お金を使わずに自分たちで作物をつくり、育てる「0円食堂」など、「他の人のためになりたい」という気持ちを大切にしているものが多く、素敵だなぁと思いました。これからどんどん出てきたら、本当にすごいことになりそうです!また「礼のてんらん会―色のいろいろ」や、「漫画プロジェクト」のように、普通の学校ではなかなか認めてもらえない、個人での発表の場も与えられており、こんな学校にいきたかったなぁ、、とつい声が漏れました。
最後にご紹介したいのが、圧巻の図書室。校舎の中心に設けられているライブラリー(というよりもはや図書館)に入っている本がすごすぎるのです。敏腕司書さんがいらっしゃるとのこと。納得です。
たとえば、文学の棚。数学の棚、宇宙の棚、生物の棚などすべてお見せしたいくらい、ワクワクします!ゴロゴロとひっくり返って読めるスペースもあって、本を読まずとも眺めているだけで幸せになりそうです。
子どもって植物みたいだとつくづく思います。変な陽のあてられかたをしたり、次から次へと肥料を与えられたら、しばらくは伸びるかもしれないけれども、そのうち疲れてしまうのではないでしょうか。子ども時代は「子どもの役目」というものがあって、それを全うしたら、やっと次のステップに進めるのだと思います。のびのびと育って、ある程度育ったら、大変なことも乗り越えられるし、辛いことも我慢できるでしょう。でも、それまではその子らしく、のびのび「伸びて」欲しいなぁ、と思います。足腰が強くなると、その後なんとでもなります。小学校はジャンプする前の期間です。それなのに、自分で学びたい以上のペースで学びを強要されると、勉強が嫌いになってしまいます。「ゆっくり」育ち、学びが楽しいと心の底から思った子どもが、一旦準備できたあとの伸びは指数的で、私自身何度も驚かされています。まさに「ゆっくり、いそげ」です。
自分のやりたいことを全うして、自分のエンジンにガソリンが満タンになったら、いよいよ緩やかに学びにはいります。まずは「ココロ”を”満タンに♫」。ガソリンを満タンにして、これから本当の意味での学びに入っていく子どもたちの姿をとても楽しみにしています。
たくさんの満足した子どもたちの表情やはしゃぐ様子、そして久しぶりに東京を出て、緑いっぱいの空気を吸って、私も元気になりました。これからの風越、ますます楽しみです。ありがとうございました!