2020年3月22日
かぜあそびが始まってこの一年、こどもとこども、こどもと大人、こどもと環境 ー かぜあそびの中にある「関係性」に焦点をあて、レポートを綴ってきました。
毎日少しずつ、そして時に大胆に広がり、深まっていくさまざまな関係性。その“あいだ”で起こる変化が、一人ひとりの内側で起こる変化へと繋がっていることも実感する一年でした。
そしてこの冬、また新たな変化をこどもたちの間と内側に感じています。
この日、戦いごっこをするこどもたちの姿が何度も見られたかぜあそび。
戦いごっこはよく見られる遊びのひとつで、かぜあそびでもスターウォーズが好きな人を中心にこの一年、フィールドのあちらこちらで繰り広げられていました。
最初は思いっきりしていたパンチやキックをしていたこどもたちも、どのくらいだと痛いのか、どうすると遊びが終わってしまうのかを遊びを重ねるなかで学び、攻撃をすることからその物語をたっぷり味わう方へと、戦いごっこの楽しみ方をシフトしてきました。
しかし、この日見られたパンチやキックは結構な力で、思わずこちらが「ああ、それは痛いんじゃないかなあ」と声をかけたくなるようなものでした。しかもそれは4月から小学生になるシュンタ、シュンスケを中心に起きていたのです。
戦いごっこを楽しむというより、体をぶつけ合うことやまたそれとは違う何かを求めているような様子に、「随分と強く蹴ったりぶったりするんだね」と声をかけると、「まぁね。それでよくないちゃうんだけどね」と、教えてくれたシュンスケ。でもそこでやめることなく、ぶつかり合いは続きます。
どちらかが転ぶと、上に乗りかかる。
そしてまた違う人とも戦い、ぶつかり合う。
しばらくしてからシュンタとキヨに続けて攻撃され、やり返したあとに二人から距離を取り、グッと歯を食いしばりながら目にたくさんの涙を溜めるシュンスケの姿が。
アイ:「シュンスケどうしたの?なんでないてるの?」
何も答えないシュンスケに繰り返し声をかけるアイ。
すると、「キヨがなぐったから」とシュンスケ。「そっか、いたかったんだね」というアイの言葉に我慢していた涙が溢れ、流れていきます。
アイ:「2たい 1 はひきょうだよ。シュンスケないてるよ、きょうはシュンスケにやさしくして!」
キヨ:「でもシュンスケだってやってきたよ」
アイ:「やられたらやりかえしていいの?キヨくんもほんきでたたかれていたかったらどう?」
思わず、その場に座り込み下をむくキヨ。そしてそんなキヨの横に自分も腰をかがめ語りかけるアイ。
キヨ:「シュンスケごめんね」
シュンスケ:「いいよ」
シュンタ:「…つまらない」
この日のスタッフ同士のふりかえりでその姿について話してみると、卒園を間近に控え、こどもたちの姿に変化があることを話してくれました。
「最近、戦いごっこもだけど、何かあると言葉だけじゃなくて体でぶつかり合う姿が見られるんだよね。その姿に、“触れ合いたい”という気持ちを感じるんだよなぁ。「もうすぐかぜあそびもおわりだよね」「しょうがくせいになったら」という言葉を聞くことも増えて、ここを巣立つことをそれぞれに自覚して、いろんな気持ちを感じているみたい」
かぜあそびも、残り1ヶ月弱。
あなたたちが言葉ではないもので共有し合うその気持ちは、なんなのだろう。